漫画家・大友しゅうまが津田健次郎とコラボした“1分でわかる『キャンドルスティック』紹介動画”!制作秘話と映画の魅力を聞いてみた
「野原は熱を内に秘めているタイプ。ミステリアスさを感じて、すごく魅力的だと思いました」
大友が本作のおもしろさを堪能できたのは、阿部寛が野原を演じているという点にもある。「阿部さんはこれまでいろいろな役を演じられているので、『阿部さんっぽい役』というのはひと言では説明できないけれど、キャラクターに共通する熱、信念のようなものは、今回の野原にも感じました。熱量でズバッと言い切るような頼り甲斐のある男、みたいな役が多い印象があるけれど、今回の野原はその熱を内に秘めているタイプ。冷静沈着ぶりに“なにを考えているのかわからない”ミステリアスさみたいなものを感じて、すごく魅力的だと思いました」と役の印象と阿部の芝居を熱弁。
“1分でわかる映画『キャンドルスティック』”の特別映像を制作するにあたり、阿部のファンだという大友に野原を描いた感想を訊いてみると、「僕の絵柄はすごく簡略化されているので、似せるというのは難しかったりもします。今回のラフを描く際にちょっと不安もあったのですが、なにも考えずに描いても阿部さんっぽくなることがわかって(笑)。“強さ”があると思ったし、改めて好きになりました!」と自身の作風と阿部の個性がマッチしたことをうれしそうに教えてくれた。
映画紹介の漫画を描く際にポイントにしているのは“ワクワク感”だという。「僕は映画を観てワクワクしたところを漫画で描くようにしています。そうじゃないと映画の魅力が伝えられないというか。なんとなくおもしろいとかぼやっとしたままの状態で描くと読者に伝わってしまう感じがしていて」。本作に登場したパンチのあるセリフやキャラクターの表情、言動などの漫画にしたくなるポイントを尋ねると「その視点だと、“AIを騙す”ために結成されたチームがおもしろかったです。バラエティ豊かな登場人物たちだったし、結束していく姿にも魅力を感じました。そこを描けたらおもしろいかもと思いましたね」。
本作では、野原と杏子が持っている“共感覚”も重要な鍵となっている。数字が色で見えるタイプの共感覚を、劇中では美しいビジュアルで表現。キャンドルチャートを見つめる杏子が「きれい…」とつぶやくシーンは特に印象的だ。「共感覚のシーンはすごくよかったです。僕が予備校生の時に共感覚を持っている友人がいて、どんな感じに見えるのか尋ねたことがあるんです。その子は共感覚とオーラが見える子だったので、ちょっとスピリチュアル寄りな感じもしますが、でも自分のオーラの色が気になって訊いたところ、『なにもない』と言われて。進学した東京藝大で再会した際に、また共感覚の話が出たので、もう一度チャレンジ!という気持ちで尋ねたところ、『赤茶色だ』と言われました。オーラの色って変わるんだと知ったことに驚いたのと、僕にもオーラがあるんだと知ってうれしくなったのを覚えています」と共感覚が遠くない存在であったことを教えてくれた。