「見事に振り回されました」初共演の綾野剛と柴咲コウ、『でっちあげ ~殺人教師と呼ばれた男』の演技合戦を回顧

インタビュー

「見事に振り回されました」初共演の綾野剛と柴咲コウ、『でっちあげ ~殺人教師と呼ばれた男』の演技合戦を回顧

「なにを考えているのかわからない人物像につながればいいなと思いました」(柴咲)

――そういったところも踏まえまして、薮下誠一と氷室律子の人物像をそれぞれどのように捉えていらっしゃったのでしょうか?

薮下を演じるにあたってのアプローチとは
薮下を演じるにあたってのアプローチとは[c]2007 福田ますみ/新潮社 [c]2025「でっちあげ」製作委員会

綾野「薮下に関しては“どう見せたいか”ではなく“どう見られるか”がポイントでしたので、どんなアプローチの方法も選択肢に入ってきます。だからこそ、現場で作られているシチュエーションとムードをしっかりキャッチアップしようと心掛けていました。今回はいわゆる“役づくり”よりも“作品づくり”の側にいくことによって、薮下という人物の造形が生まれてくる可能性が高いと判断し、作品の持っているエンジンをどう捉えるか、という感覚で立ち位置を探っていきました。

現場ではワンシーンあたり何パターンか撮っていただき、編集される段階で、三池さんが観客に届けたいカタチにしていただけるようなアプローチを採りました。今作は、原作者である福田ますみさんのルポルタージュをもとにしていますが、あくまで先生は多面的な現実の中にある一面に集中し書かれています。そういったところも丁寧に捉えていくという姿勢が大事だと思いました」

柴咲「私は律子を演じるにあたって、どうしても髪を伸ばしたかったんですよ。なので、一生懸命、なんとかあの(肩よりも下の)長さまで伸ばしました。しかも、ツヤツヤの髪がいいなと思っていたんですよね。原作で描かれている律子は不気味な感じと妖艶さのあるキャラクターなので、髪のツヤにそれが出ればいいな、と。なんとかクランクインに間に合ったという感じでしたね(笑)」

綾野「とても深い黒で、重力を感じさせる雰囲気がありました」

氷室律子を演じるにあたり、長く髪を伸ばしたという柴咲
氷室律子を演じるにあたり、長く髪を伸ばしたという柴咲[c]2007 福田ますみ/新潮社 [c]2025「でっちあげ」製作委員会


柴咲「そこに不気味さが出ればいいな、というのと、立ち居振る舞いなどはガチガチにしすぎても、人間っぽくなくなってしまうんじゃないかというところのせめぎ合いがなきにしもあらずでした。なので、そこに関しては三池さんのリアクションを見ながら整えていきました。どちらかというと“静”の人で、それがなにを考えているのかわからない人物像につながればいいなと思っていたんですよね」

――弁護士の湯上谷年雄を演じた小林薫さんもコメントで触れていましたが、律子は目力の強さが印象的でした。

柴咲「例えば、校長先生たちに(息子の拓翔が薮下からいじめを受けていると)訴えに行くシーンも、律子からしてみれば当然の主張だと思っていて。人って『それって当たり前じゃないですか?』って伝える時にはパチパチと瞬きしないし、その人なりの必死さと言いますか。『真摯に受け入れてもらわないと!わかっていただかないと!』みたいな感じになりますよね。そのつもりで訴えたら、必然的に目にも力が入ったという」

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■衣装協力
・綾野剛
スーツ(ヴィンテージ):¥88,000(King of Fools/Instagram:@kingoffools_designers_vintage)
人差し指リング:¥22,000
小指リング:上から¥24,200、¥11,000、¥22,000
※リングすべてヴィンテージ(RESURRECTION/Instagram:@resurrection_gallery)

・柴咲コウ
チュールレースハイネック(near.nippon):¥18,700(near./0422-72-2279)
ドレープドレス(CINOH):¥49,500(MOULD/03-6805-1449)
ピアス(PRMAL):¥55,000/1つ売り価格(PRMAL/support@prmal.com)
ネックレス(oeau):¥330,000 (Harumi Showroom/03-6433-5395)

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