【TOHOシネマズ 二条篇】内覧会には舞妓さんも参加?映画館にまつわる歴史&トリビアを大特集!
今年、TOHOシネマズの全国17劇場がアニバーサリーを迎えることを記念し、現在TOHOシネマズ株式会社によるお客様への感謝を込めた“アニバーサリーキャンペーン”が実施中だ。MOVIE WALKER PRESSでは対象の17劇場のスタッフへの取材や当時の資料を徹底リサーチ!オープン当初の貴重な裏話、その映画館ならではの魅力やトリビアなどを深掘りする連載コラムを展開中。第7回は、創業20周年の「TOHOシネマズ 二条」についてご紹介。
当映画館が開業したのは、いまから遡ること約20年前の2005年6月23日、場所は京都市中京区のJR二条駅前に位置する複合商業施設BiVi二条内だ。徒歩20分のところに世界遺産の元離宮二条城があるし、6月20日に一部がリニューアルオープンしたBiViでの買い物やグルメなども楽しめる好立地だ。
全11スクリーンあるなかで特に好評を博しているのは、スクリーン10のIMAXデジタルシアター。IMAX社独自の次世代型プレミアムシステムで最高の音と映像を体感できる。また、プレミアスクリーンは、全68席にリクライニングシートが導入され、カップホルダーのかわりにフロントテーブルを設置。専用のラウンジもあるので、ラグジュアリーな空間で映画を堪能できる。
当劇場で、これまでで1日の上映回数が最も多かった作品の1位は『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』(20)、2位は『名探偵コナン 100万ドルの五稜星(みちしるべ)』(24)。チラシの減りが早かった映画では、『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』や「ハイキュー!!」シリーズなどが挙がった。コンセッションの人気メニューランキングではポップコーンや、これからのシーズンにぴったりな炭酸フローズンドリンク「ICEE」、ホットドッグなどがランクイン。
竹林や石庭をあしらった和の情緒あふれる空間作りに試行錯誤
二条城のお膝元に新しく誕生したシネコンということで、館内のコリドーは竹林や石庭があしらわれた和風情緒ただようデザインとなっている。開業当時の支配人に話を聞くと「京都といえば、日本を代表する古都であり、独自の文化を大切にしてきた町なので、そこに我々の映画館が出店したとして、果たして京都の方々に受け入れていただけるのだろうか?という不安がかなりありました。加えて、京都の繁華街のメインは河原町ですが、二条はそこから少し離れていますし」と当時の懸念事項を口にした。
「でも、京都出身の方がアドバイザー的な形で入ってくださり、宣伝活動面でもかなり協力していただきました。内覧会には舞妓さんたちも大勢いらしてくれて、とても華やかに盛り上げてくださったんです」と、地元の方々のサポートを得て、京都ならではのおもてなしで観客を出迎えることができたそう。
京都のモチーフが所々に用いられた当劇場では、枯山水の石庭風景を楽しめるコリドーは大きな特徴のひとつ。ただし開業当初、竹林と石庭については、いろいろと試行錯誤をしたのだとか。「開業前から本物の竹を設置していたのですが、湿気により竹が割れてしまったり、石庭の石にもカビが生えてしまったりしたので、換気設備などを変更し、無事に開業することができました」と苦労を明かすも「いわゆる“映える”コリドーということで、フォトスポットとしても人気です」とのこと。
また、20年前のシネコンでは、心地よくリラックスして映画を楽しめるようにと、各映画館がワンランク上の環境作りに力を入れていたそうで、二条では全席ワイドシートを導入した。元支配人は「左右60cm、前後110cmのハイスペックシートを入れました。いまでは当たり前のことですが、当時はまだ少なかったと思います。プレミアスクリーンでは、座席配置に通常の約2倍ゆとりを持たせ、リクライニングできる席を入れました」と、高級感あふれる空間を打ちだした。
さらに「いまはもうやっていないのですが、当時のプレミアスクリーンでは、よく飛行機などで配られる使い捨てスリッパを無料で提供していました。結果的にいろいろと淘汰されていきましたが、そういう演出をしていたことも思い出深いです」としみじみ語る。