妻夫木聡、広瀬すず、大友啓史監督が沖縄に凱旋!『宝島』“沖縄キャラバン”の2日間をレポート

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妻夫木聡、広瀬すず、大友啓史監督が沖縄に凱旋!『宝島』“沖縄キャラバン”の2日間をレポート

2日目は地元の中学生と“未来”について語り合う!

“沖縄キャラバン”2日目の6月8日、妻夫木と広瀬、そして大友監督の3名は那覇市内にある那覇市立那覇中学校をサプライズ訪問。中学2年生17名と中学3年生15名との特別交流会を実施。

2日目の訪問先は、那覇市立那覇中学校!妻夫木たちのサプライズ登場に、32名の生徒が歓喜
2日目の訪問先は、那覇市立那覇中学校!妻夫木たちのサプライズ登場に、32名の生徒が歓喜[c]真藤順丈/講談社 [c]2025「宝島」製作委員会

前日のプレミア試写会に那覇中学の生徒も招待されており、妻夫木は「今日サプライズってことをすっかり忘れていて、昨日のプレミア会場で名刺を渡した際に那覇中学校の子どもだとわかったから、『明日ねー』と言ってしまいました(笑)」と、冒頭から場を和ませる。

生徒たちは、両親や祖父母から聞いたというアメリカ統治下への思いや、本作を観るまで知らなかった“戦果アギヤー”という存在、極限状態のなかでそうせざるを得なかった当時の人々の理不尽な思いや感情などを知ることの大切さ、未来に伝えていくことの重要さなどを語っていく。一方、妻夫木たち3名は、彼らの堂々とした姿を尊敬と驚きを交えながらあたたかく見つめ、交流会は進行していく。

作品のテーマや沖縄の歴史などについて、真剣な面持ちで意見を交わしていく
作品のテーマや沖縄の歴史などについて、真剣な面持ちで意見を交わしていく[c]真藤順丈/講談社 [c]2025「宝島」製作委員会

「知らない時代を描いた作品だが、時代の変化をどう感じましたか?」と妻夫木が問いかけると、生徒からは「自分たちは生まれた時から当たり前に米軍基地があって、映画のなかでは当たり前ではなく、米軍に反発していたことを知った。戦争の憎しみや悲しみが風化しつつあることを知り、これからの未来を作る若い世代が、実際にどんなことがあったのかを知り、どうするべきかを考えることが大事だと思う」という回答が。その言葉を受けて、顔を見合わせながら頷く3名。

さらに妻夫木は重ねて「映画に出てきた人と私たちを比べると、どちらが幸せか?」と投げかけると、積極的に手を挙げて発言する生徒たちからは「簡単には判断できない」など、さまざまな意見が飛び交う。すると妻夫木は、自ら取材した経験に基づいて「基地があるから生きていけた人もいる。ただの憎しみだけじゃないと思う」と語り、「幸せの価値観はとても難しい。なにが正義なのかわからない時代なので、私たちは先人たちの思いを胸に生きていかなければならない。過去に戦った人がいたからこそ、いまがある。そういう思いが届いていたらうれしい」と優しく呼びかけた。

質疑応答で演技について訊かれ、妻夫木は「自分のなかで生まれたものを大切に演じた」と回答
質疑応答で演技について訊かれ、妻夫木は「自分のなかで生まれたものを大切に演じた」と回答[c]真藤順丈/講談社 [c]2025「宝島」製作委員会

生徒たちから3名への質疑応答も大いに盛り上がり、約50分にわたって行われた交流会はあっという間に終盤へ。最後に広瀬は「皆さんの素敵な言葉とまっすぐな目で、作品の感想や疑問を生の声で聞けたことに、いままでの苦労が報われました」と感謝を述べ、大友監督も「この作品を観ていろんなことを感じ、伝えたいと思ってくれたなら、ぜひ広めてほしい。作品に込めたメッセージを沖縄にとどまらず、日本全国、そして世界へ届けたい」とコメント。

そして妻夫木は「地元の子どもたちと議論できるのがすごく楽しいし、素直な気持ちに触れて本当にうれしかった。過去を描くことが未来への問いかけになる、と思って作ってきました。そして死は終わりではなく、先人たちの想いは胸に刻まれている。僕たちはその想いを受けて、精一杯生きていかなくてはいけないし、これからどう生きるべきなのか、お互いに手と手を取り合って考えていくきっかけになるような映画になったらうれしい」と、生徒たちに直接語りかけていた。


文/久保田 和馬

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