ゆっきゅん&山中瑶子監督が『ラブ・イン・ザ・ビッグシティ』ジェヒとフンスの”友情”に共鳴&羨望「ありえんぐらい、観られてほしい映画」

ゆっきゅん&山中瑶子監督が『ラブ・イン・ザ・ビッグシティ』ジェヒとフンスの”友情”に共鳴&羨望「ありえんぐらい、観られてほしい映画」

映画『ラブ・イン・ザ・ビッグシティ』(6月13日公開)のPRESS KOREA試写会が6月3日に東京・神楽座で行われ、ゆっきゅん(DIVA)と山中瑶子監督が出席。主人公たちの築く唯一無二の関係性に大いに魅了されたという2人が、本作の魅力について語り合った。

世間のルールに縛られず、自由奔放に生きるエネルギッシュなジェヒ(キム・ゴウン)と、ゲイであることを隠し、孤独と向き合う日々を送っていたフンス(ノ・サンヒョン)。正反対とも思える2人が出会い、次第にかけがえのない存在となっていく姿を描く。この日のMCはライターの西森路代が務めた。

【写真を見る】ゆっきゅん、「ありえんぐらい、観られてほしい映画」と感銘
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原作は世界三大文学賞「国際ブッカー賞」や「ダブリン文学賞」にノミネートされた、パク・サンヨンのベストセラー小説。「数年前に原作を読んで、すごく感動した」というゆっきゅんは、「最速で主題歌を作ってやろうと思って、この映画が作られるくらいの時期に歌を書いていた。パク・サンヨンさんのサイン会にも行きました」と原作からの大ファンで、本作の主題歌のつもりで、楽曲「いつでも会えるよ」を書いたことを告白。「自分の人生においても女の子の友達しか基本的にはいなかったので、自分のような物語だと思った。男女の友情が当たり前にあって、女友達に対して、喜びや哀しみ、せつなさなど、大きな気持ちを抱えてもいいんだと思えるような作品」とジェヒとフンスの関係性に共鳴したという。山中監督は「現実世界でも、男女がお互いを信頼し合っていると、恋愛の文脈に絡め取られることも多い。駆け引きや下心みたいなものがまったくなく、お互いを見守っていられるような友情。(映画で観られて)すごくよかった」とこんな物語を待ち望んでいたと話す。

『ナミビアの砂漠』の山中瑶子監督も激賞!
『ナミビアの砂漠』の山中瑶子監督も激賞!

さらに憧れるような友情について話は深まり、ゆっきゅんは「お互いに、他の人には見せられなかった部分を見せられたり、一人でいる時に考えているようなことを話せる相手。自分の孤独な部分を知っている人が、自分を思ってくれていたり、見ていてくれていたり、そういう存在であり続けてくれるのはすごく心強いこと」だと力を込め、ジェヒ&フンスはまさにそういった最強の関係として描かれていたとコメント。

自身の監督作で、21歳のカナ(河合優実)が自分の居場所を探して姿を描いた『ナミビアの砂漠』を例に出し、山中監督は「『ナミビアの砂漠』では、恋人たちが『カナのことを理解している』と言うんですが、彼らは自分が見たいようにしか(カナを)見ていないのではないかという描写がある。ジェヒとフンスは時には肝心なことが言えなくてぶつかったりもするけれど、”本当はどう思っているのか”を隠さずに言い合おうとしている」と、ありのままの自分でぶつかっていく関係だと分析。山中監督自身は、友達に対して言えないことを抱えてしまうことがあるそうで「すごくうらやましかった」と打ち明けた。ゆっきゅんは、「ジェヒとフンスは、取っ組み合いの喧嘩をしても仲良くいられるという信頼がある」「仲直りするのも早い!」と楽しそうに語っていた。

ゆっきゅんと山中瑶子監督が、友情について語り合った
ゆっきゅんと山中瑶子監督が、友情について語り合った

山中監督が「うらやましい」と語ったように、自分自身の友達についても想いを巡らせたくなる映画である様子。ゆっきゅんは「自分の20代は、自己実現に駆け抜けた季節みたいな感じだった」と切り出し、「そのそばにはいつも友達がいて、私の話を聞いてくれた」と感謝しきり。同居生活を始めるジェヒとフンスを見て「楽しそう」だと思いつつも、「私はこう見えて臆病なので、怖くてできない。一緒に暮らせなくなった時のことを考えると、耐えられない。暮らす前からせつなくなっちゃう。だから一緒には暮らさずに、近くに住んでいます」と笑顔を見せた。

グッときたセリフやシーンも告白
グッときたセリフやシーンも告白

グッときたセリフやシーンについて、話に花を咲かせるひと幕もあった。「2人が家にいるシーンが大好き」だというゆっきゅんは、2人が「死ぬまで一緒に暮らそうか」と会話を繰り広げるセリフで「泣いちゃった」と回想し、「一生とか、死ぬまでとか、そう思える瞬間ってある。それを思った時に言葉して伝えられる関係性」だとしみじみ。

山中監督は「フンスが兵役に行くとなって。ジェヒは、フンスがいないのはつまらないからと、語学留学に行く。すごいなと思った。最高」とにっこり。またジェヒについて、「言いたいことをはっきり言ったり、自由奔放なように見えて、なかなか自分から彼氏に別れを告げられなかったりする。そういったところがめちゃくちゃかわいい」と魅了されたと話すと、ゆっきゅんも「愛おしい」と目尻を下げながら、「キム・ゴウンさんが、すごくよかった」と太鼓判。「実写化すると発表された時に、キム・ゴウンさんの顔をパッと見て『ジェヒだ!』と思った。これは大丈夫だと思った」と原作ファンとしても最高のキャスティングだと称えた。山中監督もゴウンに惹かれていることから、ホラーが苦手であるにも関わらず、彼女の出演作である『破墓/パミョ』(24)も鑑賞したとのこと。「女性らしいとか、そういった記号が付きづらい人が魅力的だなと思う」と興味をそそられる俳優像について語っていた。

「ジェヒ、本当に好き」とたっぷりと愛情を傾けた
「ジェヒ、本当に好き」とたっぷりと愛情を傾けた

そしてMCの西森から「『ナミビアの砂漠』のカナとジェヒは似ているかもしれない」と告げられると、山中監督は「カナみたいな人が好きで、あの映画を描いた。ジェヒのこともすごく好き。周りには自由奔放で、やりたい放題、言いたいことを言えている人と思われているかもしれないけれど、ジェヒもカナもその場の状況や、周りの人のことをすごくよく見ている。だからこそジェヒは、フンスにも助け船を出せたりする。そういう部分が見えてくると、すごく好きだなと思える」と愛情を傾けた。「めっちゃわかります」と同調したゆっきゅんは、「ジェヒ、本当に好き。“好きな友達、大集合”みたいな感じ。何人も自分の友達を思い出していました。いままで自分の人生に登場した誰かや、自分が友達になにをしてあげられたかとか、そういうことを思い出しながら帰路につくような映画」と特別な余韻を残す映画だとうなずいていた。


ゆっきゅん、西森も寄稿している劇場パンフレットは、字幕の掲載やステッカー付きと充実仕様。早速目を通したという2人だが、山中監督は「充実したパンフレット。キーワードやロケ地マップもある」と惚れ惚れ。ゆっきゅんは「ありえんぐらい、観られてほしい映画」、山中監督も「誰が観ても元気をもらえる映画だと思う」とプッシュし、そういった映画に人がなかなか集まりにくい状況もあると分析。「(劇中で)フンスのお母さんが『君の名前で僕を呼んで』を観に行ったところもすごくよかった。違う世代の人もオススメしてください」と最後までたっぷりと本作への愛をにじませていた。

取材・文/成田おり枝


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