柚木麻子のデビュー作を當真あみ&中島セナの主演で映画化!『終点のあの子』2026年公開
<コメント>
●吉田浩太(監督)
「いまから10年以上前に柚木麻子先生の小説『終点のあの子』を読みました。自分は男性かつすでに思春期は過ぎてしまいましたが、女子高校生である登場人物たちの行動や気持ちに痛いほど共感したことを覚えています。小説で描かれる若者特有の感情はとても普遍的であり、その普遍さによって自分の心は強く動かされ、すぐに映画にしてみたい衝動に駆られました。原作として向き合い続けたゆえ、映画化へのプロセスはとても長いものになりましたが、當真あみさん、中島セナさんといういまの時代を象徴する若く素晴らしい感受性に満ちた2人に主役を演じてもらえたことで、この小説が持つ瑞々しい普遍的な『終点のあの子』の世界を映像化することが出来たと思っております。映画『終点のあの子』は、初めて小説を読んでから10年以上経て念願叶って映画にすることが出来た、自分にとって奇跡のような映画です。このたび、上海国際映画祭でワールドプレミア上映が出来ることを大変光栄に思っております」
●當真あみ(希代子役)
「最初に原作を読んだ時、どの子の立場でも気持ちや行動に共感出来るなと感じました。些細なことで一喜一憂し、傷ついたり、誰かに憧れ、妬ましく思ったり、新しい出会いと価値観に触れ変わっていく姿に、共感出来る部分が沢山ありました。私が演じた希代子は、常に周りに合わせながら生きていて、友だちといる時も、母といる時も自分の意見を言わない女の子でした。監督からはできるだけ自然体で、普段の當真さんでいて欲しいとお話を受け、できるだけ感じたままにお芝居できるよう意識しました。今回、上海国際映画祭に参加させていただける事になりました。私自身、映画祭への参加は初めてで、この作品で参加出来ることへの喜びでいっぱいです。この作品は、観てくださる方が、登場人物の誰かに必ず共感出来るような作品だと思います。いま学生の方も大人になったみなさんにも見ていただけるとうれしいです」
●中島セナ(朱里役)
「撮影からもう1年が経っていることに驚きます。現場で同級生役のみんなが撮影の合間にも楽しそうに踊ったり笑い合っている姿は、本当に学校にいると錯覚してしまうほどでした。映画では、高校生の自尊心の行方がそれぞれ描かれていると思います。そして私は、朱里に通ずる傲慢さのようなものを持っている1人だと改めて自覚させられました。彼女たちが友だちの中に映し、狂ったように確かめ合っていたのは、脆い自分自身を見るためだったのかと思うのです」
●平澤宏々路(奈津子役)
「『終点のあの子』はそれぞれのキャラクターがもつ憧れとコンプレックスが入り交じって、思春期ならではの儚さと脆さと怖さがある作品だと思いました。初めて台本を読んだ時は作品のもつ空気感に惹き込まれて、読み終わってからも何日間か余韻が抜けませんでした。自分と同じ女子高校生たちの話ということもあり、撮影中に言葉がつまる時や休憩中に涙が出てくる時があるほどシーンの状況に強く共感したり、セリフが深く突き刺さったりしました。私が演じた奈津子は、ある意味すごく共感できるキャラクターになっているのかなと思います。学校という小さいのにとても広い世界の中で、自分が存在する意味や自分の立ち位置について悩み、必死にもがく女子高生達の姿をぜひ劇場で観ていただけたらうれしいです」
●南琴奈(恭子役)
「原作を読ませていただいて、恭子の不器用で人間味のあるキャラクターが可愛らしくて、せつなくて、私は大好きだったので演じることができてとてもうれしかったです。見た目だけではわからない心の内や葛藤が彼女にはたくさんあって、自分とは違うようでいてどこか重なる部分も感じながら演じさせていただきました。撮影中は、私自身も高校生だったこともあり、恭子たちの空気をリアルに感じながら、同年代のキャストのみなさんと実際の学校のように楽しく撮影が出来たので、その空気感やリアリティが映像にも映しだされているのではないかなと思います。純粋であるがゆえに、少し残酷で、それでいて美しい彼女たちの世界を沢山の方に観ていただきたいなと思います」
●前信介(企画、プロデューサー)
「当時、多くの企画を模索しているなかで、吉田監督から突然のDMが届き『終点のあの子』を読んだのは2016年の暮れでした。読み手の価値観やこれまでの環境、経験によっても受け取り方が七変化するであろうということに魅力を感じ、企画開発をスタートしました。企画成立までは紆余曲折が何度もあり、さらにコロナ禍の影響で頓挫しかけました。しかし世の中が様変わりし変化したなかでも、この作品は普遍的で強度があると確信することになったのです。一方で『希代子役が見つからない限りは撮らない』と決めていました。朱里役は中島セナさんのイメージが強くあったのですが、希代子役は難航していました。この先10年待っても現れないのでは?と諦めかけた時に現れたのが當真あみさんという逸材でした。なんとも形容し難い『特別な存在』でした。企画は大きく前進することになりました。この主演お2人に加え、オーディションで勝ち取った奈津子役、平澤宏々路さんは劇中でも異彩を放っています。恭子役はお会いしてその場で異例の即決(満場一致)となった南琴奈さん。開発から約9年を経ての公開となり、精魂込めて作品を送りだします」
文/平尾嘉浩