第78回カンヌ国際映画祭が開幕、今年の賞レースを牽引する作品は?日本からは早川千絵監督最新作『ルノワール』『遠い山なみの光』『8番出口』など7作品が上映
第78回カンヌ国際映画祭が5月13日、フランスのカンヌで開幕した。今年はコンペティション部門、ある視点部門、カンヌ・プレミアや、監督週間、批評家週間をはじめとした並行部門を併せると日本作品が7本上映される。
日本映画のラインナップを一挙紹介
長編デビュー作『PLAN 75』(22)が第75回カンヌ映画祭ある視点部門に出品されてカメラドール特別賞を受賞した早川千絵監督の最新作『ルノワール』(6月20日公開)は、最高賞パルムドールを競うコンペティション部門に選出された。ダルデンヌ兄弟、リチャード・リンクレイター、ウェス・アンダーソン、ヨアキム・トリアー、アリ・アスター、そして『TITANE/チタン』(21)で第74回カンヌ映画祭パルムドールを受賞したジュリア・デュクルノー監督なども同部門に名を連ねている。今年のコンペティション部門には、早川監督、デュクルノー監督を含め7名の女性監督が参加している。
ある視点部門には石川慶監督がカズオ・イシグロの原作を映画化した日本・イギリス・ポーランド合作『遠い山なみの光』(9月5日公開)が、カンヌ・プレミア部門に深田晃司監督『恋愛裁判』(2025年冬公開)、ミッドナイト上映部門には人気ゲームの映画化『8番出口』(川村元気監督、8月29日公開)がそれぞれ選ばれている。
コンペティション部門のプレミアが行われるリュミエール劇場などがあるメイン会場と共に、クロワゼット通り沿いにある劇場で行われる監督週間では、李相日監督の『国宝』(6月6日公開)と団塚唯我監督『見はらし世代』(2025年秋公開)が上映される。昨年は山中瑶子監督の初長編作品『ナミビアの砂漠』(24)が同部門に出品され、国際映画批評家連盟賞を受賞している。批評家週間部門には、パリ在住の瀬戸桃子監督のアニメーション作品『Dandelion's Odyssey』(日本公開未定)が、学生作品のラ・シネフ部門には、田中未来監督『ジンジャー・ボーイ』(24)がそれぞれ選出されている。
昨年のカンヌ映画祭では、新たな映画会社・K2 Picturesが映画製作ファンドを用いて岩井俊二、是枝裕和、白石和彌、西川美和、三池崇史監督らの作品を製作する発表を行ったが、今年はIMAGICA GROUPが映画資金支援を発表。今後5年間、新人監督による企画を支援し、映画祭など世界へ羽ばたくクリエイターを創出することが目的だという。第一弾として、社会福祉士として働く寺田ともかが、自身の書いた脚本『マリア』を自ら監督することが決定した。世界の映画祭・映画賞における日本映画の躍進とともに、是枝監督や濱口竜介監督に続く才能の開花を支援することも、映画祭に参加する多くの映画関係者の命題となっている。