大森元貴が超ロングインタビューで『#真相をお話しします』を語り尽くす!"鈴木”のキャラ解釈、ネットリテラシーへの持論、「天国」制作秘話まで

インタビュー

大森元貴が超ロングインタビューで『#真相をお話しします』を語り尽くす!"鈴木”のキャラ解釈、ネットリテラシーへの持論、「天国」制作秘話まで

「人って目の前のものに目が眩むと、足元の大事なものに目がいかなくなる」

「なんか難しい話になってます?やばい?」と笑顔も見せながら、終始真摯に言葉を継いでくれた大森。「僕にもし子どもがいたら、この映画、観せますよ。“ちょっとびっくりするシーンもあるけど、正しい時期がきたら子どもに観せたい”というような感想をつぶやいている方もいて、その時、この映画は教材になり得るんだなと思ったし、僕と同じ感覚で楽しんでくれたんだなと思いました。逆に、“自分も当事者になった気がする!”みたいに言っている観客の一体何人が、半年後この映画のことを覚えてくれているかな?とも思っていて。でもそこがおもしろいところ!人ってそんな大層なものじゃないんですよ。だからこそ、僕は『天国』が書けたんです」。

【写真を見る】『#真相をお話しします』の”舞台裏”をテーマに大森元貴を撮りおろし!ヘアメイクも協力してのショット
【写真を見る】『#真相をお話しします』の”舞台裏”をテーマに大森元貴を撮りおろし!ヘアメイクも協力してのショット撮影/湯浅 亨

ここで、先日TVの音楽番組でも披露された、本作の主題歌「天国」の話題に。全身を震わせ絞り出すように歌う彼の姿は、劇中の鈴木と限りなくダブって見え、胸が苦しくなった方も多いだろう。この主題歌と共に流れるエンドロールの”2つの光”の映像を制作したCGディレクターの福地亮介は、「天国」というタイトルを知らずにデモ音源を聞きながら作業を進めるなか、「天国みたいなイメージの曲だな」と感じていたというミラクルも!

「それってすごい話ですよね!めちゃくちゃうれしかったです。映画で流れるのはムービーバージョンで、少し短くなっているんですけど、ラストの終わり方には自分のなかで確かなイメージがありました。実際映像を観てみたら、つかず離れずの2つの光が最後はプツンとこと切れるような美しい映像で。“ああ、音楽の可視化をしてもらったな”と思いました。映画は総合芸術ですが、音楽ってライブ以外は目で見て楽しむことがなかなか難しいじゃないですか。あの映像は必要最低限の情報でありながら、とてもエンドロール然としていたし、主題歌は主題歌でちゃんと立たせてもらった状態でしっかり作品につなぎとめてくれていた。それぞれの『#真相をお話しします』の、もっと先を垣間見られたような気がして僕も感動しました」。

現在公開されている「天国」のMVも最後は咲き誇る花を踏み潰し、唐突に終わりを告げる。
「決して“天国に行けたね”という話ではないんです。人って目の前のものに目が眩むと、足元の大事なものに目がいかなくなる。それを繰り返す生き物だということを描きたかったのかな。豊島(圭介)監督と鈴木のことを話すうえで度々出てきた“狂った凪”という両極のワードも、楽曲作りの大きな拠り所になりました」。

「環境が変わったり背負うものが多くなったりすればするほど、なにかの“初心者”として『教えてください!』とは言えなくなる」

本作の出演以降も、NHK連続テレビ小説「あんぱん」の出演が控えるなど、俳優業も広がりを見せつつある大森。当初は『#真相をお話しします』の出演に躊躇したというエピソードは、いろいろな場所で本人も語っている通りだが、いま現在この選択をどのように感じているのだろうか。

Mrs. GREEN APPLEの大森元貴とtimeleszの菊池風磨のW主演は発表時から大いに話題を呼んだ
Mrs. GREEN APPLEの大森元貴とtimeleszの菊池風磨のW主演は発表時から大いに話題を呼んだ[c]2025 映画「#真相をお話しします」製作委員会

「スクリーンデビューがこの映画チームで本当によかったです。お芝居の仕事をするというのは、自分としては恥をかきにいくつもりの挑戦でした。環境が変わったり背負うものが多くなったりすればするほど、なにかの“初心者”として『教えてください!』とは言えなくなる。それを心の底から言えた現場だったので、感謝しかありません。当時もやりたくなくて迷ったわけではなく、いろんなことを鑑みてやるべきか否かと悩んだんです。豊島監督が僕のことを“プロデューサー・プレイヤー”と表現してくれたそうですが、僕は普段ミセスの楽曲だけでなく、メンバーの髪型、髪色から衣装まですべて決めているんですよ。だからそんな自分が俳優部として一つのピースになれるのかが、最初は不安だった。でもそれもこのチームとは映画『青夏 きみに恋した30日』、『ラーゲリより愛を込めて』でお仕事をした流れがあったからこそ。もし初めてのチームだったら?無理無理!絶対無理です。僕、内弁慶ですから!」 

ちなみに俳優業を経験したことについては、「自分を俳優とも思っていない…という言い方は失礼になるかもしれないけど、とにかくまだまだ俳優業に関してはわからないことばかりです。ただやるからには一生懸命やらせてもらいます」。

「このチームには本当に甘えさせてもらった」と繰り返す大森元貴
「このチームには本当に甘えさせてもらった」と繰り返す大森元貴撮影/湯浅 亨

長時間にわたったインタビューの最後まで、「このチームは僕の変なところまでよくわかってくれているから、本当に甘えさせてもらいました」と繰り返していた大森。「甘えさせてもらいつつ、自分なりに頑張ったら、めちゃくちゃたくさんの映画館で公開されてる!という感覚なんです。今後も俳優業をやっていくか云々に関しては、答えは考えさせてください(笑)」。

それでも多くの人が思うであろう「俳優=大森元貴をもっと見てみたい」という期待と願望を伝えると、「やば!頑張ります」と笑顔で深々と頭を下げてくれた。淀みなく繰り出されるクレバーなワードの中にこもった、先を見据えた静かな熱。すでに多くの若者を熱狂させているミセスのフロントマン、大森元貴。その快進撃は、一体どこまで進むのだろうか。


取材・文/遠藤 薫

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