来日したチョン・ヘインが明かす『ベテラン 凶悪犯罪捜査班』の役作り「使ったことのない顔の筋肉を活用してみたかった」

来日したチョン・ヘインが明かす『ベテラン 凶悪犯罪捜査班』の役作り「使ったことのない顔の筋肉を活用してみたかった」

これぞ快作。そして続編の正解を叩き出したとも言いたい。韓国で1340万人動員という記録的大ヒットを収めたアクション捜査活劇『ベテラン』の続編、『ベテラン 凶悪犯罪捜査班』(4月11日公開)だ。9年ぶりにもかかわらず、エネルギッシュなアクションに乗せて社会問題を突きつける切っ先の鋭さや、前作から引き続き捜査チームとストーリーを牽引する刑事ソ・ドチョルを演じるファン・ジョンミンのタフネスにまったく衰えはない。そして今作で新たに存在感を示したのは、間違いなくチョン・ヘインだった。

【写真を見る】アドリブシーンは「セリフというよりもふとした行動として表現できた」というチョン・ヘイン
【写真を見る】アドリブシーンは「セリフというよりもふとした行動として表現できた」というチョン・ヘイン撮影/杉映貴子

チョン・ヘインが魅せたパク・ソヌの人間性「撮影中に出たアドリブだった」

ベテラン刑事ソ・ドチョル(ファン・ジョンミン)率いる凶悪犯罪捜査班の管轄区域では、法で裁かれない悪人が次々と殺害される事件が発生していた。私的制裁を下す犯人のことを、世間は善と悪を裁く伝説上の生き物“ヘチ”になぞらえつつ正義のヒーローのともてはやす中、ある犯人の護送中に起きた騒動をきっかけに新人刑事パク・ソヌ(チョン・ヘイン)がチームに加入。ドチョルに心酔する彼の活躍により、事件は解決するかに見えたが…。

リュ・スンワン作品の真骨頂と言えば、毎回登場する斬新でエキサイティングなアクションだ。今作でも重く、強く、速いアクションシーンが次々繰り出される。韓国での記者会見でチョン・ヘインは「これまでやってきたアクションとは強度と密度が異なっていて、よりたくさんの練習をしなければならなかったし、練習が足りていないと撮影現場で残念なことになると練習と基礎体力のような準備をたくさんした」と苦労を明かしていた。

「テイクをこなすたびに体力を使い切った」という熱のこもったアクションは必見
「テイクをこなすたびに体力を使い切った」という熱のこもったアクションは必見[c]2024 CJ ENM Co., Ltd., Filmmakers R&K ALL RIGHTS RESERVED

そんなアクションシーンをよりエモーショナルにしたのは、ソヌという人間の奥行きだ。パク・ソヌに近いパーソナリティを持つ人物に関する映像をたくさん見るなど、チョン・ヘインはキャラクターをつかむための方法を模索した。鏡を見ながらの役作りも、「脚本にあったパク・ソヌという人物の人間性のディテールを具体的に作るため、自分の表情を観察して使ったことのない顔の筋肉を活用してみたい」と考えたのだという。

劇中、パク・ソヌの横顔が鏡に映る瞬間がある。保釈された殺人犯チョン・ソグ(チョン・マンシク)を護送する際に怪我をしたソヌを労おうと、ドチョルら凶悪犯罪捜査班のメンバーと一緒に食卓を囲むシークエンスだ。酒も入り和やかなムードに包まれる一方で、どこか気がかりな雰囲気が忍び寄る。この不穏さは、実は「撮影前日に『こうしよう』と分析したからではなく、ああいう状況に置かれたことで頭の中に浮かび自然に出たんだと思います」というチョン・ヘインのアドリブによる効果だった。

チョン・ヘインのアドリブに注目!
チョン・ヘインのアドリブに注目![c]2024 CJ ENM Co., Ltd., Filmmakers R&K ALL RIGHTS RESERVED


「この時ソヌは、ソ・ドチョルという人物はある程度知ってはいるのですが、彼が率いるチームのことはまだよく知らない状態です。実際に撮影現場でも、他の俳優の方々がどんなアドリブをするのか、私がいまこの中でどう見えるかも気にしていました。なのでなにか変わったことを見せるのではなく、最大限観察しようとしました。ソヌとして演じる時にも、チームのメンバーの特徴を分析する演技をしようとした記憶があります。確かに、ある意味ソヌの内面が投影されたシーンでしたね。監督からは具体的な演出というより、『チョン・ヘインさんができることを、とにかく感じたまま自由にやってみせて』と任せていただいたことを覚えています。あのシーンでは、私だけお酒をまったく飲まないんです。ソヌは自分の周りにいるチームのメンバーたちがまだよくわからないから、苛立ちを感じている。そこで、ソヌの性格をよく表すある癖を表現したくて、カメラには映っていないのですが、スプーンをティッシュで拭く演技をしました。その表情で潔癖症というソヌのキャラクター設定を表現したかったんです」。


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