来日したチョン・ヘインが明かす『ベテラン 凶悪犯罪捜査班』の役作り「使ったことのない顔の筋肉を活用してみたかった」

来日したチョン・ヘインが明かす『ベテラン 凶悪犯罪捜査班』の役作り「使ったことのない顔の筋肉を活用してみたかった」

“国民的年下彼氏”から新人刑事まで…あらゆる役柄を演じ分ける秘訣「役から役へ移る過程が重要」

パク・ソヌという人物像への深い洞察と高い解像度からも分かるように、彼は作品ごとにMBTI(性格判断テスト)の結果が変わってしまうほど役柄に没入してしまうことで知られている。しかも、本作を撮影していた2022年前後、あまり間を明けることなく『ソウルの春』(23)や「となりのMr.パーフェクト」の撮影もあった。軍事クーデターを阻止しようとした陸軍少将、親しみやすい幼なじみ男子、そして刑事パク・ソヌを演じ分けるのは大変だったのではないだろうか。

“UFC巡査”としてネットでも人気者だったパク・ソヌ
“UFC巡査”としてネットでも人気者だったパク・ソヌ[c]2024 CJ ENM Co., Ltd., Filmmakers R&K ALL RIGHTS RESERVED

「演じ分けることよりも、役から役へ移る前の過程が最も重要です。AというキャラクターからBというキャラクターへ切り替えるには、その中間に別の存在が必要だと思っていて、それが私が考える人間の最も中立的な状態なんですよね。 もちろん“人間”チョン・ヘイン個人の価値観や主観が少し入るでしょうけれど、あるキャラクターとキャラクターの間にはいろいろな視点を持つ存在が必要なんじゃないでしょうか。例えば『ベテラン 凶悪犯罪捜査班』のパク・ソヌから『となりのMr.パーフェクト』のチェ・スンヒョを演じるまでに、自分を一度空っぽにしなければなりません。空っぽにする過程は簡単ではないんですが、空けなければほかのもので満たすことができませんよね。十分な空きがない状態で新しいものが入ってきたら、かなり負荷がかかってしまいます。これはまずないと思いますが、キャラクターの人格が雑に混ざってしまうかもしれません。例えばパク・ソヌのような人間が私の中にいる時に別のキャラクターを準備しなければならなくなったら、ソヌという人物を矛盾なく演じることなんてできなくなってしまうんです」。

初共演ながらファン・ジョンミンとの息もピッタリだった
初共演ながらファン・ジョンミンとの息もピッタリだった[c]2024 CJ ENM Co., Ltd., Filmmakers R&K ALL RIGHTS RESERVED

一つの役柄。一本の作品。そのすべてに全力でぶつかり、ひたむきに演じる。インタビューでも一問に対し真正面から向き合う受け答えが印象的だったが、それはそのまま演技への姿勢に現れている。一方まじめさゆえに、「一つの作品に取り掛かっている時には、他の作品の脚本をしっかり読み込めないんです」という悩みもあるようだ。

“眼差しの表現力”も評価されたチョン・ヘインの吸い込まれそうな瞳
“眼差しの表現力”も評価されたチョン・ヘインの吸い込まれそうな瞳撮影/杉映貴子


「脚本を読んでいるのはチョン・ヘインではなく、これから作品で演じようとしている人物として読むわけなので、私の中に完全に吸収できないんですよね。一つの作品が終わった時にようやく、上手く演じられなかったこと、偏って考えていたことなど、演じ終えたキャラクターについて見えるものがあります。私はまだ役者として12年くらいのキャリアなので、20年、30年と経験を積み重ねたら、もう少し切り替えがスピーディで上手くなるんじゃないかと、自分でも期待しています」。


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