来日したチョン・ヘインが明かす『ベテラン 凶悪犯罪捜査班』の役作り「使ったことのない顔の筋肉を活用してみたかった」
チョン・ヘイン自身が思う“俳優”チョン・ヘインの長所とは?「ニュートラルだからこそどんなオファーにも飛び込める」
前作の成功を踏襲することも、逆に新しいものだけ追求するのもダメ。バランスを合わせながらチームに新しさを加えるとしたら誰が良いかと悩んだリュ・スンワン監督は、自身の制作会社「外柔内剛」が手掛けた『スタートアップ!』(19)に出演したチョン・へインを思い出した。そして「コミカルな『となりの Mr.パーフェクト』もよかったし、脱走兵を追う『D.P.‐脱走兵追跡官-』の軍人役も似合うし、『コネクト』で見せたとても暗い感じも似合う」と、単なる新しさにとどまらない彼の多様な表現力を高く評価したという。ファン・ジョンミンも、彼がプレッシャーを跳ねのけて挑戦的な役に取り組んだことに拍手を送っている。
みんなから愛されるチョン・ヘイン自身は、“俳優”チョン・ヘインの長所をどんなふうに考えているのだろう。褒められるとうれしさと気まずさの両方を感じてしまう「賞賛アレルギー」があるという謙虚すぎる彼は、「長所ですか…(苦笑)。わざわざ自分の長所を話すのが一番恥ずかしいし、きまりが悪いんですよね…」と少し悩まし気に、こう明かしてくれた。
「以前から話しているんですが、 外見にしろ演技にしろ、持っているカラーやキャラクターが強くない、ニュートラルなところかと思います。だからこそいろいろな監督が『チョン・ヘインとこういう作品をつくりたい』とか『今度こんな役を演じてほしい』とおっしゃってくださるし、どんなオファーにも飛び込んでいけるゆとりが持てているんじゃないでしょうか。例えばサッカー選手だと、攻撃も守備もできるというようにジャンルを問わない感じでしょうか…。でも、完璧だとは思っていないです。私も出演作が少ないわけではないので、ある程度できるという感じですね。監督、共演者の皆さん、スタッフの方々が私の足りない部分を補ってくださっているんです」。
今回の緊急来日は、午前中に韓国・金浦空港を出発し、2日間で2か所、ジャパンプレミアも含め計6回もの舞台挨拶をこなす実に多忙なスケジュールだった。それもそのはず、まもなくファン待望の新作が控えているのだ。
「今月から次の作品の撮影が始まるんですが、これまで経験のないジャンルなのでちょっと心配しています。始めてしまえば上手くやれるんですけど、もともとクランクインの前が一番不安を感じる方なんです。とにかく今、新しい作品が僕にとって新しい挑戦なんです。でも自分にとってチャレンジングな役は、必ずやっておかないといけないと思います」。
取材・文/荒井 南