実話ってホント!?『ミケランジェロ・プロジェクト』に『ワルキューレ』、ジェームズ・ボンドのモデルになった『アンジェントルメン』など第二次世界大戦期の軍事作戦を描いた映画たち

実話ってホント!?『ミケランジェロ・プロジェクト』に『ワルキューレ』、ジェームズ・ボンドのモデルになった『アンジェントルメン』など第二次世界大戦期の軍事作戦を描いた映画たち

ガイ・リッチー監督のアクション大作『アンジェントルメン』が公開中だ。第二次世界大戦中に実在したイギリスのスパイチームの活躍を描く痛快作で、ナチス・ドイツのUボートの航行を阻止しようとする極秘作戦が展開される。この作戦にはのちに作家となるイアン・フレミングが関わり、実行部隊のリーダーが「007」シリーズのジェームズ・ボンドのモデルになったといわれている。そんな本作にちなんで、第二次世界大戦下で実際に行われた作戦を映画化したアクション、サスペンスを紹介しよう。

ガイ・リッチーとジェリー・ブラッカイマーが手を組んだスパイアクション『アンジェントルメン』
ガイ・リッチーとジェリー・ブラッカイマーが手を組んだスパイアクション『アンジェントルメン』[c] 2024 Postmaster Productions Limited. All Rights Reserved.

奪われた美術品を取り戻すため美術分野の専門家が集められる『ミケランジェロ・プロジェクト』

ナチス・ドイツが占領地から略奪した美術品を取り戻すため、美術分野の専門家チームがヨーロッパ各地で奔走するジョージ・クルーニーの監督&主演作『ミケランジェロ・プロジェクト』(13)。ドイツ軍による美術品の押収に危機感を抱いたハーバード大学付属美術館のフランク・ストークス館長(クルーニー)は、美術品を取り戻すことを目的とする6人の仲間と「モニュメンツ・メン」を結成する。しかし彼らは、キュレーターや建築家、彫刻家といった戦いとは無縁の者たちだった。

ナチス・ドイツが略奪した美術品を取り戻すため、美術分野の専門家チームがヨーロッパ各地で奔走する『ミケランジェロ・プロジェクト』
ナチス・ドイツが略奪した美術品を取り戻すため、美術分野の専門家チームがヨーロッパ各地で奔走する『ミケランジェロ・プロジェクト』[c]Everett Collection/AFLO

クルーニーをはじめ、マット・デイモン、ビル・マーレイ、ジョン・グッドマンらが部隊のメンバーを演じるほか、彼らに協力する美術館員役でケイト・ブランシェットも出演。このオールスター集結の様相に、さながら気分は”戦争版オーシャン”。前線で邪魔者扱いされながら、かけがえのない文化を守るため奮闘する姿がユーモアを交えて描かれる。偶然、金の山を発見したり、ナチスのスパイを暴いたり、ロマンスを匂わせるサイドストーリーも見どころ。ちなみに“ミケランジェロ・プロジェクト”は、イメージから命名した日本題で、作戦名ではない(原題は部隊名から取った『The Monuments Men』)。

キュレーターや建築家、彫刻家といった戦いとは無縁の者たちが集められる(『ミケランジェロ・プロジェクト』)
キュレーターや建築家、彫刻家といった戦いとは無縁の者たちが集められる(『ミケランジェロ・プロジェクト』)[c]Everett Collection/AFLO

偽の作戦情報を死体に持たせてドイツ軍に掴ませる『オペレーション・ミンスミート ―ナチを欺いた死体―』

オペレーション・ミンスミート ―ナチを欺いた死体―』(22)はイタリアのシチリア島上陸作戦を計画していたイギリスが、ナチス・ドイツの目を逸らすために実行した「ミンスミート(ひき肉)作戦」を題材にしたサスペンス。本命のシチリア攻略計画を隠すため、イギリス諜報部のイアン・フレミング(ジョニー・フリン)は架空のギリシャ上陸計画の情報を流して敵を欺く作戦を立案。モンタギュー少佐(コリン・ファース)とチャムリー空軍大尉(マシュー・マクファディン)はさっそく準備に着手することに。

ナチス・ドイツに偽情報を掴ませる「ミンスミート作戦」を描く『オペレーション・ミンスミート ―ナチを欺いた死体―』
ナチス・ドイツに偽情報を掴ませる「ミンスミート作戦」を描く『オペレーション・ミンスミート ―ナチを欺いた死体―』[c]Everett Collection/AFLO

ミンスミート作戦とは、偽の作戦計画書を持ったマーティン少佐なる軍人の死体をドイツに掴ませること。架空の将校にリアリティを持たせるため、チームが奮闘した舞台裏が描かれる。監督はこちらも第二次世界大戦の実話を映画化した『コレリ大尉のマンドリン』(01)のジョン・マッデン。二転三転するスパイ戦のおもしろさに加え、三角関係などの人間ドラマや当時を再現した緻密な映像も見応えがある。

死体を使って偽の作戦計画書を持ったマーティン少佐なる軍人を作り上げる(『オペレーション・ミンスミート ―ナチを欺いた死体―』)
死体を使って偽の作戦計画書を持ったマーティン少佐なる軍人を作り上げる(『オペレーション・ミンスミート ―ナチを欺いた死体―』)[c]Everett Collection/AFLO

包囲された大都市レニングラードからの脱出作戦を描く『セイビング・レニングラード 奇跡の脱出作戦』

1941年から44年の約900日にわたり、ナチス・ドイツがソ連(ロシア)の大都市レニングラードを囲み、孤立させたレニングラード包囲戦を描く『セイビング・レニングラード 奇跡の脱出作戦』(19)。多くの餓死者を出したこの戦いで実行された脱出作戦の一つを、若い兵士とその恋人の視点で描いた戦争アクションとなっている。

作戦実行の模様が若い兵士とその恋人の視点で描かれる『セイビング・レニングラード 奇跡の脱出作戦』
作戦実行の模様が若い兵士とその恋人の視点で描かれる『セイビング・レニングラード 奇跡の脱出作戦』[c] AVK LLC, 2019

ソ連軍は1500人の兵士や市民を荷船に乗せてラドガ湖から脱出する水上作戦を敢行。そのなかには士官候補生のコースチャ(アンドレイ・ミロノフ・ウダロフ)と恋人ナースチャ(マリア・メルニコワ)も乗り込んでいた。重量オーバーによる沈没の危機、市民の階級間による軋轢、スパイ容疑で逮捕された父を持つナースチャと捜査官の確執を中心とする、『ダンケルク』×『タイタニック』テイストの物語が展開される。船をねらうドイツ軍戦闘機メッサーシュミットが飛来する航空アクション、湖畔での『プライベート・ライアン』風の激しい銃撃戦にも圧倒される。

迫力ある激しい戦闘描写にも注目(『セイビング・レニングラード 奇跡の脱出作戦』)
迫力ある激しい戦闘描写にも注目(『セイビング・レニングラード 奇跡の脱出作戦』)[c] AVK LLC, 2019


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