「『ショーシャンクの空に』を思い出した」…刑務所を舞台にした新たな名作『シンシン/SING SING』に映画ファンたちから称賛の声!
ニューヨークのシンシン刑務所で行われている、“舞台演劇”によって収監者の更生を目指すプログラム「RTA(Rehabilitation Through the Arts)」から生まれたヒューマンドラマ『シンシン/SING SING』(4月11日公開)。実際にプログラムに参加した元収監者も多数出演し、実話をベースに演劇によって人生に希望を見いだそうとする男たちの友情が描かれる。このユニークな試みが用いられた本作は大きな喝采によって迎えられ、映画ファンに支持されるSXSW(サウス・バイ・サウスウエスト)映画祭で最高賞となる観客賞を受賞。北米配給権を人気スタジオのA24が獲得し、本年度アカデミー賞でも3部門(主演男優賞、脚色賞、歌曲賞)にノミネートされる快挙を成し遂げている。
『ショーシャンクの空に』(94)、『グリーンマイル』(99)など刑務所を舞台に登場人物たちが織り成す人間ドラマを描いた作品には名作が多いが、本作もまたそんな系譜に連なる感動作。それだけに日本の映画ファンからの注目も集めている本作について、MOVIE WALKER PRESSは公開に先駆けて試写会を実施。そこに寄せられたコメントから印象的なものをピックアップし、『シンシン/SING SING』がどのように受け止められたのか探っていきたい。
厳重に警備されたシンシン刑務所。無実の罪で収監されたディヴァインG(コールマン・ドミンゴ)にとって、更生プログラムとして行われる舞台演劇は、生きる希望を持ち続けるために欠かせないものだった。そんな彼を仲間たちは慕い、演劇について語り合い、日々の稽古に励んでいる。ある日、刑務所一の悪党として恐れられるディヴァイン・アイ(クラレンス・マクリン)がプログラムに参加することに。彼の意見で次の演目が不慣れな喜劇に決まるなか、新たな公演に向けての準備がスタートする。
「心情の表現力がすごい」…名優コールマン・ドミンゴの演技に称賛の声が続々
主演は『ラスティン: ワシントンの「あの日」を作った男』(23)に続いて、2年連続でアカデミー賞主演男優賞の候補になった名優コールマン・ドミンゴ。ドミンゴ演じるディヴァインGはRTAの中心人物で、シェイクスピアにも精通し自身で台本も手掛けている。メンバー間での信頼も厚く、演劇がもたらす力を信じていることから、不協和音をもたらしかねないディヴァイン・アイを迎え入れることにも前向きだ。
「心情の表現力がすごくて、さすがオスカーノミニー俳優だと思いました」(30代・男性)
「コールマン・ドミンゴがずっとかっこよかった」(20代・女性)
「仮釈放が認められず、みんなの前で感情を爆発させるコールマン・ドミンゴの演技が最も印象に残った」(20代・男性)
ディヴァインGはリーダーシップがあるだけでなく、刑務所内においても品格を失わずに周囲を明るく照らし続ける存在だ。一方で、無実を訴え続けながらも再審請求が棄却されてしまい、わずかな希望さえも失ったことでついに心を閉ざしてしまう。そんな感情の起伏を繊細に表現したドミンゴの演技を称賛する声は多い。
「誰一人欠けてはならない存在」…本人役で出演した元収監者たちのリアリティ
ディヴァインGと友情を育むことになるディヴァイン・アイ。元ギャングで所内でも怪しい取引を行っているなど危険な空気感を漂わせている。それがどういうわけか、RTAの舞台に感銘を受け、プログラムへの参加を希望するのだが、講師の話を真面目に聞かず、稽古でも演技を途中で投げだしてしまう。しかし、真剣なディヴァインGと向き合ううちに、彼の心にも変化が起きていく。
「最初はとげとげしい雰囲気だったが、ディヴァインGとどんどん打ち解けていく様子を見て、どんな環境でも人は変われると思った」(40代・女性)
「物語が進むにつれて、ディヴァイン・アイの表現力が解放されていく様が気持ちよかったです」(30代・女性)
ディヴァイン・アイことクラレンス・マクリンは、実際にRTA参加者でもあったマクリン本人が演じている。現在はRTAのコンサルタント兼アンバサダーを務めているほか、プロの俳優としての活動も本格的にスタート。本作が初演技ながら、英国アカデミー賞、放送映画批評家協会賞、ゴッサム・フィルム・アワード、インディペンデント・スピリット賞などで最優秀助演男優賞にノミネートされるなど今後の活躍が楽しみな存在となった。
このほか、ディヴァインGの右腕的存在であるマイク・マイク役で、ドミンゴ率いるエディス・プロダクションズの主要メンバーの一人で30年近くにわたって協働しているショーン・サン・ホセも出演し、息の合ったかけ合いを披露。『サウンド・オブ・メタル ~聞こえるということ~』(19)でアカデミー賞助演男優賞にノミネートされたポール・レイシーも、プログラムの講師を務めるブレント役で出演し、物語に深みを与えている。
そしてなにより特筆したいのが、RTAを経験した元収監者たちがそれぞれ本人役で登場し、劇中で生き生きと演技しているところ。次回作の演目について意見を言い合ったり、セリフ読みや稽古をしたり、ワクワクしながら衣装合わせをする様子が映しだされる。心の底から演劇を楽しみ、すばらしい作品を作り上げたいと思っていることが伝わってきて、映画を超えたリアリティにあふれている。
「実際の収監者たちがもたらすリアリティは、どんな役者にも出せないものだと思いました」(50代・女性)
「自分自身を演じる元収監者がたくさん出てくるのは驚いた。RTAで鍛えられた演技力、すごすぎると思った」(20代・女性)
「元収監者たちの演技がすばらしかった」(40代・女性)
「出演者の方、全員が印象的でした。誰一人欠けてはならない映画でした」(30代・女性)