ニコール・キッドマンが“支配と服従の関係”を語る『ベイビーガール』インタビュー映像
ニコール・キッドマンが主演を務めるA24製作の映画『ベイビーガール』(公開中)からインタビュー映像が到着した。
愛する夫と子ども、キャリアと名声…すべてを手にしたCEOが、年下のインターンによって秘めた欲望をかぎ分けられ力関係が逆転し、深みにはまっていく様を行先不明のスリリングな展開を描く本作。すべてを兼ね備えながらも満たされない渇きを抱える主人公ロミーを演じるキッドマンは、「役者として、人として、すべてをさらけだした」と告白する圧巻の演技を披露し、ヴェネチア国際映画祭で最優秀女優賞を獲得した。インターンの立場からCEOを誘惑するサミュエルを演じるのは『逆転のトライアングル』(22)のハリス・ディキンソン。ロミーの夫のジェイコブ役に『ペイン・アンド・グローリー』(19)で数々の栄えある賞を受賞したアントニオ・バンデラス。監督は俳優としても活躍し、キッドマンにあて書きした脚本でその稀有なる才能を開花させたハリナ・ライン。
このたび解禁されたのは主演のキッドマンと共演者のディキンソン、監督のラインが並んだ3ショットインタビュー映像。本作で強さと繊細さをあわせ持つサミュエルを演じたディキンソンは、インタビューの冒頭で本作に参加した理由を聞かれると「脚本がすごく気に入ったし、相手役がニコールというのも楽しみだった。ニコールのような人との共演は役者冥利に尽きる」とキッドマンとの初共演を振り返り、脚本については「ユーモアやニュアンスが散りばめられていて初めて読むような脚本だった」と話す。演じた役については、当初「(サミュエルを)どう演じていいかわからず、正直少し怖かったんだ」と当時の胸の内を明かしながらも「だからこそワクワクしたんだけどね」と笑顔を見せる。
次に演じたロミーから受けた印象を聞かれたキッドマンは「彼女(ロミー)は、いままさに危機感を抱いている状態」と話し「すべてを手に入れたように見えるけど、本当に求めてるものとは違うから葛藤が生じる。力は持っていてなんでも実現できてしまうけど、果たして自分に正直になっているのか」と分析。そしてその点こそが本作の出発点でもあると語る。キャリアも私生活も頂点を極めながら、人生の岐路に立ちすべてを犠牲にしようとするロミーを振り返りながら、本作を「エモーショナルでセクシュアルな冒険旅行(オデッセイ)」と表現する。
過去にも力を持つ女性を描いた作品が数多くあるなかで、女性監督や女性の主人公の視点から伝える重要性を問われたキッドマンは「重要かはわからないけど、リアルで人間味がある」と答え、さらに本作に出演した理由については「いままでにはなかった作風だったから」と明かす。続いてラインも、90年代の数々のスリラー作品を男性監督が生みだしてきたなかで、それらを否定するのではなく「自分らしい物語にしたかった」と話す。本作で目指したことは「ユニークかつ新鮮でモダンで楽しい物語を伝えること」。決して男性を排除しているわけではなく「女性の視点は欠かせなかった」と話し、本作は「男らしさについても語っている」と説明する。
最後にキッドマンが「ロミーとサミュエルはある意味互いを癒してるんだと思う」と話すと、監督も「支配と服従という関係は常に入れ替わる。関係性は変化し、交互に相手を支配しようとする。そこが面白いし、感動的でもある」と力を込める。
ベテラン俳優のキッドマンが、文字通りの体当たりの熱演を見せ、世界中の映画賞レースで話題を巻き起こしている本作。主人公がたどることになる“エモーショナルでセクシュアルな冒険旅行”をスクリーンで確かめてほしい!
文/スズキヒロシ