「世界がほんの少し愛おしくなる」「いい意味で裏切られる」…『片思い世界』の感想をネタバレなしで映画ファンに教えてもらった!
『花束みたいな恋をした』(21)の脚本家の坂元裕二と土井裕泰監督が再タッグを組んだ『片思い世界』(4月4日公開)。「カルテット」や「anone」、「大豆田とわ子と三人の元夫」など数々の大ヒットドラマを手掛け、『怪物』(23)では第76回カンヌ国際映画祭脚本賞を受賞した坂元が新たに書き下ろしたヒューマンドラマで、古い一軒家で暮らす3人の女性の、12年間も誰にも言えなかった切実な“片思い”が描かれる。トリプル主演の広瀬すず、杉咲花、清原果耶に加えて、横浜流星、小野花梨、伊島空、田口トモロヲ、西田尚美らが出演する。
ロングランヒットを記録した『はな恋』以来の坂元&土井監督のタッグ、人気と実力を兼ね備えた俳優陣の共演という意味でも大きな注目を集めている本作。公開に先駆けて実施された試写会には、「想像していた“片思い世界”とはまったく違い、いい意味でイメージを裏切られた」、「主演の広瀬すずさん、杉咲花さん、清原果耶さんの繊細な演技に涙が止まりませんでした」、「優しくて温かい世界を舞台に、主人公3人を演じるキャストがよすぎた」など、ストーリーや演技を絶賛する感想コメントが寄せられている。
さらに、「自分ごとのように受け止められる切実さがありました」、「心に残るようなセリフがちりばめられていてすてきでした」といった演出、セリフが印象に残っているという声も。試写会の参加者は感想を語りたい!という気持ちを抑えて、これから本作を楽しむファンのために、ネタバレなしで思いの丈をアンケートにたくさん書き込んでくれた。本稿ではこれらのコメントをピックアップしながら、本作の魅力、どんなところが心に響いたのかをひも解いていく。
12年間共同生活をしてきた美咲、優花、さくらの“片思い”が描かれる
東京の片隅で、家族でも同級生でもないけれど一緒に暮らす、美咲(広瀬)、優花(杉咲)、さくら(清原)の3人。それぞれが仕事や大学での講義、バイトに勤しみながら、気ままな日々を過ごしている。そんなある日、一番年上の美咲に気になる人がいることが発覚。また、優花、さくらにも心に秘めたある“片思い”があった。強い絆で結ばれた3人の日常が少しずつ変化していく。
美咲、優花、さくらの何気ない日常が描かれていくなか、ストーリーは意外な方向へと突き進んでいく。そのことについて、「驚いた」と振り返る声が特に多く上がっていた。
「想像していたものとは違う作品であると同時に、とても考えさせられるものがあった」(20代・男性)
「強く思うほど片思いは大きくなってせつなくなるけれど、思いは重なっている可能性があるし、混ざり合う可能性も秘めている」(30代・女性)
「世界がほんの少し愛おしくなる、そんな映画が生まれたことがうれしい」(40代・女性)
「題名や予告から勝手に恋愛中心の話だと思っていましたが、愛の話でした」(20代・女性)
しっかり者の美咲と勉強熱心な優花、まっすぐなさくらたち主人公3人に絶賛の声が
広瀬演じる美咲は3人のなかで一番のお姉さん。朝食やお弁当を作ってあげたり、職場でもほかの人がやりたがらない雑用を率先して引き受けようとするなどしっかり者な面が目立つ。一方で、想いを寄せる人がいながら、その気持ちとは距離を置いている。
「美咲は多くの人が想像する“片思い”を体現しているキャラクターだと思いました。孤独を知っているからこそ強くあろうとする姿は、広瀬すずさんにピッタリ」(20代・女性)
「美咲の愛情深さに何度も救われたし、反面、せつなさも倍増した」(40代・女性)
「お姉ちゃんである美咲は優花とさくらを何気ない幸せな日常に導いていった柱ですね」(20代・女性)
「美咲の思いが典真の後悔と共鳴し合うシーンで、“片思い”という言葉の持つ意味について考えさせられました」(10代・女性)
「広瀬すずさんは妹のイメージが強いので、とても新鮮で印象的だった」(20代・男性)
杉咲演じる優花は3人のなかの真ん中。“姉”の美咲をフォローしたり、“妹”さくらと一緒になってはしゃいだり、少し不思議な共同生活のバランスをうまく取り持っている。普段は大学で物理学の講義を熱心に聞いているが、離れて暮らす母親のことが気がかりにもなっている。
「思いが届かないつらさや寂しさ、もどかしさが、言葉にせずとも目で表現されていてすばらしかったです」(30代・女性)
「もどかしくてこぼれ出たあの涙…。杉咲さんにしか表現できないだろうなと思います」(20代・女性)
「花ちゃんが演じる、そこに生きる優花は心が強く、どうしようもできない現実を希望の光へ導いてくれた存在でした」(30代・女性)
「杉咲花さんが様々な感情をグラデーション豊かに表現し続けているおかげで優花の多面性や人間性を深く感じられました」(20代・女性)
「杉咲花の“泣く”は演技の領域を超えて、ただただリアルで感情を持って行かれます」(30代・女性)
そして、清原演じるさくら。末っ子ということで、毎年のように自身のサプライズのバースデーパーティを計画しては失敗する、若干過干渉気味な美咲と優花を煩わしく感じつつも、2人を心から慕っている。水族館でアルバイトをしており、魚やペンギンに元気よく声をかける天真爛漫さ、曲がったことを見過ごせないまっすぐさが印象的な人物だ。
「一番落ち着いていて現実主義なように見えるけど、目的のために突っ走っていく信念があり、すごく人間味があると思った」(10代・女性)
「強がりだけど人一倍愛情深い。さくらちゃんの思いもわかるので苦しかった」(40代・女性)
「2人のことを信頼し、家族として大切に思っていることが端々で伝わり、ぶっきらぼうながらにサポートしている姿が微笑ましかったです」(30代・男性)
「冒頭の手紙を、鑑賞後に思い返すとまた泣けました」(30代・女性)
「末っ子のさくらが感情を露わにしてくれるからこそ、美咲も優花も穏やかに生きていられるのだろうと思える説得力」(20代・女性)
主人公3人の脇を固める登場人物について言及する声も。横浜演じる典真は、毎朝、美咲とさくらと同じ交通バスに乗っている青年で、美咲の想い人。人付き合いに積極的でなく、幼いころから続けていたピアノをある理由から辞めてしまうなど、どこか重い影を背負っている。
「ほとんど言葉を発していないのに考えていることが演技からあふれていた」(10代・男性)
「典真の心情を表すセリフがほとんどないのに、なぜいまこの表情をしているのかがスッと入ってくる演技でした」(10代・男性)
「セリフが多いキャラクターでないにもかかわらず、典真の葛藤がリアルに伝わってくるので横浜流星さんはすごい」(20代・男性)
「纏う雰囲気で、そして数少ない言葉から内に秘めた苦しさを想像させられました」(30代・男性)
このほか、典真とデートをする奈那子役の小野、謎の青年役の伊島、典真の過去を知る加山役の田口、花屋に務める彩芽役の西田らも強い印象を残していく。また、デビューからまもなく50周年のロックバンド、moonridersもストリートミュージシャン役で出演しており、文字どおり物語に彩りを与えている。