幼なじみの刑事トリオ“長野県警組”って何者?『名探偵コナン 隻眼の残像』捜査能力、関係性、過去の事件に迫る
劇場版でキーパーソンとなる隻眼の敏腕刑事、大和敢助
『隻眼の残像』のキーパーソンである大和敢助の初登場は、小五郎と平次が連続殺人の真相に迫る「風林火山」事件。隻眼で杖をつき、長髪を後ろで結んだスタイルは実にインパクトがあり、関係者を強引に問い詰める姿は悪者の印象だった。のちに正義感が人一倍強い人物であることがわかっていくが、強面なルックスと乱暴な言葉遣いから、557話「危険な二人連れ」では、たまたま車に乗せた阿笠博士(声:緒方賢一)と灰原哀(声:林原めぐみ)にコナンをねらう悪人だと間違えられたほど。鋭い洞察力から、眠りの小五郎を裏で導いているのはコナンであることにいち早く感づき、「危険な二人連れ」では「全てを牛耳っているのはあの小僧(=コナン)だ。とんだ化け物だぜ」と、部下の由衣に話すシーンも。
さらに558〜561話「死亡の館、赤い壁」では、小五郎ではなくコナンを頼りに事件解決を進め、コナンとのコンビネーションで真実にたどり着く。また、同エピソード内では由衣によって、雪崩に巻き込まれて片目と片足を負傷した経緯が語られるシーンも。劇場版『隻眼の残像』では、さらなる詳細が初めて明かされるということで、どのような真相が待ち受けているのか注目される。
長野の諸葛孔明、諸伏高明
「死亡の館、赤い壁」にて初登場した高明は、敢助とは小学校からの同級生で、東都大法学部を首席で卒業したにもかかわらず、警視庁や県警本部勤めとなるキャリア試験を受けずにノンキャリアで県警本部に入った“変わり者”。敢助とは信頼し合ってはいるがケンカばかりで、敢助が「蕎麦を食って帰ろう」と誘えば「いえ、僕はパスタで」と返すへそ曲がり。しかし、雪崩で行方不明になった敢助を捜索するために上司命令に背いたアツい男。そのため所轄に異動させられてしまうが、自力で県警に復帰する胆力も持ち合わせる。
ことあるごとに「三国志」に出てくる中国の故事成語を口にし、毛利蘭(声:山崎和佳奈)が興奮気味に故事の意味を説明するくだりがお決まりで、1123、1124話「群馬と長野 県境の遺体」では、「三国志」に知見のある蘭が「キター!劉備の名言!」と目を輝かせる場面も。推理力と観察眼はコナンに勝るとも劣らず、983、984話「キッドVS高明 狙われた唇」では怪盗キッドを追い詰めるものの、すんでのところで逃げられてしまった。
また、警察学校組の諸伏景光の兄であり、「群馬と長野 県境(ボーダー)の遺体」では群馬県警の山村が、景光の幼なじみであることが、涙を誘うエピソードと共に明らかになった。
行動派の頼れるお姉さん刑事、上原由衣
敢助の部下である上原由衣は敢助の幼なじみ。初登場は敢助と同じ「風林火山」で、由衣と敢助が慕っていた甲斐巡査(声:山野井仁)が事故死した6年前の事件の真相を暴くために、警察を辞めて虎田家に嫁いだほどの行動力。のちに警察に復帰し、現在は敢助の部下となってサポート役を務めているが、敢助に恋心を抱いており、「風林火山」では身を挺して敢助を庇うシーンも。上司の敢助を“かんちゃん”と呼んでしまうところからも、敢助への気持ちが察せられる。
そんな由衣の気持ちに気づいた蘭と和葉(声:宮村優子)は2人の関係の進展にドキドキで、由衣が2人に恋愛指南をする場面も。また和葉とは連絡先を交換しており、652〜655話、”死者からの手紙”をめぐる「毒と幻のデザイン」では、長野で起きた関連事件の情報をコナンたちに提供する役割を担った。また754〜756話「赤い女の惨劇」では、コナンたちが長野の別荘で遭った事件において、由衣が陣頭指揮を執って事件解決に尽力している。昔から知っているとはいえ、高明が口にする故事成語にはついていけないようで、それを解する蘭を尊敬している。
知れば知るほど興味が湧く長野県警
長野県警にはほかにも「県警の黒い闇」で初登場し、のちに警視庁捜査一課に異動して『名探偵コナン ゼロの執行人』(18)や『名探偵コナン 黒鉄の魚影(サブマリン)』(23)にも登場した黒田兵衛(声:岸野幸正)もかつて在籍。黒田もまた大柄で顔に火傷の痕、片目は義眼という強面だ。
戦国武将、武田信玄の軍師だった「山本勘助」、「三国志」の「諸葛孔明」、さらに戦国時代の天才軍師「黒田官兵衛」といった、歴史上の軍師になぞらえた名前を持つことでも人気の長野県警の刑事たち。大和敢助を襲った雪崩事故という、これまで謎とされていたことが明らかになる『名探偵コナン 隻眼の残像』での長野県警組の活躍に注目だ。
文/榑林史章