「ガンニバル」は「自分の人生における財産」。柳楽優弥と笠松将が振り返る、圧倒的熱量に包まれた撮影の日々
「アクションには片山さんと柳楽さんの執念や狂気が投影されていると思っています」(笠松)
――破壊からの再生を描くシーズン2ですが、前半は供花村と周辺を舞台に警察も巻き込んだ大騒乱が繰り広げられます。この一連のシークエンスもとんでもないスケールになっていますね。
柳楽「シーズン2の前半で言うと、大悟は“あの人(超人的な身体能力を誇る、供花村における畏怖的な存在)”とのアクションが多かったんですが、あの人の独特の動きに合わせられるように回数を重ねながら撮っていったという感じでしたね。シーズン1から積み重ねてきたことを殺陣にも投影した、と言いますか」
笠松「お芝居がうまい俳優さん、アクションがうまい俳優さん、はたくさんいますが、柳楽さんはアクションにお芝居を乗せられる数少ない俳優さんだと、僭越ながら僕は思っていて。『ガンニバル』はアクションの見せ場も多いですけど、それは柳楽さんが基準値を押し上げてくださったからで、僕らもそのラインを目標にやることができたのが、作品にとっても大きかったんじゃないかなと感じているんです」
――しかも「ガンニバル」のアクションは物語の文脈に沿っていて、それこそ“再生”へ向けた“破壊”として描かれているのかな、とお話を聞いていて感じました。
柳楽「片山さんたち監督陣もかっこよく見せるアクションというより、ストーリーに合わせて各キャラクターを自然に動かしてくれたように思います。それでいて、片山さんは映画的なド派手な描写も好きなので、そこのバランス感覚が僕たち役者の気分とシンクロすることが、現場では多かったという記憶がありますね」
笠松「アクションのみならず、お芝居すべてに対するこだわりが『ガンニバル』という作品のすごみになっていると感じているんですけど、特にアクションには片山さんと柳楽さんの執念や狂気が投影されているんじゃないかなと思っています。クリエイティブに対して真正面から向き合って、それこそなにかを壊しに行くような勢いがありましたね」
柳楽「いやいや、そこには笠松くんも入ってるから(笑)」
笠松「いやいや、僕はお2人を見て『なんだ、この人たちは…大変だぞ!』っていう感じで、尻を叩いてもらってお芝居させてもらった感覚があるんです」
柳楽「そうなんだ(笑)。でも、確かに片山さんはきれいごとだけでキャラクターをつくっていくようなことをされないんですよ。『こういう状況下で、こんなことを考える人っているよね』と思わせる人物を群衆のなかにもちゃんと置いて、エキストラの方に細かく演出をされていて。そこがスゴいですよね」
笠松「なんなら、エキストラの方々への演出のほうが割合として多かったですし。『あれっ、監督…僕らは?』みたいな(笑)」
柳楽「確かに(笑)。でも、エキストラの方々のモチベーションは確実に上がっていましたし、『みんなでいいものをつくろうよ!』っていう士気の高さが作用していくのを体感できたことは、現場づくりにおいてもすごく勉強になりましたね」