『白雪姫』吉柳咲良、わんぱく少女がプリンセスへたどる道のり「自分が制限しなければ、なんにでも挑戦できる」

『白雪姫』吉柳咲良、わんぱく少女がプリンセスへたどる道のり「自分が制限しなければ、なんにでも挑戦できる」

「20歳の1年は、ずっと思考し続けています」

吉柳は、2004年4月生まれの現在20歳。2017年にミュージカル「ピーター・パン」で10代目ピーター・パン役に抜てきされ、5年間にわたって続投。2019年には新海誠監督作品『天気の子』の凪役として声優を務め、昨年はミュージカル「ロミオ&ジュリエット」でジュリエット役を演じるなど、次々と話題作への出演を重ねている。

話題作への出演を重ねている吉柳咲良
話題作への出演を重ねている吉柳咲良撮影/河内彩

ネガティブで、自分の嫌なところに目を向けてしまうタイプだと明かした吉柳だが、10代はたくさんのステキな出会いに恵まれ、周囲に力をもらいながら「自分にしかできないことがきっとある、と思えるようになった」と笑顔を見せる。

「『天気の子』では、私のハスキーな声について、新海監督が『その声は武器ですよ』と言ってくださった。それまで自分の声が嫌いでしたが、きっと私にしかできないことがあるし、私だったから凪くんを演じられたんだと思うことができました。それは新海監督のおかげで、いまでも仲良くさせていただいています」とにっこり。さらに「『ロミオ&ジュリエット』では、うまくできずに落ち込んでいると、ロミオ役の小関裕太さん、岡宮来夢さんが『いまのすごくよかったよ』『いろいろなジュリエットがいていいと思う』など背中を押してくれるような言葉をたくさんくれました。またもう一人のジュリエットである奥田いろはちゃんも、『参考になることがたくさんある。本当にすごい』と声をかけてくれたりと、カンパニーに救われたことがたくさんあって。みんなが壁をぶち破ってくれて、お互いのよかったところを共有できる関係性を築くことができて、ものすごくうれしかったです」と心を込める。

20歳を迎えた1年は、『白雪姫』、そして同世代の注目俳優たちとクラスメイトを演じる日曜劇場「御上先生」にも出演。エリート文科省官僚から高校教師になった御上先生(松坂桃李)が、18歳の高校生を導きながら権力に立ち向かっていく物語で、ヤングケアラーとなる椎葉役を演じた吉柳が、多感な高校生の葛藤をすばらしく表現したことも話題となった。吉柳は「影山優佳ちゃんや、高石あかりちゃんなど、同世代のみんなと意見を交換しながら、支え合いながら撮影に臨んでいます。2人との出会いは、私にとってとても大きなもの」と感謝。「20歳となった1年は、幅広くいろいろな経験をさせていただき、そのなかで私はずっと思考し続けているなと思います。10代は正解を探しがちだったけれど、正解は一つに絞る必要はないんだなと。価値観を広げながら、考え続けることで、役の幅も広がっていくのかなと思っています」と“考えること”の大切さを学んだ1年だという。


あふれだすパワフルなオーラが魅力的な吉柳咲良。努力次第で、なんにでもなれると力を込めた
あふれだすパワフルなオーラが魅力的な吉柳咲良。努力次第で、なんにでもなれると力を込めた撮影/河内彩

「私は1人では生きていけません。人に恵まれ続けています」という道のりや、白雪姫との出会いも経て、「自分が制限しなければ、なんにでも挑戦できる」という心境に辿り着いた吉柳。「お姫様系のビジュアルとは違ったとしても、いまの技術ってすごいので!メイクで変わることだってできますよね。きっとなんにでもなれる」と声を弾ませながら、「歌もそうですが、年々、歌える音域が広がっていくのを実感しています。これはもう、私の努力次第。『私はこの人みたいになれない』『私はダメだ』と言っていてもしょうがないので、『できないな』と感じているならば『できるまでやればいい!』と思えるようになりました」と清々しく語る。どこまでも駆け上がっていきそうなパワフルなオーラを輝かせる吉柳咲良のこれからが、ますます楽しみだ。

※高石あかりの「高」は「はしごだか」が正式表記

取材・文/成田おり枝

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