“中島健人の涙”や楽曲制作秘話まで。三木孝浩とmiletが『知らないカノジョ』の舞台裏を振り返る
「いままで見たことのない中島健人を撮りたいなと思っていたんです」(三木)
――ミナミのライブシーンは、miletさんのデビュー5周年を記念した初のアリーナ公演「milet 5th anniversary live "GREEN LIGHTS"」の横浜アリーナ公演を、実際に撮影されたとお伺いしました。
三木「そうなんです!もうほんとに、無理を言って。しかもそのシーンでクランクインでした」
milet「そうでしたね」
三木「やっぱりあのリアリティは、すごかったですね。あれは絶対に出せない空気感だったなと思います」
milet「声援がすごかったですもんね!」
三木「miletさんのファンの皆さんがすごく優しいし勘がよくて、『ミナミ〜!』ってすぐ役名を覚えて叫んでくれたんですよ」
milet「本当にありがたかったです」
――リクを演じた中島健人さんとの共演はいかがでしたか?
milet「セリフ合わせの時はまだ、中島さんとリクが半々くらいかなと思っていたんですけど、クランクインして実際に一緒にお芝居をしたら、もうリクにしか見えなくなりました。私、リクのお茶目なところが好きなんです!すごく不器用なところがある男の子なんですが、中島さんは“すべて完璧”みたいなイメージがあったので」
三木「パーフェクトアイドルだもんね!」
milet「そうなんです。でも撮影を重ねるうちに、本当にリクくんにしか見えなくなっていきました。中島さんらしいキラキラしたものが封印されて、リクのまっすぐで真面目で不器用なところや、ある意味“普通のオーラ”みたいなものが出ていたのが、すごいなと思いました」
――中島さんと話し合って一緒に作っていったシーンはありますか?
milet「結構、細々とお話ししましたね。でもなにかを話し合って決めるというよりは、リハーサルの段階から、何回かお互いにセリフを言い合ってキャッチボールをして、そのリズムをどんどん掴んでいくという感じでした。言葉で話し合うのではなく、お互いの波に乗っていくような、演技のリズム感を合わせていけたらいいなと思っていました」
三木「2人ともアーティスト活動をしているから、ライブリハをしている感覚で、ちょうどお互いの心地よいリズムを探り合うみたいな感じ?」
milet「そうですね。リクとミナミが長台詞を言い合うレストランのシーンは、声を重ねるごとに2人のリズムが出来上がっていったんです」
三木「そうそう!あそこ、すごかった!」
――そんな中島さんは、昔から三木監督の大・大・大ファンなんですよね。
三木「いやもう、その熱量はすごくうれしかったですね(笑)。でも僕も、健人くんといつかご一緒したいとずっと思っていたので、やっと念願叶って出演していただけました。せっかく僕が撮れるなら、いままで見たことのない中島健人を撮りたいなと思っていたんです。健人くんの特性として、どんどん役を作り上げていって完璧にしていくというスタイルで、いままでやってきたと思うんですよ。でもそうじゃなくて、作り込む前のフラットな状態のままで現場に立って、その時に感じるものを役に入れ込んでもらえたらいいなと思いました。それこそ、『今回はセッション感覚で作ってみよう』って健人くんと話をしたんです。本人は“素っ裸の中島健人”って言ってましたけど(笑)、そうやって作り上げていくことで、本来持っている彼の愛らしいキャラクターみたいなものがどんどん出てきた感じがありましたね。『あ、健人くんって実は泣き虫なんだ』とか(笑)。台本に書いてないのに感極まってブワーッて泣いたりね」
milet「泣いてましたね!本当にピュアな涙でしたよね」
三木「それがすごく素敵で、男性の僕が見てもキュンとしちゃいました。さっきmiletさんが話していたレストランのシーンなんてもう、大号泣だったもんね」
milet「パッて顔を上げたら中島さんがもうめちゃくちゃ泣いてるから、『えぇー!?』って(笑)。『どうしたの?そんなに泣けた!?』って、本当にミナミのセリフのまんま同じこと言いましたもん(笑)」