映画顔負けのスケール!「ドラマW」の真骨頂「ダブルフェイス」の必見ポイント【レコメンW】
レコメンド1 香港映画史上空前の名作を日本風にリメイク!
今回レコメンドを担当するのは、「MOVIE WALKER PRESS」編集長の下田と、6月から編集部に配属された黄の2名。下田は、「潜入捜査編、偽装警察編ともに『インファナル・アフェア』の物悲しさがそのまま受け継がれていて、主人公2人の葛藤や迷い、自分が揺らぐ瞬間が的確に描写されていると感じました。誰かは救われてほしいなと思うけれど、なかなかそうはならない。チャレンジングで考えさせられるクライマックスが魅力的ですね」と、香港映画随一の名作として支持を集めるオリジナル版との共通点を語る。
『インファナル・アフェア』は2本の続編が製作されており、前日譚が描かれる2作目と完結編となる3作目を通し、潜入スパイとして生きる男たちの悲哀が深掘りされていった。本作では1作目のストーリーを2部構成にしてリメイクしているのだが、潜入捜査編と偽装警察編合計で186分と、102分だった1作目の倍近い長さをかけ、じっくりと描写していく。「映画よりは長いけれど、ドラマの1クールに比べればずっと短い。質の良さがギュッと凝縮された印象です。アクションと感情の機微の両方に無駄がなく、緩急が付けられていて見応え抜群でしたね」と、下田はその密度の高い作劇を絶賛した。
前述のハリウッドリメイク版『ディパーテッド』は、アカデミー賞の長い歴史のなかで唯一作品賞を受賞したリメイク映画としても知られている。その卓越したストーリーは、日本やアメリカなど、香港とは異なる国々の環境にも置き換えられるだけの普遍性があるのだろう。香港の主言語である広東語を含むトライリンガルで、『インファナル・アフェア』を何度も鑑賞するほど熱狂的なファンだという黄は、ローカライズの的確さが本作最大の魅力であると熱弁をふるう。
「日本と香港の文化の違いで同じ物語の語り口を変えているのがとてもおもしろく感じました。具体的な部分では、警察の上下関係の違いや、それぞれの言葉使いの違い。とくに日本版では、たびたび“イヌ”という言葉が出てきますが、メタファーのように織田組長が飼いイヌに生肉を与えるという、オリジナルには無かったシーンが登場したり、日本語の独特な言い回しを使った演出に、すごく興味深いものがありました」。
https://www.wowow.co.jp/detail/101984
