
ウーゴ・トニャッティ
Marmant
禁欲主義の修道士を陥れようとして、逆に自らを減ぼす快楽主義の貴族の姿を描くブラック・コメディ。監督・脚本は本作が長篇デビューのピエール・アンリ・サルファティ、撮影はミシェル・アブラモヴィッチ、音楽はベルナール・カヴァンナが担当。出演はウーゴ・トニャッティ、ルパート・エヴェレットほか。
18世紀末、フランス無政府時代。美食家で快楽主義者の貴族、アルモン(ピエール・アンリ・サルファッティ)は美食学院を創設するという情熱に取りつかれている。ある日彼のもとへ箱に入れられた若い修道士アシュルス(ルパート・エヴェレツト)が叔父のもとから届けられる。禁欲的なアシュルスを最初慰みものとしていたマルモンだったが、彼の若き妻トレランス(アンヌ・ブロシェ)が次第にアシュルスに同情と尊敬を寄せていくにつれて、その存在が彼にとって鼻持ちならないものとなってゆく。そこでマルモンはアシュルスを貴族の姿に仕立て上げ、名前もオラスと変えさせる。ところが、禁欲生活に慣れたオラス(アシュルス)の舌は異常に鋭敏で、美食家たちの主導権を握ってゆき、ついにはインチキポーカーでマルモンから、財産、妻、美食学院創設の権利まで取り上げ、あげくのはてには殺人の罪を着せてギロチン送りにする。今や、押しも押されぬ貴族に変身したオラスの主宰する美食学院完成の昼食会。しかしその食事の中には大量の睡眠薬が入っていた。難を逃れたのはトレランス一人。そしてアシュルスはとうとうマルモンに被せた罪がばれ、裁かれるのであった。もはやトレランスも彼を救おうとはしなかった。
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