映画ランキング - 全米映画
(2025/8/29~2025/8/31)
2025年9月1日
発表(毎週火曜更新)
2025年8月29日~2025年8月31日にアメリカで上映された映画の興行収入ランキングはこちら。『Weapons』『ジョーズ』『Caught Stealing』などがランクイン!(Box Office Essentials調べ)
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1
Weapons
公開未定-0週末興収$12,785,000
累積興収$134,793,000
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NEW
Caught Stealing
公開未定-0週末興収$9,600,000
累積興収$9,600,000
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2
週末興収$8,300,000
累積興収$82,249,885
婚約パーティーに現れた占い師の呪文によって体が突然入れ替わってしまった家族の大混乱を描くコメディ。『ザ・ハリウッド』のリンジー・ローハン、『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』のジェイ···もっと見る
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NEW
週末興収$8,000,000
累積興収$8,000,000
一組の夫婦の離婚をめぐる“戦争”を描いた『ローズ家の戦争』を『トランボ ハリウッドに最も嫌われた男』のジェイ・ローチ監督がリメイクしたブラックコメディ。「ドクター・ストレンジ」シリーズのベネディクト・···もっと見る
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3
週末興収$6,300,000
累積興収$266,126,180
「マーベル・コミック」最初のヒーローチームにして、4人の家族でもある“ファンタスティック4”を描くアクション。『グラディエーターII 英雄を呼ぶ声』のペドロ・パスカル、ジョセフ・クイン、「ミッション:···もっと見る
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4
The Bad Guys 2
公開未定-0週末興収$6,250,000
累積興収$74,560,000
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8
The Naked Gun
公開未定-0週末興収$2,300,000
累積興収$51,310,000

先週末(8月29日から8月31日まで)の北米興収ランキングは、サマーシーズンの終わりのレイバー・デーの週末。祝日パワーが発揮されず、2023年や2021年のようにビッグタイトルの公開がないと厳しい状況となるのがレイバー・デー週末の特徴であり、今年は週末3日間での全体の総興収が6413万ドル、祝日を含めた4日間でも8000万ドルに届かない低調ぶり。前週思わぬライバルの登場で首位を明け渡した『Weapons』が公開4週目にして首位に返り咲いたが、手放しに喜べる数字ではないことは留意しておきたい。
もっとも、『Weapons』よりもこの週末に公開された新作タイトルの成績のほうが気がかりなところ。なにせ新作のなかで最上位の2位にランクインしたのは、スティーヴン・スピルバーグ監督の名作『ジョーズ』(75)の公開50周年を記念したリバイバル上映。3日間で興収823万ドル、4日間では同989万ドルと、何度もリバイバルされてきた作品としてはかなりの好成績で名作としての貫禄を見せつける。しかも3200館という大規模公開は、それだけ作品が不足していることのあらわれであろう。
ちなみに『ジョーズ』が前回リバイバル上映されたのも、ちょうど3年前のレイバー・デーの週末。この時は1246館でスタートしオープニング興収が263万ドル。3週間の上映期間で580万ドルほどの興収をあげていた。今回のリバイバル分の興収を上乗せしたことで、同作の北米累計興収は2億7838万ドル(インフレ調整前の金額)に到達。ひそかに北米歴代興収ランキングの順位を10近くも上昇しており、今年社会現象を巻き起こした『罪人たち』(25)の2億7857万ドルを抜き返そうとしているのは興味深い。
さて、ダーレン・アロノフスキー監督がオースティン・バトラーを主演に迎えた『Caught Stealing』は3578館で公開され、初日から3日間で興収785万ドルの成績で3位発進(4日間の成績では4位になる見込み)。前作の『ザ・ホエール』(23)は小規模作品だったので比較できないが、その前の『マザー!』(17)が2368館で753万ドルだったので、興収的には同等、1館あたりのアベレージは1000ドル近く落としている計算になる。
とはいえ『マザー!』は批評が伸び悩んだことで興収も低迷したが、『Caught Stealing』は批評集積サイト「ロッテン・トマト」によれば批評家からの好意的評価の割合が85%、観客からのそれは84%と、アロノフスキー作品としては『ブラック・スワン』(10)に匹敵する高評価を獲得している。これが興収のアップにつながればいいのだが。
オリヴィア・コールマンとベネディクト・カンバーバッチの共演で傑作コメディ『ローズ家の戦争』(89)をリメイクした、ジェイ・ローチ監督の『ローズ家~崖っぷちの夫婦~』(10月24日日本公開)は、初日から3日間で626万ドル、4日間では775万ドルで5位に初登場。こちらは批評家からの好意的評価が65%で、観客からは79%とまずまず。それでも平日に入ってからの数字が良好なので、息の長い興行が期待できるかもしれない。
そして、この連休週末をめがけて、ディズニーは実写版『リロ&スティッチ』(日本公開中)の再拡大公開に踏み切っており、前週までの55館から一気に2440館まで増加。興収も3日間で116万ドル、祝日を含む4日間で156万ドルと、6週間ぶりに100万ドル台に持ち直し、ランキングでも前週の32位から14位へと急浮上を果たしている。
おそらくこの再拡大の一番のねらいは、ビッグタイトルの公開が相次ぐ秋シーズンの到来を前に2025年の北米興収No. 1の座を『マインクラフト/ザ・ムービー』(25)から奪うためのものであろう。祝日までの段階で『リロ&スティッチ』の累計興収は4億2337万9409ドル。『マイクラ』の4億2394万9195ドルまであと60万ドルほどのところまで迫っている。2025年のハリウッド作品で唯一、全世界興収10億ドルを突破している同作が、北米でもトップの座に上りつめるのか、大いに注目が集まるところだ。
文/久保田 和馬
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