兵役中のイ・ジェウクがサプライズ登場!笠松将が流暢な韓国語を披露、チェ・ヒョヌクも登壇…BIFFで見つけた注目作たち
国際映画祭の醍醐味と言えば、日本未公開作品をいち早く観ることができるところではないだろうか。10月6日から15日まで開催された第31回釜山国際映画祭(BIFF)もそんなチャンスに恵まれた。PRESS KOREAでは今年もBIFFを現地取材。待ちきれない韓国映画ファンのために、BIFFで熱い注目を浴びた期待の未公開作品と公開予定作品をご紹介しよう。
“最後の死刑囚”に隠された真実をたどるヒューマンサスペンス『自筆』
映画『秘顔』(24)やドラマ「ウンジュンとサンヨン」などで演技力の高さを強く印象づけたパク・ジヒョンと、昨年はNetflix映画『戦と乱』で青龍映画賞新人俳優賞を獲得するなど波に乗るチョン・ソンイルによるヒューマンサスペンス『自筆(原題:자필)』。法務部長官の最有力候補に上り詰めた検事が、過去に手がけたある事件をめぐり、自身の記憶をたどるとともに岐路に立たされる。
野外舞台挨拶には、ホン・ソンミン監督とチョン・ソンイルが登場した。韓国では金泳三政権下の1997年12月を最後に死刑は執行されておらず、事実上の死刑廃止国だ。その後就任した金大中大統領が死刑に対し慎重だったからで、その就任直前がまさに映画の舞台となっている。本作が長編デビューとなったホン・ソンミン監督は、この映画は“最後の死刑囚”からの手紙を受け取り真実を知っていく作品だと説明しつつ、「政治的な映画ではなく、家族を描いた温かい映画です」と説明した。
「私が出演作を選ぶポイントは、脚本を最初から最後まで一気読みできるかどうかです」と、本作がどれほど魅力的だったか語ったチョン・ソンイル。一方、だからこそ「監督がどんなに想像をめぐらせたか、脚本執筆に長い時間をかけたかは脚本を読んだだけで理解できましたし、新人監督でも全く不安ではありませんでした。むしろ監督が長い時間をかけて準備し、努力していた作品に私が迷惑をかけてしまうのではないかと心配しました」と、チョン・ソンイルにとっても覚悟の必要な作品だったことをうかがわせた。
スンファはあるきっかけで“最後の死刑囚”となってしまうキャラクターで、パク・ジヒョンが実に繊細に演じている。イベントでは不在だった彼女に対し、チョン・ソンイルは「実は私も完成した作品を観たのは昨日が初めてでした。あまりにもよく出来上がっていたので驚きました。パク・ジヒョンさんをはじめ、すべての俳優の方々と一生懸命楽しく撮影しました」とリスペクトも口にし、「ぜひ皆さん観ていただきたいです」と観客に期待感を持たせた。
笠松将が記者会見で流暢な韓国語を披露!孤立した邸宅で繰り広げられる心理ホラー『髭剃り』
近年、映画やドラマの現場での日韓のコラボレーションが盛り上がりを見せている。コンペティション部門作品『髭剃り(原題:면도) 』もその一本だ。長く執筆活動が途絶えていたホラー小説家スヨンが復帰作として自身の実体験を書こうとし、いまは無人となった生まれ育った家で日本人の恋人シンジと過ごすことになるが、思いも寄らない恐怖を体験することになる。
昨年はNetflix映画『グッドニュース』でBIFFに登場し、流暢な韓国語力で今年も韓国コンテンツから引きも切らない笠松将と、映画『ひかり探して』(20)やドラマ「その年、私たちは」でフレッシュかつ安定感のある演技を見せたノ・ジョンウィが共演している。
2013年に東京国際映画祭で上映されたピョン・ヨハン主演の『起爆』以来13年ぶりに長編を手掛けたキム・ジョンフン監督。本作はホラー映画の伝統的なテイストを持ちつつも、女性が現代社会で受ける抑圧を感じさせる作りにもなっている。記者会見でキム・ジョンフン監督は、脚本を渡されたときの好印象と、そのなかで自身が独自に打ち出せるものがあるかを模索したという。そして「一番惹かれたのは、ホラーというジャンル特有の性質でした。そのうえで、まとまりを欠くことなく、ジャンル以外の多様な要素を提示できるかどうか。そしてヒロインの感情をたどりながら、観客にカタルシスを感じさせるクライマックスへ到達できるのか。そこを重点的に考えました」と明かした。
記者会見では、笠松将の流暢な韓国語が取材陣を驚かせた。日本人記者からの韓国語での質問にも韓国語で応じ、「韓国で開かれている記者会見で、日本人記者が韓国語で質問し、日本人の僕が韓国語で答えているんですよね?」と、その不思議な状況を自ら指摘して会場の笑いを誘う一幕もあった。ワールドプレミア後のGVには、監督とノ・ジョンウィ、笠松将に加え特別出演のピョン・ヨハンも登壇した。
ノ・ジョンウィは劇中に登場する雨や水のイメージについて、主人公スヨンが心情のメタファーだという解釈も明かすなど、自身の役柄への洞察の深さも感じさせた。笠松将は「活発にコミュニケーションを取ったことで完成した作品」と、演技面での交流も映画の完成度を高めたことを強調。笠松より7歳年上のピョン・ヨハンもまた「これまでは、先輩たちを頼りながら演じていましたが、本作は仲間たちとのアンサンブルのバランスをとる役目を果たせました」と、撮影現場でのポジションが主体的になったことを振り返った。3人の良い雰囲気から、コミュニケーションを積極的に取ることが、国を越えて良い作品と仲間にめぐり会う秘訣であることがうかがえた。

