永野が観た『本当にあった話(の話)』は観客を刺激し続ける“変な映画”「『ドパガキ the movie』ってタイトルのほうがいい!(笑)」
「僕自身にも確かに夛田っぽいところがある」
――俳優陣の芝居については、どのように感じましたか?
永野「水上さんは、あんなイケメンなのにすごいですよね。定型文みたいな芝居じゃなく、ちゃんと気持ち悪かった(笑)。夛田に『お前らなんて疑似フェミニストだ!』と糾弾される脚本家の垣内役を演じた小池栄子さんも、本当に芝居が上手くて度肝を抜かれましたし、佐々木蔵之介さんが演じた、小さな世界を掌握してる演出家の感じも、見ていてちゃんと不快になった(笑)。それって、映画としては大成功なんですよね」
――現実と虚構の境目がなくなっていく夛田、俳優としての活路を見出せずにいる米良、念願だった事件の舞台化に執念を燃やす垣内、威圧的な指導で稽古場を支配する加藤など、登場人物の一人ひとりがかなり強烈ですよね。
永野「全員変だし、誰もいい人がいない。だから、最初はてっきり水上さん演じるキャラクターが暴走するだけの映画なのかと思いきや…それだけでは全然収まらないっていう。そのわかりにくさがおもしろいですよね」
――では、夛田という人物を、永野さんはどう見ましたか?
永野「僕は、タイトル以外なにも情報を入れずに観たんですけど、正直、最初観始めた時は、8頭身の美男美女がモデルルームみたいな生活感が微塵もない部屋で会話してて、『なんで自分に(この映画のインタビューの)依頼が来たんだろう…?』って、ちょっと不思議に思いながら観てたんですよ。でも夛田が、小池さん演じる脚本家の垣内に向かって『この疑似フェミニストが~!』ってブチ切れるシーンで、『ああ、このキレ方がテレビでやってる俺っぽいのかな』と、なんとなく思えて。実際、スカッとしましたしね」
――そこから徐々に、ご自身を夛田に重ねながら観ていかれたんですか?
永野「そうそう。そうやって観ているうちに、僕自身にも確かに夛田っぽいところがあるなと。熱くなってる夛田の気持ちはわかるし、なんか可愛かったですしね(笑)。『人間なんて、所詮こんなもんだよね…』っていうのをいまの言葉で言うと、“冷笑的”だと思うんですけど、もし僕が冷笑的な人間だったら、芸人なんて目指さずに就職してると思うんですよ。でも、売れない時代も自分を信じて『いつか売れてやる!』って夢を持ってやってきたから、いまがあるわけで…。そう考えると、自分も夛田側の人間だと言えるのかもしれない。夛田って、ちょっと潔癖なところがあるじゃないですか。あれ、自分にもあるんですよ」
――そうなんですね!
永野「だから後半は結構、『もっとやれ~!』って、夛田を応援してました(笑)。ドミノ倒しみたいに、周りの人間のイヤ~な部分がどんどん露呈していくので、『実は夛田が一番純粋なんじゃないか?』っていうふうにも見えてくるんですよね」
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