『私はあなたを知らない、』坂口健太郎&中野量太監督がステージで熱い抱擁。互いへの思いの丈を語り合ったトークをたっぷりお届け!

『私はあなたを知らない、』坂口健太郎&中野量太監督がステージで熱い抱擁。互いへの思いの丈を語り合ったトークをたっぷりお届け!

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主演・坂口健太郎、『湯を沸かすほどの熱い愛』(16)以来、10年ぶりの完全オリジナル脚本となる中野量太監督が手掛ける映画『私はあなたを知らない、』(公開中)。本作の公開記念トークイベントが9月7日にグランドシネマサンシャイン池袋にて実施。坂口と中野監督が登壇し、トークセッションをくり広げたほか、サプライズ企画も実施され、会場は大盛り上がりとなった。

トークイベントに出演した坂口健太郎
トークイベントに出演した坂口健太郎撮影:ソムタム田井

監督と初タッグとなる坂口が演じるのは、狂おしいまでに“家族”という幸せの形を追い求め、愛する人を殺めてしまう重い罪を犯してしまった孤独な青年。あの日いったいなにがあったのか、なにを思っていたのか。封印した記憶と真実に触れた時、心が揺らぎはじめる。愛とは、憎しみとは、そして人を赦すこととはなにかを訴えかける本作は、日仏共同製作で描く、感動のヒューマンサスペンスとなっている。

ちなみに本作は、鑑賞後の議論が白熱しがち…ということでも話題になっており、ステージでは観客から寄せられた感想パネルを前に、公開後の反響や、あらかじめ募集した質問について両者が答えていく流れでトークが展開。イベントの中盤では、サプライズ企画として、坂口が中野監督に宛てた感謝の手紙を朗読するコーナーが予定されていたのだが、坂口は「手紙では気持ちが伝わらない」として、即興で感謝のメッセージを伝えることに。

最初は持参した手紙を読もうとするものの…
最初は持参した手紙を読もうとするものの…撮影:ソムタム田井

「手紙を読もうと思ったんですけど、それだと文章を読むだけになってしまうので。読まずに言葉を伝えたほうがいいんじゃないかと思うので、完全にアドリブでしゃべります。これは監督にもそうなんですけど、この場にお越しくださった皆さんにも、この想いを聞いてほしいということで話すんですけど、今回の映画はすごく大変でした。すごく大変でしたし、夕平としてなにが正解なんだろうっていうのを、クランクアップしたあとも考えていた作品なんですね。

演技を絶賛するコメントが多く寄せられたことについて感謝の言葉を述べる坂口健太郎
演技を絶賛するコメントが多く寄せられたことについて感謝の言葉を述べる坂口健太郎撮影:ソムタム田井

クランクアップして、それこそ僕は違う作品に入るけど、監督は編集だったり、いろんなことをされているなかで、どこか僕は頭の中で、ずっとここらへんに夕平っていう存在がいたんです。彼はいまなにをしてるだろう?彼はあのあと、どうやって生きていってるんだろう?っていうのはすごく思っていたことで、たぶんそれは夕平もそうだけど、朝子(夕平に母親を殺された少女)もそうだし、紗月(朝子の母)もそうだし、弁護士の町村もそうだし。すごくいろんなことで、こういった答えがない話を、現場では、撮影が始まるまでは、皆で丁寧に考える時間があったんですね。僕も迷いました。きっと(紗月を演じた)堀田さんも迷ってただろうし、(朝子を演じた早瀬)憩ちゃんも瑛茉ちゃんもそうだと思うんですけど、こういう、それこそこうやって感想で書いてくれている『涙が何度も…』だったり、『答えのない傑作』とかだったり。答えのないものをずっと突き詰めて探していく作業が本当にあったので、みんなが迷って。でも監督のことを信じて、こうやってずっと積み重ねたもの。その雫が落ちて、ちゃんとバケツがいっぱいになったものがこの作品だと思っています。

背面パネルにはSNSに寄せられた作品の感想が書き綴られている
背面パネルにはSNSに寄せられた作品の感想が書き綴られている撮影:ソムタム田井

みんな、感謝しているのは、この作品は監督がオリジナルで生み出したものではあるんですけど、役者に対して、映画に対して、本当に愛情がある人だったんですね。だから、最初はすごく難しい題材をやるんだなっていうのは思ったんですけど、監督がここまで役者、作品、それこそスタッフの皆さんだったり、映画に関わっている、例えばロケ場所を借りている地元の人たちにも、こんなに愛情がある人にはついていきたいっていうのを、みんなが思ったんですよね。だから、もちろんいろんな捉え方があって、それこそ夕平の選択っていうのはいまでもわからないんです。僕もわからないし、彼がやったことが正しいか?正しくないか?の話ではなくて。彼の生きてきた“生き様”みたいなものを監督が丁寧に作ってくれたということに、まずは感謝を伝えたいなと思って。

撮影現場での出来事を振り返る一幕もあった
撮影現場での出来事を振り返る一幕もあった撮影:ソムタム田井

で、やっぱりすごくうれしかったのが、こんなにたくさんの感想を送っていただけたことで。夕平はいま、なにをしているんだろう?朝子はこれからどういう生き方をしていくんだろう?いろんなご意見や感想をいただきましたが、ひとつの作品を作って、その登場人物の行く末をこんなに大勢の方が考えてくださる作品って、本当に豊かなものだと思っていて。だから、監督が本当に死に物狂いで、本当にいちばん楽しそうに撮ってくれてた環境っていうのは、僕はすごく幸せな時間だったなと思って。すべての人を代弁にするわけじゃないですけど、今回こういう、夕平というキャラクターをやらせていただいて、監督が産み落としてくれて、本当にうれしいなと思っています」。

坂口のメッセージに客席からは拍手が起こり、最後に締めの挨拶を…という流れになりそうになったところで、中野監督がステージ中央に躍り出て、ポケットから手紙を取り出す流れに。じつは中野監督が仕掛け人となり、坂口の朗読後、今度は監督から坂口へ感謝の手紙を読み上げるというサプライズ演出が用意されており、これには坂口はもちろん、観客も大盛り上がりに。そうして中野監督は、おもむろに手紙を読み始める。

サプライズで、中野監督が持参した手紙を読み上げるコーナーが展開
サプライズで、中野監督が持参した手紙を読み上げるコーナーが展開撮影:ソムタム田井

「坂口健太郎様、昨日、新宿の映画館で初めて、監督ではなくひとりの観客として『私はあなたを知らない、』を観ました。見入ってしまいました。坂口健太郎、すげえと思いました。監督もなかなかやるなと思いました(笑)。今回、私がこの映画に掲げた最重要課題は“いままで見たことがない坂口健太郎を撮ること”でした。それがこの映画の価値につながると思っていたからです。取材では、現場でたくさん話し合って、夕平像を作り上げました…と、ふたりで笑顔で話していましたが、実際はそんな簡単なものではなかったですよね。夕平の持つ“情けなさ”という感情を表現することに、とても苦労したことを覚えています。

『私はあなたを知らない、』を手掛けた中野量太監督
『私はあなたを知らない、』を手掛けた中野量太監督撮影:ソムタム田井

撮影前半は、もっと情けなく、もっと情けなく…と何度も言っていた気がします。そして挑んだ紗月との別れのシーン、監督としてもっとも夕平の情けなさを求めたシーンです。階段下から、僕は朝子の父親としてふさわしくない…と見上げる夕平を、私はモニター越しに見ていました。なんて情けないんだろう、なんてかっこ悪いんだろう、なんて愛おしいんだろう…と、涙が出そうになりました。映画が完成し、試写で映画を観たあなたは、いままで見せたことがなかった自分の恥ずかしい部分まで映っていた…と照れながら、うれしそうに言いました。あの時私は、いままで見たことがない坂口健太郎を撮れたんだと思えて、心の中でガッツポーズをしていましたよ。俳優・坂口健太郎には、まだまだ未知の魅力と才能があると思っています。私はそれが見たいし、それを引き出したい。映画を撮り終え、無事に公開できたいま、私とあなたは、一監督、一俳優の関係に戻りました。またゼロからのスタートです。だから、この言葉を最後に送ります。私はあなたを知らない。もちろん最後は“。”ではなく“、”で。中野亮太」。

【写真を見る】「幸せでした」トークイベントの壇上で熱い抱擁を交わす坂口健太郎&中野量太監督
【写真を見る】「幸せでした」トークイベントの壇上で熱い抱擁を交わす坂口健太郎&中野量太監督撮影:ソムタム田井


中野監督のメッセージを受け取った坂口は、監督に近づき無言でハグ。そして改めて、「僕のこの監督への信頼は、もちろん、いっしょに作ったからもあるし、なんか監督がね、本当にすべてを愛してくれる人だったから、それに対しては僕はもう、120%で応えたいと思うし、やっぱ幸せだったんですよね、夕平を演じていた時が。だからその時間をくださった監督には、本当に感謝しています。この手紙は家で額縁に入れて飾ります」と感謝の言葉を述べ、大盛況のうちにトークイベントは終了した。

取材・文/ソムタム田井

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