『5秒で完全犯罪を生成する方法』重岡大毅&近藤亮太監督が感じた熱量を分かち合うことの重要性「こういうやり取りをできるのが人間のおもしろさ」
「AIには無駄だと思われてしまうようなものを輝かせて、意味を見出すことが僕らの仕事」(重岡)
――近藤監督は「第2回日本ホラー映画大賞」で大賞を受賞し、その受賞作を長編化した『ミッシング・チャイルド・ビデオテープ』で商業監督デビュー。以後も、『〇〇式』(25)などホラー作品を中心に作品を撮られてきましたが、今回はサスペンスに挑戦され、規模感も格段に大きくなっている。
近藤「もともと自分はホラーだけをやりたいというわけでもなかったので、ジャンルが違うことへの不安はほとんどなかったんです。とはいえ、いきなりこの規模の作品をやるとなると、はたしてコントロールができるのかなという思いもありました。でも『ミッシング・チャイルド・ビデオテープ』以降でずっと組んできたスタッフと組めるなら、とプロデューサーの皆さんに強く希望を出しました。なので、その点では大きな違いはなかったんです。
もうひとつ変わらなかったことといえば、どれだけ日数があってもやっぱり足りないということです(笑)。それでも撮影日数がこれまでより倍以上も増えたので、振り返ってみればゆとりがあったのかなと。なにかがあった時に、もう一度やってみましょうとかフレキシブルに対応ができたし、大勢いるスタッフの皆さんがしっかりと準備を進めてくれていたので、ある意味僕は現場に行って演出するだけというぐらい、安心感がありましたね」
――それで完成した本作は、7月に行われたプチョン国際ファンタスティック映画祭で世界に向けてお披露目されました。
重岡「ずっと映画祭に行ってみたかったので、連れて行ってもらえてほんまによかったなと。ティーチインには本当に緊張しました」
近藤「空港もレッドカーペットも重岡くんのファンが大勢いて。プチョンはジャンル映画に特化した映画祭なので、皆さんすごく真剣に作品を観てくれていました。なので、ティーチインでは質問をいっぱいいただけたんです」
重岡「そういう機会があること自体知らなくて。前のめりで映画を理解する姿勢がおもしろいとか、芯食った話を訊かれるかもと聞かされたので、ちょっとビクビクしてました(笑)。でも僕は韓国語がわからないですけど、情熱的に作品と向き合ってくれているのがすごく伝わってきて、『ああ、映画ができて海外の人に観てもらえたんやな』としみじみ思いましたね。その興奮のまんまで乗った帰りの飛行機の中は、ずっと監督に話しかけてました(笑)」
――作品のテーマは生成AI。お2人も普段から使われているとお聞きしましたが、その脅威のようなものを感じることはありますか?
重岡「僕は使ってますけど、『朝ごはん、なにがええかな?』とかそういうしょうもないことにしか使ってないですね(笑)」
近藤「僕の場合、役には立ちますけど、あまり脅威を感じてはいないというのが正直なところですね。まだAIは、ある方向に向かって言葉を構築しているだけなので、人間の思いとか情念のようなものは作れない。それに場の空気を読み取ったり直接コミュニケーションを取ったりするようなことはできないので、演出の領域では恐れるに足らない印象です」
重岡「たしかに、それは僕も同じかもしれない。AIには無駄だと思われて省かれてしまうようなものを輝かせて、ファンの方に届けるのが僕らの仕事という捉え方もできます。そういえば、プチョンでもブラッド・ピットとトム・クルーズが戦う映像ありましたよね」
近藤「オープニングで流れてたやつですね」
重岡「『これAIっすか?』『これもAIっすか?』ってずっと訊いてたら、監督がピシッと『AIじゃない時に言いますね』って」
近藤「全部AIだったから、AIじゃない時に言ったほうが早いと思って(笑)」
重岡「こういうやり取りをできるのが人間のおもしろいところなんですよね」
取材・文/久保田 和馬

