「ベビわる」阪元裕吾監督が熱弁!『レディ・オア・ノット2』が体現する“叛逆の狼煙”「これこそジャンル映画のあるべき姿」

「ベビわる」阪元裕吾監督が熱弁!『レディ・オア・ノット2』が体現する“叛逆の狼煙”「これこそジャンル映画のあるべき姿」

サーチライト・ピクチャーズ最新作『レディ・オア・ノット2』(8月14日公開)の公開を記念して、第1作『レディ・オア・ノット』(19)と連続上映をする「サーチライトプレミア試写会-シネマラウンジ-vol.7 最速!『レディ・オア・ノット』1・2イッキミ試写会」が8月2日、ユーロライブにて開催された。MOVIE WALKER会員ほか、映画ファンが集った本試写会で行われたトークショーでは、「ベイビーわるきゅーれ」シリーズなどで知られる阪元裕吾監督と、映画紹介人のジャガモンド斉藤が登壇。計203分のイッキ見を終えた観客の前で、ネタバレOKのトークでイベントを盛り上げた。

「レディ・オア・ノット」の魅力を語り合った阪元裕吾監督&ジャガモンド斉藤
「レディ・オア・ノット」の魅力を語り合った阪元裕吾監督&ジャガモンド斉藤

シリーズ第1作となる『レディ・オア・ノット』は、大富豪の一族に嫁いだ花嫁が、結婚初夜の伝統ゲームで命を狙われるサバイバル・ホラー。2019年にアメリカで公開され、敗者を待ち受ける衝撃の“人体爆裂”シーンで世界を騒然とさせた。日本では劇場未公開であったが、今回の上映が日本初上映となった。しかも続編となる本作は、一般の観客が鑑賞する試写会では最速上映!“最強の花嫁”グレース役として“新世代スクリーム・クイーン”サマラ・ウィーヴィングが帰還し、妹のフェイス役で『アビゲイル』(24)のキャスリン・ニュートンが新たに参加。加速するバイオレンス、裏切りに次ぐ裏切り。そして、突き抜けたブラックユーモアが痛快なスケールで観る者に襲いかかり、閉ざされた空間から世界規模へと拡張した“究極のかくれんぼ”の第2ラウンドの幕が開く。

“究極のかくれんぼ”は第2作でさらに進化!
“究極のかくれんぼ”は第2作でさらに進化![c]2026 Searchlight Pictures. All Rights Reserved. 

今回のイベント出演に際して、第1作から鑑賞したという阪元監督は「燃える屋敷の前でタバコを吸うシーン」だけ事前に知っていたそう。いつ出てくるのか期待していて、第1作のラストに出てきた際はうれしかったと明かす。また、続編となる本作についても「血がたくさん出てきてステキな映画」と笑顔で話しつつ、「僕もカンヌ(国際映画祭)とかで(賞を)獲るようにならないとアカンのかな…とかずっと言ってきましたが、やっぱりこういう映画を観ると、反逆心あふれるアメリカのアクション映画っていいなって思います。こういうホラー映画が劇場で上映されるのはうれしいですね」と喜んでいた。

劇場用パンフレットへの寄稿もした阪元裕吾監督
劇場用パンフレットへの寄稿もした阪元裕吾監督

本作の劇場用パンフレットに寄稿されている阪元監督のレビューをいち早く読んだという斉藤。「格差社会を描いた映画は、基本的にその構造自体は壊せずに諦める作品が多いなかで、本作はひっくり返ってる部分がいい点、という見事な名文が書かれていました」と話すと、阪元監督は「またカンヌの話になりますが…」と笑いながら、本作の魅力を解説していく。「『パラサイト 半地下の家族』『万引き家族』『イカゲーム』など、多くの国で格差社会を描いていますが、『頑張れ!戦うぞ!』と言いつつ、負けて終わることが多いと思います。そんななか、『レディ・オア・ノット』は本当にシンプルで。たまたま装填済みの銃器保管室あって、本当にたまたま妹を助けに行けて、最後の逆襲に繋がっていく。これこそジャンル映画のあるべき姿で、『アメリカ映画がやってきた!』という感じがしましたね。本当にいいものを見せてもらえました」。

本作の魅力を熱く語るジャガモンド斉藤
本作の魅力を熱く語るジャガモンド斉藤

これに対し斉藤も「ご都合主義というとマイナスな言葉に聞こえるけれど、本作のようなサービス精神旺盛な映画は、『ご都合主義こそ!』みたいなところがあっていいですよね」と共感。すると阪元監督は「自分も映画監督をやっていて脚本を書いていますが、『なんでこいつら戦ってるんだろう』って我に返ることがあるんです。でも実は逆もあって、会話のシーンを書いている時はお客さんに『はよ、戦え!』と思われてるかな?みたいに考えていたりして。その戦いです」と脚本作りでの葛藤を明かした。

また「話は逸れますけれど…」と前置きした阪元監督は「こういう映画に出てくる洗濯機みたいな機械はいいですよね」と笑顔で語る。斉藤も「いいですよね、あのでかい洗濯機。あれこそご都合主義です。ちょうどいいところに設置されている」とニヤリ。阪元監督は「人を殺すためのみに登場する機械が大好きで。そういうものが出てくるとうれしいなって思いますね」とお気に入りポイントについて語っていた。

洗濯機に閉じ込められたが…
洗濯機に閉じ込められたが…[c]2026 Searchlight Pictures. All Rights Reserved. 

本作の代名詞とも言える“人体爆発”のシーンについての話題になると、「血のりを使った撮影は本当に大変。繋がりとか考えて、その日に撮影が終わらなかったら、次の日にまた同じに戻さなきゃいけなくて…」と、映画監督としての共感と苦労を話す。「同じ位置に同じ血のシミを作るのは、再現性がなかなか難しいということですね」との斉藤の言葉に、阪元監督は「本当にめんどくさいんですよ、あれは…」としみじみ。

シリーズおなじみの“人体爆破”シーンは必見!
シリーズおなじみの“人体爆破”シーンは必見![c]2026 Searchlight Pictures. All Rights Reserved. 

今回の上映を参加者と一緒に鑑賞していた阪元監督は、新たな発見があったと説明する。「前作の最後にグレースは吸うことができたから、本作でもずっと吸いたがっているんです。でも、いつもいいところで吸えなくて、やっとラストで吸えるんです。自分が撮った『ベイビーわるきゅーれ ナイスデイズ』でも、『焼肉たべようね』『宮崎で食べようね』と言っていて、最後に『やっと食える!』みたいなのがあります。そういう“小さな楽しみ”みたいなのが人間らしさであって、これがチラッと垣間見えるだけでもすごくいいなって思いました」。斉藤も「そういうところがあると、『あ、自分の話かも!』って思える」と親近感が湧くとも話していた。

続けて阪元監督は、“主席”を狙う双子の弟、タイタス(ショーン・ハトシー)について触れ、「最初のほうに出てくる時は、イカレサイコみたいに言われる役でしたが、実は家族のなかでは地位が高くなくて、父親に抑圧されてたみたいな。こういうところがとても丁寧に描かれていて。ほかにもたくさん、アホの子、富豪集団が出てきて、1回目だと関係性が把握できなかったところもあったんですが、それが2回目だと誰とどう繋がってるみたいなのがクリアになって、めっちゃスッキリしました」と語り、複数回の鑑賞を推奨していた。

富豪たちのバックグラウンドを把握すると、さらに魅力が深まる!
富豪たちのバックグラウンドを把握すると、さらに魅力が深まる![c]2026 Searchlight Pictures. All Rights Reserved. 

本作のキャラクター造形について、斉藤は本作のグレース&フェイス姉妹と「ベイビーわるきゅーれ」のちさと&まひろコンビを例に挙げつつ、「キャラクターに個性があって、どう動いていくかで物語が進んでいくみたいな作り方されている」と共通点を指摘。阪元監督は、「どちらかがいないと成立しないようにするっていうのが、バディものの定説といいますか。欠けたものを補い合う2人みたいなところで。ここも2回目観たら、わかりやすく提示されているのに気づけましたね。さっき話した洗濯機のくだりもそうで、やっぱり共同作業ですよ、“殺し”は」と、監督作と合わせて分析していた。

このバディものに関して斉藤は、「殺しに来る富豪側もある意味バディもので、しかも格ゲーみたいに死んだらバトンタッチしていくのは新しいシステム」と話すと、阪元監督は「富豪側がボコボコ死んでいきながら、スカッと終わるみたいなのもいい」と頷く。これに対し斉藤は「でも全員に死亡フラグが立っていて死ぬ順番が読めない。死が平等に訪れている」と、本作ならではのポイントを語っていた。そして、富豪たちが登場するだけでどうなってしまうかわかる点がおもしろいとし、トークは3作目の妄想大会に。斉藤は「『3』も主人公には生き残っててほしいから、どんな家族が登場してどうやって死んでいくのか、設定を考えると楽しくなりますね」とコメント。阪元監督は「参加者が『殺されに来ました、イエーイ!』みたいに登場するわけですからね(笑)」とニコニコ話し、斉藤も「楽しい大喜利ができそうな感じがあります」と、2人で続編に期待を込めてながら、予想を楽しんでいた。

『レディ・オア・ノット2』は8月14日(金)公開!
『レディ・オア・ノット2』は8月14日(金)公開![c]2026 Searchlight Pictures. All Rights Reserved. 

最後にこれから『レディ・オア・ノット2』を鑑賞する方に向けたコメントとして阪元監督は、「いろいろと鬱屈した気持ちがみんなあると思うし、そういう空気が世界中に広がっているなかで、そういうものに対して拳を与える、“叛逆の狼煙”を与えるのがやっぱりジャンル映画の役割なんじゃないかと常々思っていました。本当にそれが、すごく体現されている映画だと思って。本当にスカッとしたい人とか、今日雨か…みたいな(テンションが下がった)人でも楽しめる映画だと思うので、ぜひ観てください。そして1回観た人も、本当に2回見たら見え方が変わってくる。僕自身、キャラクターへの理解度が深まったので、ぜひ2回目を観て楽しんでくれたらいいなと思います!劇場で待ってるぜ!」と本作をアピール。会場は大きな拍手と笑い声でいっぱいになっていた。

武器を持って楽しすぎるフォトセッションの様子
武器を持って楽しすぎるフォトセッションの様子


取材・文/タナカシノブ

関連作品