押井守監督、新連載テーマは“ジャンル”を作ること!?「私には私のジャンルがある」【押井守連載「勝手にジャンル。」プロローグ】
「ジャンルという名のタグを増やすことは、“映画の愉しみ方”を増やすことになる」
――タグ付け、汎用性が高そうですね。
「“タグを付ける”というのはすべてにおいて意味があって、思考の本質とも言える。仕事をするうえでも人間関係を築くうえでもタグを付ける。
そうやって思考内で検索する場合、条件を重ねれば重ねるほど精度が上がる。『アクション映画』というタグだけだと無数に出てくるけど、『“ムエタイ系の”アクション映画』と検索すれば絞られる。融合させたり結合させたりすることで、違ったものが見え始めるんです」
――そうですね!
「もう一つ、最後に言っておきたいのは、ジャンルは重なることでしか機能しないということ。ハリウッドのプロデューサーに自分の作品を説明する時に『SFです』だけじゃダメで、『非日常を日常的に展開させる』という説明をしたら、その映画を語ったことになる。『青春映画』だけじゃなにも語ってなくて、『青春映画だけどそこにアクションがたくさんある』というと、語ったことになる。
タグは重ねることでしか機能しない。説明するということはタグを重ねることなんだけど、説明する側の意図が乗っかって来て、読み替えが機能し始める。で、プロデューサーがちょっと体を動かす。その瞬間が第一歩。どうやってそこまでもっていくかが、その映画を撮りたい監督としては重要なんだよ。身を乗り出させるということは、次の3分間を観たいと思わせることと同じだから。その時のプロデューサーはお客さんそのもので、彼を説得できないならお客さんも観てくれないということになる」
――ということは押井さん、この連載は映画のあらゆる面に関わって来るということですね?
「そうです。“映画の愉しみ方”を増やすことにもなると思っている。もしかしたら、これまでやってきた映画にまつわる本や連載の集大成になるかもしれないよ(笑)!ぜひ期待してほしいね」
取材・文/渡辺麻紀
