“ケンティー”を応援し続けている人にこそ観てほしい!『ラブ≠コメディ』で描かれる中島健人とリンクする主人公像
中島の持つ“没入力”で麗司がリアリティのあるキャラクターに
自身のキャリアに悩みながらも、まっすぐに歩みを進めていく。そんな麗司を説得力をもって演じられるのは、まさに中島だからこそ。
まず、多くの人が役の印象をガラリと変える30歳という節目に、麗司は相変わらずラブコメの、いわばキラキラとした王子様のような、歯が浮くような甘い言葉を語るキャラクターをオファーされる。それに対して麗司は“もう嫌だ、違うフェーズに行きたい”と反抗するが、そんな王子様のようなキャラクターを、年を重ねても任される人のほうが希少であるというのも、また事実だ。
そんな麗司の王子様っぷりを「えーこれ無理があるよ…」と観ている人に思わせないのは、中島のスター性、そしてファンを没入させる徹底した世界観を作り込める力(ブランディングと言ってしまえば、あまりにも戦略的であるから、ここではあえて彼の“没入力”であるということでこの言葉を使いたい)と言いたい。
中島は、自身が持つ華やかなスター性とアーティスト性を本作でも存分に発揮。作中では、現実の中島のように、きらびやかな衣装を身に纏った麗司が音楽番組にて楽曲を披露するシーンが登場。ここで歌うポップな楽曲も見事に中島にハマっていた。それもそのはず、実は主題歌の「Fiction Love」、劇中歌「ストロベリー」「愛してTonight」は、中島がこの映画のために書き下ろした楽曲。特に、「ストロベリー」は、劇中ドラマ「壁ドン!床ドン!君にドーン!」で共演する美里のまっすぐな人柄にしだいに惹かれていく、心の揺らぎを表現したような楽曲に仕上がっているので、ぜひ歌詞にも注目してほしい。
もしかして本当のケンティーも…?リアルすぎて想像が止まらない!
また、本作の監督が、中島が主演を務めたテレビドラマ「彼女はキレイだった」の紙谷楓ということもあり、安定感を感じさせるのも推したいポイント。
同ドラマで中島が演じた長谷部宗介は、「ザ・モスト」日本版の副編集長兼クリエイティブ・ディレクターといういかにもハイスペックな肩書を持ちながらも、同じ編集部で働く佐藤愛のことになると、少しチャーミングな一面を見せたり、タブレット片手に仕事ができるキャラクターなのかと思いきや、いまいち決まりきらないところがあったりと視聴者から愛されるようなキャラクターだった。
今回演じる麗司に関しても、その気配を感じさせるところは多々あり。ハイスペックな二枚目俳優かと思いきや、ファンの前から一度離れ、気心の知れたマネージャーの前では子どもじみた行動を見せたりするところも見逃せない。
そして、これは想像でしかないが、オンモードの麗司がどことなく我々が思い描く“中島健人”像と近しいがゆえに、そういうオフ姿のシーンでは「もしかして、ケンティーって裏でこんな感じ?」と想像を掻き立てるようなワクワク感もある。
中島が好きであればあるほど楽しめる要素がたくさんな『ラブ≠コメディ』
ここまで紹介したように、本作はラブコメであり、お仕事ドラマであり、成長物語であり…と観る人によって受け取り方が多様となりそうな予感。きっと日々の生活で葛藤を抱え、悩んでいる人のなかには、麗司が懸命にもがいている姿に自分を投影してしまう人もいることだろう。
「これぞ、2026年の中島健人を映したモキュメンタリー!」…と言ってしまっては、さすがに言い過ぎかも知れないが、中島自身が「自分とかけ離れているわけではないので、普段の自分を原型としつつ、麗司という人物像を作り上げていくうえで脚色をしました」と語るように、本人を下敷きにした物語であることは事実。
きっと観る人が中島のどんなところに惹かれて応援しているか、中島にどんなパブリックイメージを抱いているかによって、感想や目の付けどころが異なること間違いなし。長く中島を応援している人にこそ観てほしい、なんなら一回観に行くだけでは咀嚼しきれないと思うので、何度でも劇場に足を運んでほしい!心から勧めたい、この夏一番のビタミンムービーだ。
文/於ありさ
