人生で大切なことはウッディ&バズたちが教えてくれた!「トイ・ストーリー」が描くメッセージの変遷
別れを受け入れ、新たな未来を手にする『トイ・ストーリー3』
そして『トイ・ストーリー3』(10)は、シリーズでも最もエモーショナルなテーマが示された。前作でも触れられた、おもちゃと持ち主の別れが、アンディ(声:小野賢章)の大学の進学に伴って物語のメインとなったから。それは、ウッディやバズら、おもちゃたちにとっては自身の役割が終わることを意味する。
前作とは違って、ウッディらの意思でどうこうなる問題ではなく、「別れをどう受け入れるか」が試されることに。また、ウッディの目線が、アンディを見送る“親”のそれになっているあたりも、人が大人へと成長した証(あかし)を重ねているかのよう。そうした別れを受け入れた先に、新たな希望の未来が見えてくることも、この3作目は教えてくれた。
自分にとっての幸せとは?多様な生き方を示した『トイ・ストーリー4』
シリーズとして新たな方向性を目指したのが『トイ・ストーリー4』(19)。これまでは「持ち主との関係」という、おもちゃの役割が軸となっていたのに対し、この4作目では、おもちゃたちが“自立”した存在としてのドラマが濃厚になった。
ウッディは、かつて心を通わせた相手である陶器人形、ボー・ピープ(声:戸田恵子)と再会を果たし、最終的にバズら仲間と離れ、ボーとの新たな人生を選択する。持ち主との関係ではなく、自分にとってなにが本当の幸せなのかを考え、それを実行するという意味で、もはやおもちゃとしての役割は終えた印象も。
デジタル時代に新たなメッセージを投げかける『トイ・ストーリー5』
このようにシリーズ4作を振り返ると、友だちを作り(1作目)、大切な時間を生き生きと過ごし(2作目)、別れも経験し(3作目)、自立した人生を求める(4作目)という、誰もが共感しやすい人生の成長アーク(曲線)に、“必要とされる”立場のおもちゃたちが、自分の意思で未来を決めるという頼もしい変貌が重なり、唯一無二のシリーズが完成された。
では、自立したおもちゃたちにどんな運命が用意されたら、さらなる成長アークが続くのか?最新作『トイ・ストーリー5』では、おもちゃたちが持ち主の幸せのために陰ながら強力サポートするという、“見守る”を超えて“導く”役割も任されている。
このような彼らの成長ぶりは、人生達観の域に入ったと言ってよさそう。そこに重要なモチーフとなるのが、アナログなおもちゃたちを襲うデジタルの波。いかにもいまどきなテーマが2026年を生きる我々にも身近に感じさせ、「トイ・ストーリー」シリーズにとっても新機軸のメッセージが浮かび上がってくるのである。
文/斉藤博昭
