ドルビーシネマの“圧倒的没入感”の秘密は?色彩やスピーカーが生み出す立体感をドルビージャパン社長が徹底解説!

インタビュー

ドルビーシネマの“圧倒的没入感”の秘密は?色彩やスピーカーが生み出す立体感をドルビージャパン社長が徹底解説!

自動車のなかでも「目の前でアーティストが演奏しているような臨場感」

音響の研究・開発メーカーとして1965年に誕生したドルビー社。映画の世界に入り込んだような臨場感や、ホール全体に包まれるようなコンサート会場の一体感が再現できるドルビーアトモスは、大沢代表が「30数年ぶりにサウンドの世界に起きた技術革新」と評するように、ドルビーならではの画期的テクノロジーだ。

映画館のほか、テレビやスマートフォンなど日常のデバイスにも数多く採用されているが、それらを可能にしたのがスピーカーの数に頼らないシステムだという。スピーカーが多ければ多いほど迫力が増すのはもちろんだが、ドルビーアトモスはスピーカーの数を問わずオブジェクトオーディオを再生できる。「スピーカーが2台や4台でも、もちろん天井に設置しなくても立体音響が味わえます。アマゾンのEcho Studio(エコースタジオ)という筒型のスピーカーは、1つだけで立体音響になるんです。AppleやD&Mからも同種のすばらしい商品が出ています。天井のスピーカーをいま、使ったか使わなかったか、聴いていただいたあとにお尋ねすると、お詳しい方も含めてなかなか当たりません」。

視認性の高い色彩や立体的な音響により、圧倒的な映画体験を提供するドルビーシネマ
視認性の高い色彩や立体的な音響により、圧倒的な映画体験を提供するドルビーシネマ撮影/杉 映貴子

そんなドルビーアトモスの普及で現在特に力を入れているのが自動車の分野だという。「対応機器が広まっているなかで、残る分野のひとつが自動車です。すでにメルセデスやポルシェ、アウディなど世界の6社が日本市場でも採用しており、世界全体では30以上の車ブランドでドルビー技術の導入が進んでいます。目の前でアーティストが演奏しているような臨場感ある音楽が味わえますから、目的地に到着しても曲が終わるまでは降りたくないと思うほど感動的ですよ」。いまやモビリティとしてだけでなくプライベート空間としての活用も注目されている自動車だが、ドルビーアトモスは乗車中に好きな音楽や映画を堪能できる場所としても力を発揮するはずだ。

コンサート、スポーツ、旧作のリバイバルまで「最高の作品を最高の品質で、日本はもちろん世界の人にお届けしたい」

ハードウェアの環境が充実している現在、ソフト面もますます充実する一方だ。「すばらしい映像と音響が体験できるのは、クリエイターのみなさんがドルビービジョンやドルビーアトモスの技術を活かした作品を作ってくださっているからです」と語る大沢社長が拡充させたいジャンルに挙げているのがスポーツ。コンサート同様、競技を目の当たりにしている臨場感が味わえるスポーツはドルビーのシステムに最適だが、そこには個人的な想いもあるという。

「いま世界中の先進国・主要国におけるスポーツ中継で、ドルビービジョンやドルビーアトモスが使われています。臨場感と迫力たっぷりに中継されています。日本ではWOWOWとdocomoの一部の方々が先進的ですが、技術立国日本の放送系に大きなウネリが出てくる事を期待しています。視聴率が挽回するでしょうね」。

コンサートの映画は人気のジャンルで、ドルビーに最適だ。近年はその数も増加傾向にあり、「2019年の嵐のコンサートフィルム『ARASHI Anniversary Tour 5×20 FILM “Record of Memories”』は、当時日本で7館しかなかったにもかかわらず、ドルビーシネマだけで先行独占上映されました。スクリーンだと会場の最高の席で生で観ているような臨場感で何度でも味わえます。ライブを超えた体験と言えるのではないでしょうか」。

近年は4Kなど高精細リマスターによる旧作のリバイバルも盛んだが、これもドルビーシネマと相性がよい。「アナログのフィルムもリメイクに向いています。古いものはフィルムの保存状態により効果に違いは出てきますが、この方面での活用も楽しみですね。黒澤明監督作品など名作は、いずれドルビーシネマにリマスターされるものが出てきてほしいですね」。


「ドルビーシネマを一度体験してほしい」と熱く語っていた大沢社長
「ドルビーシネマを一度体験してほしい」と熱く語っていた大沢社長撮影/杉 映貴子

日本の映画館で初めてドルビーアトモスが採用されたのは2013年、ドルビービジョンも採用したドルビーシネマが誕生したのは2019年のこと。いまやドルビーアトモスは全国の主要映画館で採用され、ドルビーシネマも11館になった。「映画やアニメ、ゲーム、そして音楽など、日本はすばらしいコンテンツをたくさん持っています。政府もコンテンツ産業を自動車産業並みに大きくしていきたいという方針を打ち出しました。クリエイターの方たちと協力しながら、最高の作品を最高の品質で、日本はもちろん世界の人にお届けしたい。それが私たちの役割だと思っています」。

取材・文/神武団四郎

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