ドルビーシネマの“圧倒的没入感”の秘密は?色彩やスピーカーが生み出す立体感をドルビージャパン社長が徹底解説!
2026年3月にグランドオープンしたTOHOシネマズ 大井町。この劇場に導入された Dolby Cinema(ドルビーシネマ)の体験会「ドルビーシネマ特別体験会」が4月21日に開催された。開催にあたって「TOHOシネマズ 大井町のドルビーシネマを皆さんによく知っていただきたい。最高の映画体験をしていただきたい」と語っていたドルビーラボラトリーズ 日本法人社長(兼)東南アジア・太洋州統轄の大沢幸弘氏にドルビーシネマの魅力、ドルビーの今後について話を聞いた。
ドルビーシネマの特長に暗いシーンでの鮮明な映像を挙げる映画ファンは多いが、これまでの上映システムとの違いは視認性の高さにあるという。
「プロの方にはドルビーシネマの黒がたまらないと言われます。映画ファンの方からは立体感がある、奥行きを感じるという声をよく聞きます。なぜそう感じていただけるのか、簡単にいえばドルビーシネマは輝度(光源の明るさ)とコントラストが自然の幅に近付けてグッと拡げたからなんです。例えば映画などの暗さや明るさは、黒から白まで少しずつ変化するグラデーションで表現されています。このグラデーションのキメが細かくて、黒と白の間に数えきれないほどの色がある。だから本当の自然の色が表現できます。ドルビーシネマは人間の目が認識できる最大限まで輝度とコントラストを広げているので、“本物の黒”だとか立体的に感じるという評価につながっているのです」。
「ドルビーシネマで味わうと色が増えたように感じられる」
グラデーションの豊かさは色彩表現も拡張する。「例えば、新海誠監督作品ほかアニメは色の美しさも見どころですが、ドルビーシネマで味わうと色が増えたように感じられます。7色の虹も実際はグラデーションですから、それを70で表現するのか700なのかで大きく違ってくるわけです」。
色彩の効果が際立っていた作品の一つとして、大沢社長が挙げたのは2024年の福山雅治の長崎ライブを映画化した『FUKUYAMA MASAHARU LIVE FILM@NAGASAKI 月光 ずっとこの光につながっていたんだ』。コンサートが行われたのはV・ファーレン長崎のホーム、長崎スタジアムシティ。サッカーグラウンドのため屋根がなく、ステージの上に青空が広がる開放的なロケーションとドルビーシネマの相性が抜群だったという。「コンサートは午後から夜へと続くのですが、青かった空が徐々にオレンジ色になり黒になっていく色の変化がとても繊細に再現されています。空の色で何時なのかわかるぐらい美しいグラデーションは、ドルビーシネマならではですね」。
そんなドルビーシネマの映像体験を支えているのが、作品ごとに行ってきた明るさやコントラストの調整を、作り手の意図に合わせシーンやフレームごとに最適化するHDR技術、Dolby Vision(ドルビービジョン)。それを映画館で忠実に映し出すために、ドルビーシネマでは通常2台のレーザープロジェクターが使われる。スクリーンに同じ映像を重ねて投影することで、明るいところは光量が増し、暗いところは黒が重なり、くっきりとしたディテールと高いコントラストを実現するのだ。「大ヒットした『国宝』も今年からドルビーシネマで上映されました。通常版(SDR)の時でも十分美しかった着物など色の鮮やかさが、ドルビーシネマで観ることで一段と輝いて感じられました」。
「目をつぶっていても立体的な音を楽しめるオーディオ」
ドルビービジョンと共にドルビーシネマの核をなすのが、まるで映画の世界に入り込んだようにリアルなサウンドが360°駆け巡る立体音響システムのDolby Atmos(ドルビーアトモス)だ。「スピーカー1つのモノラルだった音の世界にステレオが登場した時に、左右のスピーカーから違う音を出すことで生まれる広がりに驚かされました。そこから進歩しスピーカーの数、つまりチャンネル数が5になり7つになりと水平に増えていったのです。このチャネルオーディオ方式とは全く異なる技術で立体音響を実現したのが、ドルビーが先陣を切って開発してきたオブジェクトオーディオです」。
「オブジェクトオーディオ」とは、個々のセリフや効果音などひとつひとつの音源にXYZの位置情報(メタデータ)を付けることで空間内に自由に音を配置、移動ができるシステムを指す。「3次元の空間で、この音源はここ、この音源はあそこと位置を決めることで、天から降ってくる稲妻や回転するヘリコプターの回転翼など目つぶっていても感じる立体的な音が再現できるのです」。
