『プラダを着た悪魔』アク強めのアシスタント役はハリウッドでも大出世!エミリー・ブラントのカメレオン俳優ぶり
作品の核を支える俳優に。“カメレオン女優”の現在地
こうしてブラントはジャンルを横断しながらキャリアを積み重ね、近年さらに“作品の核を支える俳優”としての存在感を強めている。その現在地を象徴する1本が、クリストファー・ノーラン監督作『オッペンハイマー』(23)だ。
この作品は、原爆開発を主導した物理学者J・ロバート・オッペンハイマーの栄光と葛藤を描いた人間ドラマ。ブラントは主人公の妻キティに扮した。夫の功績の裏にある苦悩を間近で見つめながら、自身も葛藤を抱える難しい役どころ。彼女は抑制された演技のなかに複雑な感情をにじませることで作品の情緒面を豊かにする重要な役割を担った。また、ライアン・ゴズリングがスタントマンのコルトに扮した痛快アクション『フォールガイ』(24)では、コルトの元恋人であるジュディをキュートに演じ、改めてどんな役柄でも完璧にやり遂げる“実力派”であることを世界に示したのである。
この春はそんなブラントの3本の出演作が立て続けに公開される。ドウェイン・ジョンソンが実在の総合格闘家マーク・ケアーに扮した『スマッシング・マシーン』(5月15日公開)では、ケアーを翻弄する破滅的な恋人役を体現。さらにスティーヴン・スピルバーグ監督の最新作にして未知との接触をテーマにしたSF大作『ディスクロージャー・デイ』(7月10日公開)では、主人公である気象キャスターを演じる。
そんななか公開を迎えるのが、『プラダを着た悪魔2』である。本作では、従来のファッション誌ビジネスが転換期を迎えるなか、カリスマ編集長のミランダ(ストリープ)がキャリアの岐路に立たされる姿が描かれる。その鍵を握る存在として浮かび上がるのが、ブラント演じるエミリー。現時点でハイブランド企業の幹部に転身していた彼女は、ミランダ率いる「ランウェイ」の運命に深く関わることに。物語のキーパーソンとなった彼女の活躍に期待が高まる。
シリアスな人間ドラマからアクション、ホラー、ミュージカル、そして社会派大作まで作品ごとにまったく異なる顔を見せてきたブラント。まさに“カメレオン女優”として多彩な役柄を演じてきた彼女の原点とも言える『プラダを着た悪魔2』は、これまでの歩みと現在地を同時に映し出す一本となるはずだ。20年の積み重ねを経たエミリー・ブラントが、再びどんな顔を見せてくれるのか。スクリーンで確かめたい。
文/足立美由紀
