森七菜が単独初主演作『炎上』で“じゅじゅ”を生きた日々を振り返る「『ほかの誰にもわからない、自分だけの一本』だと思ってくれたら」

森七菜が単独初主演作『炎上』で“じゅじゅ”を生きた日々を振り返る「『ほかの誰にもわからない、自分だけの一本』だと思ってくれたら」

「『ほかの誰にもわからない、自分だけの一本』だと思ってくれたら」

歌舞伎町という街のありのままの姿と、そこで生きる若者たちの日常を描く
歌舞伎町という街のありのままの姿と、そこで生きる若者たちの日常を描く[c]2026映画「炎上」製作委員会

印象に残っているのは「ただただ、チワワを見る時間」と繰り返すシーンだと楽しそうに話す森。「『意味わかんないなぁ』って思いながらやっていたのですが、それがめちゃくちゃ楽しくて。何回もやりたくて、カットがかかると『もう終わり?』みたいな気持ちになっていました(笑)。サンダンス映画祭でもたくさんの方が笑ってくれていたシーンで、その反応を直接見ることができてうれしかったし、隣で一緒に映画を観ていた監督もうれしそうにしていたのでやってよかったと思いました」と海外の観客の反応にも触れた。「この映画には皮肉みたいなものが結構あるのですが、そこでちゃんと笑ってくれていたのがうれしかったし、自分ごととして感じてくれている実感がわきました。日本だと声を出して映画を観ることはなかなか少ないから、そのバロメーターを直で感じることができたのもよかったです」。

撮影を振り返り、当時の心境や作品の感想をありのままの言葉で語ってくれた森
撮影を振り返り、当時の心境や作品の感想をありのままの言葉で語ってくれた森撮影/河内彩

長久監督の“寄り添い力”を感じた森が、本作で伝わってほしいと思うこととは。「正直、なにを受け取ってほしいとか、どう受け取ってほしいとかは全然なくて。自分としてメッセージみたいなものは込めていないんです。でも、誰かにとって『ほかの誰にもわからない、自分だけの一本』だと思ってくれたら、そこがこの映画のすごくいい“居場所”のような気もしています。じゅじゅのような言い方なら『クソ気持ち悪いな、この映画』みたいな感想でもいい(笑)。それもこの映画にとって正解な気がするし、褒め言葉な感じもするので、好きなように受け取って、好きなように伝えてほしいと私自身は思っています」。

初めての感覚を味わうことが多かった本作は、森にとってどのような作品になったのだろうか。「普通に生きている時のほうが、悲しみを感じづらい部分があるというか。役で受ける悲しみや感情のほうが大きかったりするんですよね。すごく情報が整理されているので。でも、それよりももっと、いつもの自分に近い状態でその感情を受けたような気もするので、ちょっと特別だった気がします。本当に不思議な感覚でした」。

少女“じゅじゅ”の150日間の物語に待ち受ける結末とは…?
少女“じゅじゅ”の150日間の物語に待ち受ける結末とは…?[c]2026映画「炎上」製作委員会

脚本を読んだ時に“未来”を感じた森は、物語のその後を想像したりしたのだろうか。「以前にもこの質問をされた時に初めて、物語の“その後”を全然想像していなかったことに気づいて。想像するという発想がなかったです。お芝居をしている時も“いま”を生きていたし、監督からも結末のその先の未来は想像していなかったとあとから聞いて、すごく不思議な共通点でした。監督と私が同じことを思っていた理由は、じゅじゅという存在がそうさせていたのか、なにがそうさせていたのかはまだちょっと解明できていないのですが、すごくおもしろいなって。映画を観て想像できる人がいたら、ぜひその未来を聞いてみたい気がしています」と話した森。撮影当時「役を生きた」感触が、撮影後にわいてきたとも語る。「いま考えてみればじゅじゅとして生きたことが幸せだったし、じゅじゅを演じるうえでは、振り返ってみて『生きた』と感じるくらいの感覚でよかったのかなと思っています」。


取材・文/タナカシノブ

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