漫画家・大友しゅうまが『マーティ・シュプリーム 世界をつかめ』を描き下ろし!「最低&最高な主人公と卓球への狂気的情熱にフォーカス」

インタビュー

漫画家・大友しゅうまが『マーティ・シュプリーム 世界をつかめ』を描き下ろし!「最低&最高な主人公と卓球への狂気的情熱にフォーカス」

ティモシー・シャラメが主演し、『グッド・タイム』(17)、『アンカット・ダイヤモンド』(19)などのジョシュ・サフディが監督を務めたA24の最新作『マーティ・シュプリーム 世界をつかめ』(3月13日公開)。卓球の世界チャンピオンを目指す青年が、数々の試練に見舞われながら夢を追いかける。ざっくりあらすじを説明すると、何度もなぞられてきたサクセスストーリーという印象だが、本作はそんなステレオタイプには収まらない。その主たる要因になっているのが、とにかく最低で最高な主人公マーティ・マウザーだ。

そんな本作をいち早く鑑賞し、「衝撃を受けっぱなしだった」と語るのは“映画紹介マンガ”でおなじみの大友しゅうまだ。今回、様々な映画をポップなキャラクターのマンガに落とし込み、見どころや魅力を紹介してきた大友が『マーティ・シュプリーム 世界をつかめ』のマンガを制作。イラストを描くうえでのポイントやマーティの魅力、クリエイターとして憧れる理由についても語ってもらった。

「スポーツものかと思っていたら…まったく予想と違いました」

鑑賞前、作品に関する情報はほとんど入れなかったと振り返る大友。「ポスターを見る限り卓球の映画であることはわかったので、スポーツものかと思っていたら…まったく予想と違いました。マーティには卓球で有名になりたいという野望があって。その過程で大女優のヒロインを口説き落とすなど濃密な人間ドラマがぐちゃぐちゃに入り乱れて押し寄せてくるので『これどうなっちゃうの?』と、どんどんのまれていく感覚でした」。

先が読めず、怒涛の展開にも圧倒される本作に大満足だった様子。一方で、物語をなぞっていくと、よくある王道ストーリーに見える恐れがあり、かつ内容を語りすぎるとこれから作品を観る人の楽しみも奪ってしまいかねない。どこを切り取ってマンガにしようかと頭を抱えるなか、ポイントになったのがマーティの卓球に対する狂気的なまでの情熱だったという。

ティモシー・シャラメが最高で最低な卓球選手の主人公を演じる『マーティ・シュプリーム 世界をつかめ』
ティモシー・シャラメが最高で最低な卓球選手の主人公を演じる『マーティ・シュプリーム 世界をつかめ』[c] 2025 ITTF Rights LLC. All Rights Reserved.

「マーティのアンニュイな目つきを再現したい」

1952年のニューヨーク。叔父が経営する靴屋でセールスマンをしているマーティ(シャラメ)は、口が巧く営業成績も優秀。しかし街の小さな靴屋で満足する気などさらさらなく、まもなくイギリスで開催される卓球の世界選手権で優勝し、世界チャンピオンになるという野望を声高らかに公言している。

「マーティ役のティモシー・シャラメといえば、繊細でクールでカッコいいイメージ。『ウォンカとチョコレート工場のはじまり』でのウィリー・ウォンカ役が好きだったのですが、今回は真逆でギャップに驚きました。卓球に魂を売っていて、目的のためならなんだってできる。最初はかわいいところもありましたが、言動がどんどんエスカレートしていきます。でも、ここまで振り切っていると逆に気持ちいいですよね。彼を描くうえでは、まずアンニュイな目つきは再現したいと思いました。そして、作品のテンポ感を損なわないように、数ある“サイテーエピソード”のなかから、どのシーンをピックアップしていくかで試行錯誤しました」。

大友が語るとおり、マーティは平気で嘘をつくし、周囲への迷惑も顧みない。マンガのなかでも、イギリスへの渡航費を手にするため、同僚を銃で脅して店の金庫から金を強奪するという、目的のためには手段を選ばないエピソードが描かれている。

【写真を見る】卓球で成功をつかむためなら同僚にだって銃を向ける!?マーティの狂気的な情熱(1/4ページ)
【写真を見る】卓球で成功をつかむためなら同僚にだって銃を向ける!?マーティの狂気的な情熱(1/4ページ)マンガ/大友しゅうま

「漫画家として憧れるところもあります」

劇中ではほかに、賭け卓球で弱いフリをし、相手を油断させて賭け金を吊り上げるといった傍若無人っぷりを次から次へと活写。しかし、こうした姿はある意味では卓球に対するストイックさの表れでもあり、映画を観ているうちにどこか共感を覚え、応援したくなる気持ちが不思議と湧いてくるのだ。


「(当時、スポーツとは見なされていなかった)アメリカにおける卓球の認識を変えたい。そのために必要なのは自分がビッグになること。そんな自信に揺るぎがないところにはワクワクしました。私も漫画家として、ほかのことを削ぎ落として制作に100%注力したいという気持ちが常にあるので、憧れるところもあります。あそこまで周りに迷惑はかけられないですが(笑)」。

順調に勝ち進んでいくマーティだったが…
順調に勝ち進んでいくマーティだったが…[c] 2025 ITTF Rights LLC. All Rights Reserved.