サーチライト最新作『レンタル・ファミリー』のHIKARI監督に注目。長編2作目にしてオスカー俳優ブレンダン・フレイザーと組んだ俊英に迫る
東京で暮らす俳優役がとにかくハマっているブレンダン・フレイザー
そして役自体にフレイザーがハマっている。かつて一世を風靡した「ハムナプトラ」シリーズの時とは違い、すっかり巨漢となった身体で葬儀の弔問客や結婚式の花婿、中学受験のために母子家庭の父親役も務めるレンタル家族業に足を踏み入れたフィリップの戸惑いを表現する。
日本ならではの摩訶不思議な事情に困惑し、人を騙していることに良心の呵責を感じて身を縮めるようにしていた彼が、たとえ偽者であっても他人の人生の一部に関わり、相手に心底寄り添っていく。仕事の意義を感じていくにつれ、居心地の悪そうだった大きな体躯が伸び、頼もしく見える。フレイザーのチャーミングな表情が温もりを感じさせてくれる。
平岳大、山本真理ら実力派の日本人俳優も集結
オスカー俳優のすばらしい演技力を得たHIKARI監督のもとに集結した日本人俳優たちも粒ぞろいだ。特に注目したいのが、フィリップが働くことになるレンタルファミリー社のメンバー。社長を演じる平岳大は、Netflixドラマ「Giri / Haji」で英国アカデミー賞テレビ部門の主演男優賞にノミネート、「SHOGUN 将軍」ではエミー賞助演男優賞にノミネートされている。気弱なフィリップを叱咤激励するスタッフの愛子役を演じた山本真理もまた、俳優としてApple TV+の「Pachinko パチンコ」などで活躍するほか、「TOKYO VICE」では脚本家として参加し、シーズン2からはプロデューサーも務めている。
世界を舞台にその才能が高く認められている日本人俳優たちの力も加わった、日本を舞台にしたハートウォーミングな『レンタル・ファミリー』。HIKARI監督は昨年のトロント国際映画祭のトリビュートアワードで、映画製作において優れた功績を称える「TIFFエマージング・タレント・アワード」を受賞した。今後ますます存在感を増していくに違いない日本人監督から目が離せそうにない。
文/前田かおり
