サーチライト最新作『レンタル・ファミリー』のHIKARI監督に注目。長編2作目にしてオスカー俳優ブレンダン・フレイザーと組んだ俊英に迫る

コラム

サーチライト最新作『レンタル・ファミリー』のHIKARI監督に注目。長編2作目にしてオスカー俳優ブレンダン・フレイザーと組んだ俊英に迫る

日本を舞台にしたハリウッド映画『レンタル・ファミリー』(公開中)が国内外で大きな注目を集めている。同作はCMの仕事で東京に来たものの、いつしか自分を見失い落ちぶれてしまったアメリカ人俳優が、家族の代役を演じる“レンタル家族”の仕事と出会ったことから人生を見つめ直していく物語。オスカー俳優のブレンダン・フレイザーが主演を務め、昨年11月に北米で公開されると、初登場で興行収入トップ5入りを記録、映画批評サイトRotten Tomatoesでは観客スコア96%(2026年3月7日時点)を獲得している。世界中の映画祭でも上映された本作を手掛けたHIKARI監督はいまや、時の人となっている。

自分を見失ったアメリカ人俳優が家族の代役を演じる“レンタル家族”の仕事と出会う
自分を見失ったアメリカ人俳優が家族の代役を演じる“レンタル家族”の仕事と出会う[c]2025 Searchlight Pictures. All Rights Reserved.

デビュー作『37セカンズ』に続いて「TOKYO VICE」「BEEF/ビーフ ~逆上~」に参加

アメリカを拠点に活躍する日本人監督のHIKARIは大阪で生まれ育ち、高校在学中にアメリカのユタ州に留学、南カリフォルニア大学(USC)大学院で映画・テレビ制作を学んだ。2019年、脳性麻痺を抱える少女が自分の力で人生を切り拓こうとする姿を描いた『37セカンズ』で長編デビュー。同作はベルリン国際映画祭パノラマ部門で観客賞、国際アートシネマ連盟賞のW受賞の快挙を果たし、最優秀新人監督賞にもノミネートされる。

『37セカンズ』で長編デビューし、「TOKYO VICE」や「BEEF/ビーフ ~逆上~」にも参加したHIKARI監督
『37セカンズ』で長編デビューし、「TOKYO VICE」や「BEEF/ビーフ ~逆上~」にも参加したHIKARI監督[c]2025 Searchlight Pictures. All Rights Reserved.

新進気鋭の監督ながら、一気にハリウッドからのオファーが。アンセル・エルゴートと渡辺謙が共演し、マイケル・マンがエグゼクティブ・プロデューサーを務めたHBO Maxのドラマ「TOKYO VICE」で2エピソードを監督。次いで、A24が製作したNetflixドラマ「BEEF/ビーフ ~逆上~」でもパイロット版監督として参加している。同シリーズはアジア系アメリカ人が溜め込んできた怒りを、ユーモアを交えつつもリアルに描写し、見事エミー賞に輝いている。

自身の留学体験を投影した『レンタル・ファミリー』

そんなHIKARI監督の長編2作目となる『レンタル・ファミリー』は、かつて自身が10代で留学した際の経験から、外国で暮らすアメリカ人俳優の物語を描いている。いわく、「東京で暮らす外国人なら誰でも感じる“漂流感”――国や文化に真につながれない、圧倒されるような感覚――を反映させたかった」とのこと。

フィリップをレンタル・ファミリー社にスカウトした社長の多田
フィリップをレンタル・ファミリー社にスカウトした社長の多田[c]2025 Searchlight Pictures. All Rights Reserved.

そのキャラクターを体現する主人公フィリップを演じているのが、『ザ・ホエール』(22)でアカデミー賞主演男優賞を受賞したフレイザー。オスカー俳優となった彼が80本も殺到したオファーのなかから本作を選んだという。これはHIKARI監督の強運、いやいや才能のなせるワザ、かつ彼女の魅力なのだろう。

柄本明が演じる世間から忘れられつつあるかつての名優、長谷川喜久雄
柄本明が演じる世間から忘れられつつあるかつての名優、長谷川喜久雄[c]2025 Searchlight Pictures. All Rights Reserved.


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