柄本明が語る『レンタル・ファミリー』で結んだブレンダン・フレイザーとの絆「緊張感を持ちながらも探求し、楽しむことができた」

柄本明が語る『レンタル・ファミリー』で結んだブレンダン・フレイザーとの絆「緊張感を持ちながらも探求し、楽しむことができた」

「ブレンダンさんは人間として“大きい”方で、とてもまじめ」

柄本明が登場するシーンの多くで、彼の横にいるのがフィリップ役のブレンダン・フレイザー。『ザ・ホエール』(22)でアカデミー賞主演男優賞を受賞した彼は、共演の柄本明を「イアン・マッケランのよう」と讃えていたが(フレイザーとマッケランは『ゴッド・アンド・モンスター』で共演)、柄本から見てオスカー俳優の彼はどんな印象だったのか。

フィリップはかつてのスターを取材する記者を装い、喜久雄の傍らに立つことに
フィリップはかつてのスターを取材する記者を装い、喜久雄の傍らに立つことに[c]2026 Searchlight Pictures. All Rights Reserved.

「ブレンダンさんは見かけも大きいですが、人間としても“大きい”方で、とてもまじめ。地に足がついた感じで、決して偉そうな態度はとらず、誰とでもフランクに接していました。声質も柔らかいので、一緒に演じていてとても気持ちが良かったです。ベタな言い方ですが、芝居がうまいんですよ」。

喜久雄とフィリップのエピソードは熊本、天草でも撮影され、「シリアスな部分でしたし、(日が暮れるまでの)時間どおりに終わらせるため、僕だけじゃなくキャスト、スタッフ全員、大変だった」と柄本が語るように、ふたりの名優によるエモーショナルなシーンは本作の見どころになっている。

柄本にとって、これほど多くの英語セリフをこなすのはキャリア初の挑戦だった
柄本にとって、これほど多くの英語セリフをこなすのはキャリア初の挑戦だった[c]2026 Searchlight Pictures. All Rights Reserved.

このように母国語が異なる共演者とも、普段の現場と同じように信頼の絆で結ばれたことがうかがえるが、一方で“ハリウッド映画”の撮影現場ということで、普段とは違う環境を体験できたのも、これまた事実のようだ。

「まず現場の人数が圧倒的に多いですし、当然ながら英語が飛び交っているわけです。そうした状況に自分が身を置いて、どのような演技ができるのか。日本では映画でもテレビでも、だいたいどのような段取りになるのか理解できます。今回は慣れていない環境で、しかも英語のセリフで、緊張感を持ちながらも探求し、楽しめたんじゃないでしょうか」。

「俳優としての野心や欲望には“戸を立てられない”」

新たな現場、これまでにないチャレンジを経験したことで、俳優としての野心も高まったのではないか。そんな問いに、柄本明は穏やかな表情で答える。

「野心はあります。今回の『レンタル・ファミリー』に限らず、俳優としての野心や欲望には、残念ながら“戸を立てられない”ですから。年齢は関係ありませんね。HIKARI監督の作品にもまた出たいと思いますが、僕が望んでいるだけで向こうはどう考えているか…(笑)。あらゆるオファーに対し、平等に『ありがたい』と受け入れる。そういうスタンスでこの仕事を続けられることが、いちばんの野心かもしれません」。

フィリップと喜久雄がたどり着く、嘘を超えた絆とは?
フィリップと喜久雄がたどり着く、嘘を超えた絆とは?[c]2026 Searchlight Pictures. All Rights Reserved.

最後に、この『レンタル・ファミリー』の物語をどうアピールするかを聞いてみた。

「映画は楽しいもの、愛らしいものであるべき。その意味で、HIKARI監督とブレンダンによって愛しい作品になっていると思います。この世の中では人それぞれ、なにかしらの寂しさを感じながら生きているわけで、共感を呼ぶ映画だと実感します。観ている人が温かい気持ちになってほしいですね」。

柄本明の希望どおり、一本の映画が日本全体を“温かく”包んでほしい。そして、その温かさを誰かと共有したくなる。それこそが『レンタル・ファミリー』の魅力だ。


取材・文/斉藤博昭

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