庵野秀明「感無量です」エヴァ30周年フェスが開幕!宮村優子の“トラウマ”告白に「あそこは鶴巻さん」
「エヴァンゲリオン」シリーズ初となる30周年フェスイベント「EVANGELION:30+; 30th ANNIVERSARY OF EVANGELION」が2月21日、神奈川・横浜アリーナにて開幕。開幕を告げるオープニングステージ「OPENING of 30th ANNIVERSARY」に歴代ボイスキャストや高橋洋子、庵野秀明などオールラインナップが集結し、会場を沸かせた。
1995年にテレビシリーズの放送が始まり、社会現象を巻き起こした「新世紀エヴァンゲリオン」。2007年からは「ヱヴァンゲリヲン新劇場版」シリーズとして再始動し、『:序』『:破』『:Q』の3作が公開されて大ヒットを記録。2021年に公開した完結編『シン・エヴァンゲリオン劇場版』はシリーズ初の興行収入100億円を突破し、大きな話題を集めた。シリーズ30周年の節目となる2025年10月からは期間限定での映画館リバイバル上映「月1エヴァ」企画も始動し、各作品が軒並み週末観客動員ランキングTOP10入りを果たすなど、いまなお本シリーズは多くのファンに愛され続けている。
本イベントは、シリーズ30周年を飾るアニバーサリー企画の集大成となる一大フェス。スタジオカラー所属クリエイターの総合演出によって、横浜アリーナを展示周遊エリア「EVA EXTRA 30」と多彩なステージプログラムを公演する「STAGE AREA」にセパレート。エヴァの“これまで”と“これから”を体現した、スペシャルな企画が目白押しとなっている。場内には、周年記念グッズを中心としたSTOREやファンズマーケットもお目見えした。
オープニングステージの幕開けは、「新世紀エヴァンゲリオンオープニング」映像に乗せた、高橋による「残酷な天使のテーゼ」の生歌唱。エヴァンゲリオン初号機をイメージしたカラーのドレスに身を包んだ高橋の伸びやかな歌声に、観客は作中に登場する十字型の光をイメージした色とりどりのペンライトを振って応援するなど、冒頭から大盛り上がり。涙する観客も見受けられた。
続いて碇シンジ役の緒方恵美、綾波レイ役の林原めぐみ、アスカ・ラングレー役の宮村優子をはじめ、坂本真綾(真希波・マリ・イラストリアス役)、三石琴乃(葛城ミサト役)、山口由里子(赤木リツコ役)、石田彰(渚カヲル役)、立木文彦(碇ゲンドウ役)、岩永哲哉(相田ケンスケ役)、岩男潤子(洞木ヒカリ/鈴原ヒカリ役)、長沢美樹(伊吹マヤ役)、優希比呂(日向マコト役)、山寺宏一(加持リョウジ役)といった、シリーズの歴史を体現する豪華ボイスキャスト陣がズラリと登壇。最後にはシリーズ生みの親である庵野秀明を迎え、まさに30周年アニバーサリー企画の集大成にふさわしい圧巻の光景となった。
熱気に満ちた会場を見渡し、緒方は「30年前にテレビ東京さんの夕方の時間帯で観てくださった方から、新しくファンになってくださった若い方まで、いろいろな方々と一緒に30周年のお祝いできるということが、本当に幸せです」と挨拶。林原も「この規模の大きさ、3日間連続というイベントの大きさからも、『エヴァンゲリオン』が歴史に残してきた成果、想いも含めて、どれだけ大きなものなのかと感じています」と感無量の面持ちを見せ、「関われている我々も幸せ。なかなかアフレコでも会えないメンバーが、一堂にそろった」とうれしそうに話した。「こんちゃす!」と笑顔を弾けさせた宮村は、「皆さんが、期待してワクワクしているのが伝わってくる」と自身も胸を躍らせていた。
また三石が「これから3日間、エヴァフェスでサービスサービスぅ!」とミサトの決め台詞で会場を沸かせると、立木も「まごころを、君に」と渋い声を放ち、「声優というのはどんな作品と出会うか、どんなキャラクターと出会うかがすべてと言っても過言ではない。僕は『エヴァンゲリオン』という作品、加持リョウジが大好き」という山寺も、「真実はみんなと共にある」と加持を思わせるセリフをお見舞い。初収録の時の記憶や一番印象に残った収録回を振り返った石田が、「僕が登場したころは、『エヴァンゲリオン』の世界が完成しているわけです。そのなかで1話だけ入るということで、どういう顔をしていればいいのかと思っていました」と胸の内を明かすと、緒方が「笑えばいいと思うよ」とシンジの名セリフで切り返すひと幕もあり、登壇者のサービス精神旺盛なコメントや、息ぴったりのやり取りに会場は終始、大興奮だった。
そんななか「エヴァの総監督をやっている庵野です」と庵野が切り出すと、掛け声や割れんばかりの拍手が上がり、庵野は「ありがとう」とにっこり。鳴り止まぬ掛け声を耳にして「先に進んでいいですか?」と目尻を下げて会場の笑いを誘った庵野は、「30年前に作ったテレビシリーズが、こういった大掛かりなイベントになるまでの作品になっていること。感無量です」としみじみ。「本当に皆さんのおかげだと思っています。この場に清川元夢さんがいないことだけが、残念です」と冬月コウゾウを演じ、2022年に亡くなった清川さんを偲んでいた。
それぞれが「エヴァンゲリオン」への愛情と思い出をあふれさせた、この日のステージ。林原は「個人的に困ったなと思ったことがある」という。「もともと私は、とても肉が好きなんです。でもレイとして『肉、嫌いだから』というセリフを言うんですね。レイちゃんを大好きな人から、『あなたは綾波レイじゃない』と言われたのがショックでした。いい思い出です」と熱烈なファンを生んだキャラクターならではのエピソードを披露。坂本は「真希波・マリ・イラストリアスが登場したのは、2009年。この30年のうちの半分ちょっとの歴史に参加させていただいている。記念すべき日にお呼びいただきありがたい」と喜びをにじませ、「30年前、私は高校生だった。そのころの友だち、みんながエヴァを観ていた。友だちが『次の劇場版はいつだろう』『どうなるんだろう』と話していても、(出演が決まったことを)私は言えなくて。発表になった時に『お前、出んのかよ』と言われたことが記憶に残っています」と語る。
岩永は「第3村からやってまいりました。大変でした」とキャラになりきって会場を笑わせ、岩男は「ファンの方の言葉で印象に残っているのは、『ヒカリちゃんが幸せになってよかった』と言われたこと。本当にたくさんの方から、その言葉をいただきました」と温かな声を響かせた。「今日は、大好きな安野モヨコ先生デザインのお着物で来た」と意気込みを吐露した長沢は、「『:破』から『:Q』でいきなり15年飛んだ時に、『マヤに一体なにがあったんでしょうか』と監督に伺った。『何があったんだろうね』とニコニコとしたお返事をいただいた」と裏話を口にしつつ、「先輩が大好き」(長沢)、「ありがとうマヤ」(山口)と、劇中さながらの掛け合いも。優希は、「最終決戦前に、青葉とバンダナを巻き合うシーンがある。セリフがなくとも、関係性が伝わってきた。熱い想いになった」と好きなシーンについて、熱っぽく語っていた。
本シリーズが、大きな転機になったと語ったメンバーもいた。立木が「それまでは、声優としてはエキセントリックな役が多かったので、ギャップがあった」と語ると、山口は「『エヴァ』が初めての声優のお仕事でした。スタジオに入ったのも、マイクの前でしゃべったのも、リツコの『あきれた。また迷ったのね』というセリフが初めて」と回顧。「皆様、ベテランの方ばかりで。とにかく緊張していました。練習したから『行ける!』と思ったんですが、全然(画と声が)合わなくて。いまだにテレビシリーズを観返せない。観ようとすると怖くて、自分のところを観られない。昨日も観ようとしたけれど、まだ無理だった」と苦笑いで告白した。
「観返せない」という言葉に同調したのが、宮村だ。「怖くてずっと観返せないトラウマがある」と切り出した宮村は、「アスカが頑張っていっぱい使徒を倒したのに、槍がグサッと飛んできて。あんなにひどいこと、人間が考える所業じゃないよなと思っていました」と『新世紀エヴァンゲリオン劇場版 Air/まごころを、君に』の衝撃シーンをあげながら率直な想いをぶつけると、庵野は「あそこは、鶴巻(和哉)さんです」と応じて会場を笑わせた。続けて宮村は、「いまでもトラウマですが、『あのシーン、すごいです。大好きです』という方がたくさんいらっしゃる」とファンの反響を紹介していた。
名セリフを交えながら貴重なトークが繰り広げられるなど、改めて本シリーズにおける“セリフの魅力”も伝わってきたが、山寺は「加持はいいセリフが多く、歩く名言」とご満悦の表情を浮かべ、「成人式や卒業メッセージなど送ることもあるんですが、全部、加持のセリフをパクっていますから!『君にしかできない』とシンジの背中を押したりするシーンも、大好き。シンジやアスカもマリもみんな叫んで大変だけれど、加持は1回も叫びませんから。それなのに名言が多い」とノリノリに話して会場も大笑い。緒方は「声優として生きていて、みんなが知っているセリフを持つことができるというのは、本当に幸せなこと。どんなに顔をしかめた感じの会議になっても、『逃げちゃダメだ』『笑えばいいと思うよ』と言うとみんなが笑ってくれるんです。ありがたい」とお礼を述べ、「『エヴァンゲリオン』は、全ページがシンジのアルバムみたいなもの。全部がもう一つの14歳の記憶みたいなもの」と特別な思い入れを明かしていた。
庵野は「その時、その時が、精一杯でした」と制作当時は、とにかく「必死だった」という。「今日イベントで上映する短編も、朝の6時までやっていました。今日は寝ていないんですよ。おもしろいものになっていますので、ぜひお楽しみください。スタッフがギリギリまで頑張っています」と尽きぬ情熱をのぞかせ、大きな拍手を浴びていた。
