エメラルド・フェネル版『嵐が丘』が、北米の新作ラッシュを制す!文芸ラブストーリーとしては久々のNo. 1スタート

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エメラルド・フェネル版『嵐が丘』が、北米の新作ラッシュを制す!文芸ラブストーリーとしては久々のNo. 1スタート

先週末(2月13日から2月15日まで)の北米興収ランキングは、ワシントン誕生日(プレジデント・デー)を含む連休週末ということもあり、春シーズンの到来に向けた新作ラッシュ。上位3タイトルの顔ぶれが一気に入れ替わり、前週まで1位をキープしていた『HELP/復讐島』(日本公開中)は4位に後退。それでも同作の週末興収は前週比98.2%と、ほぼ変わらない数字を保っている。

【写真を見る】何十回目の映画化?『プロミシング・ヤング・ウーマン』のエメラルド・フェネル監督が名作恋愛小説を独自の解釈で現代によみがえらせる
【写真を見る】何十回目の映画化?『プロミシング・ヤング・ウーマン』のエメラルド・フェネル監督が名作恋愛小説を独自の解釈で現代によみがえらせる[c]Everett Collection/AFLO

そんな週末に、新たにトップの座に立ったのはエメラルド・フェネル監督の最新作『嵐が丘』(2月27日日本公開)。マーゴット・ロビーとジェイコブ・エロルディ共演による同作は、言わずと知れたエミリー・ブロンテの同名小説の再映画化。初映画化から100年以上のあいだでアメリカやイギリスはもちろん、日本や香港、インドやフィリピンなど世界各国で繰り返し映像化されている作品であり、もはや「これが◯度目の映画化」と断言するのも難しいほど。

3862館で封切られ、初日から3日間の興収は3280万ドル。フェネルの過去の監督作と比較しようにも、『プロミシング・ヤング・ウーマン』(20)はコロナ禍の公開であり、『Saltburn』(23)は配信リリースを前提とした劇場公開だったのであまり参考にはならない。今作の制作費は8000万ドルと高めだが、すでに全世界興収は1億ドルを突破。原作の知名度と相まって興行的成功は手堅く、フェネルの監督としての評価をさらに高めることは間違いないだろう。

フェネル監督と主演のマーゴット・ロビーは、『バービー』で共演している
フェネル監督と主演のマーゴット・ロビーは、『バービー』で共演している[c]Everett Collection/AFLO

特に興味深い点は、やはり同作が近年下火になっていたラブストーリージャンルであること。コロナ禍以降でヒットを記録した同ジャンルは『ふたりで終わらせる/IT END WITH US』(24)と『恋するプリテンダー』(23)ぐらいだが、どちらも週末興収ランキングでは首位を取れずじまい。コロナ禍以降に首位に立ったラブストーリーは広く捉えても2〜3本程度で、どれも最終的な興収は伸び悩み気味。文芸ラブストーリーとしては久々(タイプは全然違うが、おそらく2018年の『フィフティ・シェイズ・フリード』以来だろう)の初登場1位を飾った『嵐が丘』が、この流れを変えてくれることに期待したい。

ちなみに批評集積サイト「ロッテン・トマト」によれば、批評家からの好意的評価の割合は59%、観客からのそれは77%と伸び悩み気味。もっとも、歴代の「嵐が丘」映画を振り返れば、1939年のウィリアム・ワイラー版こそ高評価(批評家スコア96%)だが、1992年のピーター・コズミンスキー版(同31%)、2011年のアンドレア・アーノルド版(同69%)と、いずれもいまひとつの評価。元々批評家受けしづらい作品だと目をつむっておくのが賢明かもしれない。

ソニー・ピクチャーズ製アニメ『GOAT』は2位デビュー!
ソニー・ピクチャーズ製アニメ『GOAT』は2位デビュー![c]Everett Collection/AFLO

2位に初登場を果たしたのは、ソニー・ピクチャーズ・アニメーションのファミリー向けアニメ『GOAT』。オープニング興収は2720万ドルなので、8000〜9000万ドル前後の制作費を考えればまずまずだが、オリジナルアニメであることを踏まえれば上々のスタートといえよう。ここ最近は『KPOPガールズ!デーモン・ハンターズ』(Netflixにて配信中)や「スパイダーバース」シリーズで大当たりしている同スタジオ。今作も批評家、観客の双方から好意的な評価が目立っているようだ。

一方、クリス・ヘムズワース主演の『クライム101』(日本公開中)は、週末3日間で興収1425万ドルと、上位2作品からは遅れをとるかたちで3位スタート。こちらも制作費は9000万ドル前後のようだが、北米での興収も海外興収もやや物足りない現状。とはいえ「ロッテン・トマト」によれば、批評家からの好意的評価が88%、観客からの評価は84%と高め。Amazon作品だが現時点ではまだ配信開始日のアナウンスはなく、今後劇場でどこまで健闘できるのか注目しておく必要がありそうだ。


文/久保田 和馬

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