【ネタバレあり】長尾謙杜と北村一輝が明かす『木挽町のあだ討ち』仇討ちシーンの舞台裏「気力と戦いながらやっていた」
「北村さんの年齢であれだけ動けるのはスゴい」(長尾)
――あの殺陣を通して関係を築いていかれたのでしょうか?
北村「うん。そこで話しながら練習して、徐々に距離が縮まっていったけれど、2人とも大阪の人間ですからね。例えば、僕が家族でよく行っているご飯屋さんの話をしたら、『僕も親と行きます』って。そういう話ができたし、もともとの距離が近いから、それだけでも楽だった」
長尾「やっぱり大阪人同士だと、一気に距離が縮まるんですよね」
北村「すぐにキュッてなる。大阪の子はなにをしても大丈夫や!みたいなところがあるからね(笑)」
――殺陣の練習はどれぐらいしたんですか?
北村「けっこうやったんじゃない?」
長尾「けっこうやりました。京都に入ってから、毎日じゃないけど、1か月間ぐらいやっていて。仇討ちのシーンは全体のなかの中盤ぐらいの撮影でしたが、クランクインしてからそのシーンの本番まで、撮影が終わってから練習をしていました」
北村「俺よりだいぶやってるよね。俺は2回ぐらいしか(稽古に)行ってないから(笑)」
――仇討ちのシーンの撮影自体はどれぐらいかかったんですか?
北村「3、4日かけて、菊之助と作兵衛が小屋のなかに雪崩込む前までの一連を撮ったんじゃないかな?」
長尾「本当に、北村さんの年齢であれだけ動けるのはスゴいです。僕がその歳になった時に同じように動けるのか?っていったらちょっと疑問ですから」
北村「いや、何気に僕も歳を重ねているんですよ。だけど、立ち回りとかではない普通の芝居の時に、正名僕蔵さんには椅子が用意されるのに、僕には出ない。『ちょっと待ってください。この人、僕より年下なんですよ』って言って、スタッフがあたふたすることも多い。だから、殺陣もやらされるんです(笑)」
長尾「でも、実年齢より若く見えるし、オシャレでどの作品でもカッコいいから」
北村「いやいや、まあ、いまでも体は動くけど、やりたくはないよね(笑)。もう十分やってきたし、しかも、あの仇討ちのシーンの撮影の時は、肉離れしていたのか身体を全然動かせなくて。一番強い痛み止めを数時間おきに飲みながら『あっ、もう無理だ!こんなに楽しい役なのに降板しなきゃダメかな?』と気力と戦いながらやっていたから、撮り終わった時は我ながら『よくやりきったな』と思ったよ。ああ、それに思い出した!あの一連は雪に見立てた発泡スチロールみたいなものが地面に敷き詰められていて。動くと、口の中に入ってくるんですよ」
長尾「入ってきましたね…」
北村「だから、スタッフさんはみんなマスクをしているんだけど、それでも咳込むぐらい演じる側にとっては大変で。でも、そんなの気にしていられないじゃないですか?だから全力で這い回ったんだけど、途中で白いものが着物や顔についているのを見て雪があんな塊でついているのはおかしいから、“ああ、もうワンテイクいくんだろうな”と思って。で、次もまた吸い込んでしまうという。永遠にその繰り返しが続いて大変だった」
――全然そんなふうには見えないほどの完成具合でしたけど、そんなに大変な状態だったんですね。
北村「いや、『なにをやらせるんだ?』というぐらい大変でした。殺陣師の清家さんに『今回はすぐに終わる?』って聞いたらニヤニヤしていて。殺陣師という人種は台本では2、3行の殺陣のシーンを(両腕を広げて)このぐらいの長さに作り上げてしまうから、正直“そんなにやらなくても…”って思うんだけど、長尾くんはパッパッパッて簡単にこなしちゃうから、“おいおいおい!”みたいな(笑)」
長尾「いやいや、そんなパッパッパッて感じじゃなかったですよ(笑)。でも、僕も何カットあるのか気になって清家さんの持っている(カット割りの)紙を覗こうとしたんですけど、“長い!”って思われるのがイヤなのか、見せてくれなかった(笑)」
北村「とはいえ、おもしろかったけどね」
長尾「はい、楽しかったです!」
取材・文/イソガイマサト
