化け猫パレードはどうやって撮影?『レンタル・ファミリー』制作者と地域の信頼のもと生まれた、“神楽坂ロケ”秘話を徹底鼎談!
「ブレンダンは再現度に対して、心から感謝の意を表してくれていました」(小泉)
――撮影が行われたのは2024年3月24日の日曜日ですが、この日に決まった経緯というのは?
小泉「単純に撮影スケジュール的な諸事情を鑑みつつ、神楽坂の商店街を歩行者天国にできる週末のどこかでと絞っていった結果、『3月24日は晴れる!』と信じて(笑)、その日に定めました。その後も天草ロケが控えていたり、ブレンダンのスケジュールもありましたけど、それこそ日にちを決めないとエキストラさんを集めることもできないんですよね」
おかめ家「当日のカメラがまわっている間は曇っていたんですけど、カットが掛かった瞬間に雨が落ちてきて(笑)」
小泉「そうなんですよ!それもちょっとした奇跡だったんですけど、結果的に『化け猫〜』のロケを撮影期間の前半に撮ることができて、制作としても良かったと感じていて。すごく一体感がある撮影でしたから…」
おかめ家「撮影クルーがレールを敷いたり準備しているのを見て、『化け猫〜』チームのエキストラ陣も大興奮していました。『ホントにハリウッド映画だったね!』って(笑)」
小泉「ただ、本番前に何回もテストをするじゃないですか。しかも本番もリテイクすることがありますし。みなさん、すごく積極的にご協力していただいたんですけど、だんだん口数が少なくなっていかれて…」
おかめ家「『次で最後だよ〜』なんて言って、がんばってもらいました!商店街の人たちも当日を楽しみにしていて、みなさん見に来てくださって。撮影の本番中に『おかめ家さ〜ん!』なんて呼ばれちゃった時もあって、『(いま、撮影中なんです〜)』ってジェスチャーで伝えるっていう(笑)。でも、みなさんが終始好意的にお力添えしてくださって、それがうれしかったですね。あと、神楽坂へたまたま観光に来たり遊びに来た人が、『あれっ、“化け猫〜”って3月だっけ?』と言っていたのも印象深かったです」
――フレイザーさんと美亜役のシャノンさんは、どんな様子でしたか?
小泉「ブレンダンは、本当にお祭りをやっているところでロケをしたかと思えるくらいの再現度に対して、心から感謝の意を表してくれていました。街ぐるみの手作り感あるあたたかさというのが、アメリカ映画らしからぬ雰囲気だったことと、映画としても良い画が撮れたので、それをすごく喜んでいて。シャノンは…撮影した2年前はまだ9歳だったので、現場の熱気と雰囲気に興奮していましたね」
おかめ家「撮影日はエキストラ陣にカイロを配ったり、『○○がない!』『いま持ってく〜』みたいにてんやわんやだったので、直接ブレンダンさんとはお話できなかったんですけど、後日ちょっとだけお会いすることができて。その時もすごくうれしそうに感謝の気持ちを伝えてくださったんです。すごく紳士的で気さくに話してくださいましたし、アカデミー賞主演俳優とは思えないくらい、良い意味で普通でいらっしゃったのがすてきだなと思いました」
小泉「余談ですけど、ブレンダンは電車が大好きで、日本に滞在中はいろいろな路線に乗っていましたね。九州から帰ってくる時も新幹線に乗りたいと話していて(笑)。さすがにこの日は飛行機で戻りましたけど、山梨でのロケからの帰りは電車(中央本線)で帰ってきていましたよ」
――遠藤さんは、いかがでしたか?
遠藤「僕は今回ブレンダンさんとは関わりがなくて、神楽坂ロケに立ち会った際、お姿を拝見しただけでした。そもそも東京ロケーションボックスは事前に調整を行って、撮影が成立したら現場でトラブルが起こらないように目配せするのが役割ですので(笑)。フィルムコミッションとは各所との交渉や相談を進めていくのが仕事で、東京都のロケ相談窓口として撮影現場で失敗するわけにはいかないんですね。でも、ロケの日って細々としたトラブルや軋轢があったりするので、それを回避することに神経をつかっているんです。ただ、クリエイターの方々って現場でアイデアが閃いたりするじゃないですか。急きょ撮影内容を変えたいという話になるんですけど、我々の立場的には事前に聞いていないことをやられちゃうのは、本音を言うと困ってしまうんですよね。事前に所轄の牛込署とやりとりをして撮影許可をもらっているわけですから、それを反故にすると信用問題に関わってきてしまう。そういうことが起こると神楽坂でロケができなくなってしまう可能性もあるので、監督しに行くわけです。もちろん、思いついたアイデアすべてにNGを出すわけでもなくて、その場で問題になりそうにないことや後々のクレーム対象にならないことであれば、許容範囲として認めることもあります。ただどうしてもできない場合もあるので、準備段階ではどういう約束事を交わして、現場でそれが遂行されているかをチェックするという感じです。ちなみに今回の神楽坂ロケでは、そういうトラブルはありませんでした」
小泉「実際にロケをしてみて感じたんですけど、神楽坂だったからこそ、あれだけの人数と規模感でもまとまることができたんだな、と。それと東京ロケーションボックスさんが間に入ってくださるようになって、以前は撮影が難しかった地でもロケができるようになったと感じていて。例えば、新宿でのロケってかつては難しかったんですけど、できるようになってきましたし、難しい場合も『こういうふうにしてみたら、どうですか?』と可能性を探ってくださるんです。その積み重ねが、今回の神楽坂ロケに結実した気がしているんですよね。
スタッフのなかには『こんな大規模なロケを、人がたくさん歩いている日曜の神楽坂で本当にできるのか?』と不安視する人がいましたし、私も正直、確かにリスクはあると思っていたんですけど、そこに関してはおかめ家さんの存在が大きかったと思っていて。ゆうこさんたち『化け猫〜』を主催する皆さんが一緒につくってくださって、助けていただいたなと実感しているんです。でも、もし実際の祭り期間にロケしていたら、こんなにうまくいかなかったかもしれないですよね?」
おかめ家「そうですね、やっぱり人出そのものがもっと多くなりますし、仮装行列の撮り直し(リテイク)もできなかったですから…やっぱり別個にロケができて良かったなと私も思います」
小泉「ちなみに、当日はスタッフが映り込んでもいいように、猫の耳を着けたりしていたんですよ(笑)」
おかめ家「かわいかったですよね、耳だけじゃなくてヒゲも描いたりして(笑)」
遠藤「雨はパラついたけど、本降りにならずにギリギリ持ちこたえて」
小泉「HIKARIさんが晴れ女でもあるんですよ。『大丈夫、私の現場は降らないから〜』って冗談まじりでおっしゃっていたんですけど、本当に天気がもつんですよね〜(笑)」

