化け猫パレードはどうやって撮影?『レンタル・ファミリー』制作者と地域の信頼のもと生まれた、“神楽坂ロケ”秘話を徹底鼎談!
「映画業界では『東京はロケがしづらい』と言われているんですけど、そういう印象を変えていきたいという想いがある」(遠藤)
――実際の『化け猫フェスティバル』とロケ用、映画仕様で特別に設えたものに違いがあったりもしたのでしょうか?
おかめ家「毘沙門天内の縁日のセットは実際とは少し違っていましたけど、『化け猫〜』の備品を使ってもらっているので、ほぼほぼ実際のお祭りとは変わっていないです。ただ、スティーブンが観に来てくださったのが結構前だったようで、いまはもう使っていないものが写真に映っていたんですね。それは美術監督の磯田(典宏)さんが写真からデザインを起こして再現してくださって」
小泉「そこはスティーブンのこだわりですね。『どうしても、この備品がいいんだ』って」
おかめ家「なので、2024年は『化け猫〜』を2回開催した感覚があるんですよ(笑)あと、1つ誤算だったのは、この年は桜の開花が早くて…」
小泉「そうでした、映り込まないようにするのが大変で。あと思い出したんですけど、神楽坂の阿波踊り(『神楽坂かぐら連』)の方々もエキストラで来てくださって。スタッフの1人がかつて阿波踊りの団体に入っていたらしくて、そのつながりで来ていただいたと聞きました」
遠藤「実を言うと、僕も今回こうして関わるまで『化け猫〜』のことは恥ずかしながら知らなかったんです。でも、『レンタル・ファミリー』という映画の重要なシーンとしてフォーカスされることで注目を集めるんじゃないかと思いますし、そもそもディズニー配給の映画で、アカデミー賞俳優のブレンダン・フレイザー主演の作品がオール日本ロケで撮影されていること自体が、結構異例だったりするんですよね」
小泉「そうなんですよね、このオール日本ロケはHIKARI監督ならではだと思います。大阪で生まれ育って、思春期でアメリカへ移住されているからこその2つの視点が全編に投影されていて」
遠藤「映画における画づくり的にも、東京の見せ方もいわゆる邦画とは違う切り撮り方をしているように感じていて」
――都電荒川線の撮り方もおもしろかったですし、すみだリバーウォークの見せ方も新鮮でした。
小泉「東京再発見的な見方もできるんですよね。そこもおもしろくて」
遠藤「海外の文化的素養のある日本人監督が東京を撮ると、こういう画角でこういうショットになるんだというおもしろさもありますし、フィリップの住んでいる団地の撮り方も日本的じゃなくて」
小泉「近所の描き方が日本的じゃないんですよね。窓から見える向かいの建物に住む、様々な家族をフィリップの視点で見せていくのは、まさしくHIKARI監督ならではだと思いました」
遠藤「東京という題材がこういうあたたかく優しく撮れるのだなというのが、僕には新鮮でしたね」
――今回、東京ロケーションボックスさんが関わられたのは神楽坂ロケのほかですと、どのシーンになりますか?
遠藤「それこそ都電荒川線沿線の撮影だったり、愛子(山本真理)のマンションでの撮影にも立ち会いました」
小泉「わりと大がかりな撮影の時に、東京ロケーションボックスさんがいらっしゃる印象です」
遠藤「基本的に行政だとか自治体といったところが絡む時に、東京都のロケ相談窓口として我々が顔を出すと、わりとスムーズに話が運びますので。基本的に映画業界では『東京はロケがしづらい』と言われているんですけど、そういう印象を変えていきたいという想いがあるんです。少しずつでも東京で映画やドラマのロケがしやすいように働きかけているわけですが、そもそもは『ブラック・レイン』が東京で撮れなくて大阪ロケになったことに端を発していて。国内外から『東京では撮れないし、許可が下りても撮りづらい』みたいに言われてきたので、その評価を変えたいと言うとおこがましいですが、少しでも実績を積み上げていければ、と。その関連でイベントを開催するんですが、おかめ家さんたちのご協力をいただいて、2月22日と23日の2日間、歌舞伎町のド真ん中で『化け猫〜』をやったんですよ」
おかめ家「私たちとしても、こうしたイベントに呼んでいただけるのは、すごくありがたいんです。それこそスティーブンが知っていたみたいに、国内よりも海外の方が知っていてくださることが多くて、この『レンタル・ファミリー』のポスター(キービジュアル)に『化け猫〜』のシーンが採用されたのをきっかけに、結構全国から『ポスター見ました』と連絡をいただいていて。
もともと最初は10数人ぐらいでパレードしたところから賑やかし的に始まったんですけど、年々増えていっていまでは1000人を超える人が仮装して来てくださるようになって。それを見物に来る人が1万人ぐらいなんですけど、映画というずっと記録として残る文化作品に、『化け猫フェスティバル』をモチーフにしていただいただけでも、幸せだなと感じています」
取材・文/平田真人

