中村雅俊「変わらなさにホッとする」映画『五十年目の俺たちの旅』までの道のりで再確認した「俺たちの旅」をやる意味とは

中村雅俊「変わらなさにホッとする」映画『五十年目の俺たちの旅』までの道のりで再確認した「俺たちの旅」をやる意味とは

「50年経ってもカースケはカースケ、みたいなところにすごくホッとして(笑)」

70代になってもカースケ、グズ六、オメダの精神は変わらないと目を細めた
70代になってもカースケ、グズ六、オメダの精神は変わらないと目を細めた撮影/木村篤史 ヘアメイク/鈴木佐知 スタイリスト/奥田ひろ子

ロケ地であり聖地でもある吉祥寺。中村、秋野、田中はイルミネーション点灯式にも参加した。シリーズの撮影を通して感じた吉祥寺の魅力や変化について訊いてみた。「石橋正次さんが演じていたヤクザから足を洗ったはずの金井玉三郎が死ぬシーンがあって。吉祥寺の中心にあった空き地をビルの屋上から撮ったんです。もうその空き地はなくなっていたし、都会然としていて変わった印象もありつつ、井の頭公園はまったく変わらない。そのギャップが吉祥寺という土地のよさかなと。サンロードもきっと細かくは変わっているのだろうけれど、入り口に立てば3人で肩車!みたいな気分になって思い出にふけったりして。『住みたい街ランキング』にも入るような場所だし、自然も公園も動物園もあるし。渋谷へのアクセスもよくて、いいところだなとつくづく思いながら見渡しました」と、懐かしい思い出が蘇ったようだ。

オメダの妹、真弓役の岡田奈々も登場
オメダの妹、真弓役の岡田奈々も登場[c]「五十年目の俺たちの旅」製作委員会

70代になったカースケ、オメダ、グズ六が人生の終盤をどのように輝かせようとするのかというのが本作のテーマだ。中村自身は3人のいま、3人の決断をどのように感じたのだろうか。「3人の精神は変わらない。大学に入ったらちゃんと就職して、何年かしたら恋愛して結婚みたいな時代だったけれど、カースケたち3人ときたら、その常識とは真逆の非常識を正しいと思い込んでいるというか。反骨まではいかないけれど、我が道を行くというのがすごく強くあって。特にカースケはそれが強かった。そういう感じで押し通してきて生きてきたというのは3人とも変わらないという印象です。50年経ってもカースケはカースケ、みたいなところにすごくホッとして(笑)。最後のオメダの感じもいまに始まったことじゃないという結末。常識とかから外れた生き方をしていて、結局はそうだよ、お前はそういうやつだよみたいな感じ。それが『俺たちの旅』をやっている意味のようなところでもあるのかなと」と分析する。

原作・脚本の鎌田は「生きていくことの切なさ」を貫き、描いているとコメント。シリーズを通して中村が感じている切なさ、また本作で特に強く感じた切なさについても訊いてみた。「作品のテーマが『生きることの切なさ』なので、ハッピーエンドではなく、ちょっと後味の悪さが残るみたいなところが『俺たちの旅』の売りであり、よさだと思っています。恋愛してもフラれるとか(笑)。元々落ちこぼれなので、人生の成功者ではない感じをやっていく。うまくいってるようだけど、結局はうまくいかなかったと3人で慰め合うのが『俺たちの旅』を通してやってきたことであり、ずっと変わらないことなのかなと思っています」。


年齢を重ねてはいてもキャストたちの変わらなさにホッとしたと語っていた
年齢を重ねてはいてもキャストたちの変わらなさにホッとしたと語っていた[c]「五十年目の俺たちの旅」製作委員会

過去の映像も盛り込まれ、登場人物たちの人生を振り返ることができる映画になっているが、中村自身も本作を観ること、監督としてメガホンをとることで、自身のこれまでの人生を振り返ることはあったのだろうか。「『俺たちの旅』との出会いで俺自身に決意のようなものが生まれました。この作品の前に、学園ドラマや刑事ドラマもやったりしていますが、どこか素人感覚というか。極端なことを言うと、学生気分が抜け切らないままやっていたところがあって。3月に大学を卒業して4月の番組でデビューして。本当に就職みたいな感じで仕事していたけれど、ちょっと前までは『ふれあい』が売れて騒がれていたころ。その数年前までは貧乏大学生だったんだから(笑)」と笑い飛ばす。学生気分が抜け切らないまま、この世界に足を踏み込んだ中村だったが、『俺たちの旅』のヒットが自身の考え方に変化を与えたと力を込める。
「自分自身の世の中からの認められ方や、自分がやっていることの意味などを考えたのは『俺たちの旅』が成功したころ。ちゃんとやんなきゃいけないという気持ちも生まれたし、役者としても歌手としても頑張っていこうという決意が生まれました。そういう意味では『俺たちの旅』との出会いは、俺の人生のなかではターニングポイントじゃないかなと思っています。ただ、撮影をしている時は、俺の人生がどうこうみたいなことはあまり考えてなかったです(笑)」と正直な気持ちを明かした。

作品情報へ

関連作品