二足のわらじを履くパク・ジョンミン、怪演で魅せるイ・ソンミン&ヨム・ヘラン!韓国ライターが選ぶ2026年期待のパイプレイヤーは?

コラム

二足のわらじを履くパク・ジョンミン、怪演で魅せるイ・ソンミン&ヨム・ヘラン!韓国ライターが選ぶ2026年期待のパイプレイヤーは?

韓国映画やドラマの鑑賞後、記憶に残るのは‟顔がわかるけれど名前を知らないあの俳優”。主役に負けない存在感を放つバイプレイヤーたちの存在が、作品をもっと重厚に、おもしろくする。今年もPRESS KOREAでは韓国コンテンツに造詣が深いライターへアンケートを実施し、作品の完成度を極める“イチ推しバイプレイヤー”を紹介してもらった。怪演が光るベテラン勢から、韓国インディーズ映画界の至宝まで、チェックしてほしい。

出版業でも活躍!メインでもサブでも光るパク・ジョンミン

【写真を見る】『新感線 ファイナル・エクスプレス』のヨン・サンホ監督作『顔(原題:얼굴)に主演したパク・ジョンミン
【写真を見る】『新感線 ファイナル・エクスプレス』のヨン・サンホ監督作『顔(原題:얼굴)に主演したパク・ジョンミン[c]Everett Collection / AFLO

近年、映画の中で気になるキャラクターは、パク・ジョンミンが演じていることが多かった。特に、彼の存在が焼き付いたのは、『密輸1970』(23)のドリという役である。クセモノだらけのこの映画の中にあっても、インパクトの大きいキャラクターであったし、私の中では、主人公を演じたキム・ヘスと同じくらい、パク・ジョンミンの顔が思い出されるのである。その後、彼が『別れる決心』(22)で追い詰められる犯人のホン・サノであったことに気付いてびっくりした。『ハルビン』(24)でも活躍していた。2025年に日本で公開された、セウォル号沈没事故を題材にした映画『君と私』(22)にも出演。ここでも、素なのか演技なのかわからない役でインパクトを残していた。なんでも本作の監督でもあり俳優としても活躍しているチョ・ヒョンチョルとは学生時代からのつきあいで、共に映画を学んでいたのだと言う。しかも、パク・ジョンミンはエッセイも書いており、「疎外されたものたちのスピーカーになりたい」という理由から、出版社も立ち上げ、来日もしていた。こうした芸術活動をしている人が、今後の映画界も盛り上げるのだろう。韓国映画も次のフェーズに入っていくのだなと思えるのだ。

(映画ライター・西森路代)

2025年はパク・ジョンミンの年だったと言っても過言ではない。大半の時間を俳優業以外に費やしたのにもかかわらず。まず俳優としての活躍から言えば、2024年末に韓国で公開された映画『ハルビン』でヒョンビンが演じた主人公の安重根(アン・ジュングン)と共に祖国独立のために命がけで戦う同志として、重みある演技で引き立てた。さらに映画『顔(原題:얼굴)』では、一人二役で視覚障がい者の息子と、父の若かりし日、つまり視覚障がい者も演じ、パク・ジョンミンの映画と言ってもいいほどだった。常に難役に挑戦してきたが、今回もしかり。実はパク・ジョンミンの父親が視覚障がい者で「演じてみてやっと父の気持ちが理解できた」と語っていた。俳優業を一時休んだのは自ら代表として率いる出版社MUZEの仕事に専念するためで、本を読めない父がきっかけでオーディオブックに力を入れた結果、それが大当たり。さらに青龍映画賞の授賞式でMAMAMOOのファサの祝賀ステージにコラボ出演したので人気に火が付き、その勢いで12月開幕の舞台「ライフ・オブ・パイ」の熱演も絶賛を浴びた。とことん魅力の尽きない俳優だ。

(映画ライター・成川彩)

『ハルビン』ではヒョンビン演じるアン・ジュングンの同志を演じたパク・ジョンミン(写真はメイキング)
『ハルビン』ではヒョンビン演じるアン・ジュングンの同志を演じたパク・ジョンミン(写真はメイキング)[c]2024 CJ ENM Co., Ltd., HIVE MEDIA CORP ALL RIGHTS RESERVED

主演でもすばらしい活躍を見せるパク・ジョンミンをバイプレイヤーに数えるべきかは悩ましい…でも2025年は助演で光る作品で目を引くものが多かった。『ハルビン』(24)での力強い同志ウ・ドクスンの渋さも光ったが、個人的に印象深いのは『君と私』(22)での“ストーカー男”。監督を務めたチョ・ヒョンチョルと高校時代からの友人という縁で出演したそうだが、女性の嫌悪感を絶妙に誘う勘違い男の解像度が高く、さすが演技の神だと唸らされた。もちろん本人は知性を持ったナイスガイ。11月に開催された第46回青龍映画賞でファサが「Good Goodbye」を披露した際は、MVに出演したパク・ジョンミンも一緒にパフォーマンス。そのロマンティックなムードは格別で、視聴者をことごとく恋の沼に引きずり込んだのも記憶に新しい(もちろん私も未だに抜け出せていません)。来年は新作『顔』の日本公開も控えている。出版社の社長との二足のわらじを履きながらの活躍、まだまだ期待値は上がり続けている。

(映画ライター・荒井南)

『しあわせな選択』で夫婦役を演じるイ・ソンミン&ヨム・ヘラン

すでに韓国を代表する名バイプレイヤーの二人だけど、北米などでは年末、そして日本では3月に公開になるパク・チャヌク監督の『しあわせな選択』(3月6日公開)では、誰もが彼らの怪演に注目することになるでしょう。チョー・ヨンピルの「赤とんぼ」が流れるなか、イ・ビョンホンとこのカップルが繰り広げる壮絶かつ抱腹絶倒のあのシーンでは、ヴェネチア国際映画祭のプレス・映画業界向け試写中に大拍手が起きていました。

『しあわせな選択』ではイ・ビョンホン演じるマンスの就活のライバルを演じるイ・ソンミン
『しあわせな選択』ではイ・ビョンホン演じるマンスの就活のライバルを演じるイ・ソンミン[c]Everett Collection / AFLO

イ・ソンミンは、『ソウルの春』(23)や『ハンサム・ガイズ』(24)、「財閥家の末息子~Reborn Rich~」と出る作品ごとに「これがベストなんじゃないだろうか?」を更新し続けるカメレオン俳優。彼が出演する作品にハズレなし、まさに“信じて観る俳優”です。Netflixのドラマシリーズ「おつかれさま」の母役も素晴らしかったヨム・ヘランは、キム・ジウン監督の新作『The Hole(英題)』にも「イカゲーム」のチョン・ホヨンやクリスチャン・スレーターと出演。おそらくどこかの映画祭で上映されると思うので、2026年も国際的な注目を集めることになりそう。

(映画ジャーナリスト・平井伊都子)

「おつかれさま」ではヒロインの母を演じて多くの視聴者の涙を誘ったヨム・ヘラン
「おつかれさま」ではヒロインの母を演じて多くの視聴者の涙を誘ったヨム・ヘラン[c]2025 Netflix

2019年のドラマ「椿の花咲く頃」以降、毎年演技賞を受賞し続けているヨム・ヘラン。2025年もNetflixドラマシリーズ「おつかれさま」で百想芸術大賞と青龍シリーズアワードで助演女優賞を受賞。主人公エスンの母である済州島の海女を演じた。どうしようもなく貧しいなか、女手一つで子ども3人を育て、若くして病気で亡くなる役だったが、なんとか子どもを生かそうとする強力な母性はエスンに引き継がれ、ドラマ全体を貫くパワーとなった。パク・チャヌク監督の『しあわせな選択』でもまた個性的なキャラクターで、イ・ソンミンと共に笑いと緊張感を同時に与えてくれた。イ・ソンミンはイ・ビョンホンが演じる主人公マンスの再就職のライバル役として登場し、ヨム・ヘランはその妻役。この3人の運命は奇妙に絡み合って、ハイライトシーンを彩った。2026年は済州島の虐殺事件(済州4.3事件)をモチーフとした映画『私の名前は(原題:내 이름은)』で主人公を演じる。ついに主演賞に輝く年となるかもしれない。

(映画ライター・荒井南)



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