パク・チャヌク監督作『NO OTHER CHOICE』が6冠&『ハルビン』ヒョンビンが主演男優賞受賞!第46回青龍映画賞授賞式をプレイバック
青龍映画賞を盛り上げた2人の俳優パク・ジョンミン&ク・ギョファン
命を削るようにして映画を作り、心を尽くして演技をする。それでも、賞に輝くのは一人だけだ。だからこそ授賞式というものは、時に映画人にとって苦い時間でもある。作品賞のプレゼンターに立ったムン・ソリは、まず夫婦同時受賞となったヒョンビンとソン・イェジンを称え、『顔(原題:얼굴)』で主演男優賞、『ハルビン』で助演男優賞にそれぞれノミネートされていながら無冠に終わったパク・ジョンミンを「それで…パク・ジョンミンさんは…?」と“あえて”壇上で名指しした。
無冠ではあったものの、今回の授賞式を輝かせたのはまさにパク・ジョンミンだった。青龍映画賞恒例の祝賀公演には、今年も「멸종위기사랑(Endangered Love)がヒット中のAKMUでスタートし、BOYNEXTDOORや『NO OTHER CHOICE(英題)』のテーマ曲演奏など盛りだくさんだったが、終盤に登場したファサによる「Good Goodbye」のステージが圧巻だった。
曲のハイライトでは、MVに登場したパク・ジョンミンがファサの相手を務め、サビの振りを一緒に踊ると会場は熱狂。青龍映画賞のMCで、パク・ジョンミンとは『BLEAK NIGHT 番人』(10)からの仲良しであるイ・ジェフンは興奮気味に「ぜひメロを撮って欲しい!」と熱くコメントするも、大照れの本人は「そういうこと言うな…!」とでも言いたげに〝シーッ〟とジェスチャー。しかし、このわずか4分弱の公演に、視聴者はあらゆる物語を見出した。やはりパク・ジョンミンは、短い時間でも、またわずかな視線の交錯の中にでも観客に夢や物語を見せる真の俳優だ。韓国メディアの中には「もはや短編映画」「これは千万映画では…!?」と盛り上がる媒体もあったのも納得がいく。
そしてもう一人、今年映画人としてのユーモアで青龍映画賞を盛り上げたのが、短編映画賞を受賞したキム・ソヨン『ロータリーのハンチョル(原題:로타리의 한철)』へ、プレゼンターとして登壇したク・ギョファンだった。青龍映画祭人気スター賞を2023年、2024年と2年連続受賞の栄誉に輝いているクギョファンは、登場するや否や「青龍映画賞から連絡をもらいとても緊張したんです。3回目の(人気賞)受賞ですか?ご覧のとおり、それは起こりませんでした!」と笑いを取り会場の心を掴むと、現在撮影中の自身の短編映画『もしも私たち』に絡めこう切り出した。あらゆる長編映画の原点である短編映画を愛おしむそのコメントには、映画そのものへの愛が満ち満ちていた。
「私は今日も短編映画を撮っていますが、作品を見た友達がこう尋ねました。『映画がなぜそこで急に終わるの?』と。私は友達に『ここで終わるからこそいいんだよ』と答えました。おそらく皆さんが見ているこの瞬間も、私の短編映画に記録できるかもしれません。Ready…Action!人気賞3回目(笑)、本当にありがとうございます。これからこの人気を忘れずにもっと頑張って演技します。そしてソジョン(短編映画『もしも私たち』のヒロイン名)、愛してます!カット!」。
ヨン・サンホ監督の『顔(原題)』は2億ウォン(約2千万)と低予算映画ながら損益分岐点を越え、主演のチョ・ユヒョンが新人男優賞の候補に挙げられていた独立映画『3670(原題)』も好成績を収めた。それでも韓国映画界は、やはりひと頃に比べると厳しい時代と言われている。“韓国のアカデミー賞”と称される青龍映画賞が、再び韓国映画復権の狼煙をあげる起爆剤となることを願う。

