批評家が選ぶ、2025年ホラー映画ランキング!現象級のヒット作から人気シリーズ復活まで、近年稀に見る当たり年の“フレッシュ”10選
ホラー映画としては異例の高評価で、オスカー戦線に名乗り!?
最も高い評価を獲得したのは、ライアン・クーグラー監督がマイケル・B・ジョーダンとタッグを組んだ『罪人たち』(配信中)の97%フレッシュ。1930年代のアメリカ南部の田舎町を舞台に、一攫千金を夢見る双子の兄弟スモークとスタック(ジョーダンの一人二役)が開いたダンスホールに、“招かれざる者”たちが現れるという物語だ。
4月に公開を迎えるや、過去10年で公開されたオリジナル作品としては最高のオープニング興収を記録。口コミで話題が広がり社会現象級の盛り上がりをみせただけでなく、アカデミー賞の有力候補の一角ともいわれるように。ちなみにこれまでホラージャンルでアカデミー賞の作品賞にノミネートされた作品はわずか数本。その多くがサイコホラー作品であり、本作のような“ヴァンパイアもの”は前例がない。ジャンルの壁を破ることができるのか、年末から本格化する賞レースの動向に注目が集まる。
近年はジェイソン・ブラム率いるブラムハウス・プラダクションズや、インディペンデント系スタジオのA24やNEONがホラージャンルで存在感を発揮してきたのだが、今年はなんといってもワーナー・ブラザースのホラー作品が大旋風。先述の『罪人たち』をはじめ4本がリスト入りを果たし、リスト外でも2010年以降のホラーブームを牽引した「死霊館」シリーズの完結編『死霊館 最後の儀式』もホラー映画歴代3位のオープニング興収を記録している。
93%フレッシュを獲得しているソフィー・サッチャー主演の『コンパニオン』(配信中)は日本では劇場未公開だったが、北米では1月末に公開されスマッシュヒットを記録。春シーズンとサマーシーズンの境目となる5月には、「ファイナル・デスティネーション」シリーズ14年ぶりの新作として公開された『ファイナル・デッドブラッド』(配信中)がシリーズ最大のヒットを記録。92%フレッシュという高評価を獲得したことも相まって、さらなる続編の製作も早々に決定したほど。
そしてサマーシーズンにサプライズヒットを飛ばしたのは、93%フレッシュを獲得しているザック・クレッガー監督の『WEAPONS/ウェポンズ』(日本公開中)だ。ある小さな町で、同じ学校に通う17人の子どもたちが一斉に姿を消す。それを境に町では不可解な事件が多発するという考察系ミステリーで、週末動員ランキングでは3度にわたってNo. 1を獲得。こちらも『罪人たち』と共に賞レースへの参戦が期待されている。
他にも、96%フレッシュという非常に高い評価を得ている『アグリーシスター 可愛いあの娘は醜いわたし』(2026年1月16日日本公開)は、ノルウェーで製作されたゴシック系のボディホラーで、“シンデレラmeetsクローネンバーグ”とも称される一本。90%フレッシュを獲得した『トゥギャザー』(2026年2月6日日本公開)は、あるカップルが見舞われる身体の変異現象を描く、こちらもボディホラー。どちらも年明けに日本公開が控えているので注目しておきたい。
全編が犬の視点から描かれるという異色作『Good Boy』や、『TALK TO ME/トーク・トゥ・ミー』(22)が日本でも好評を博したダニー&マイケル・フィリッポウ兄弟の長編第2作『Bring Her Back』など、まだ日本公開が決まっていない作品の続報からも目が離せない。さまざまなかたちの恐怖で盛り上がりを見せた2025年。2026年にはいったいどんなホラー映画が待っているのか、楽しみが尽きない!
文/久保田 和馬

