柄本明、77歳「喜寿」を東京国際映画祭でお祝い！サーチライト最新作『レンタル・ファミリー』アジアン・プレミアで凱旋

開催中の第38回東京国際映画祭にて11月3日、サーチライト・ピクチャーズ最新作『レンタル・ファミリー』(2026年2月27日公開)のアジアン・プレミアがTOHOシネマズ日比谷で行われ、舞台挨拶にHIKARI監督、木村文、森田望智、篠崎しの、ゴーマンシャノン眞陽、真飛聖、柄本明が出席。この日77歳の誕生日を迎えた柄本の「喜寿」を、観客も一緒になってお祝いした。

『レンタル・ファミリー』(2026年2月27日公開)のアジアン・プレミアが行われた

すべての写真を見る(27件)

東京を舞台に描かれる本作は、『ザ・ホエール』(22)で第95回アカデミー賞主演男優賞を受賞したブレンダン・フレイザーが主演を務め、落ちぶれてしまった中年俳優フィリップを演じる人間ドラマ。東京で暮らすフィリップは、日本での生活に居心地のよさを感じながらも、本来の自分自身を見失いかけていた。そんななか、“レンタル家族”として他人の人生の中で“仮の”役割を演じる仕事に出会い、想像もしなかった人生の一部を体験していく。約2か月に及ぶ撮影期間中、フレイザーは滞在を続け、オール日本ロケが敢行された。

現地時間9月6日に開催された第50回トロント国際映画祭では、主演のフレイザーやHIKARI監督らも参加したワールドプレミア上映が行われ、大きな熱気に包まれた。舞台となった東京で迎えるアジアン・プレミアは、本作にとってまさに凱旋の瞬間。観客の大歓声に迎えられたHIKARI監督は「ここまで本当に長かった！」と切り出しつつ、「撮影から1年以上が経って、編集を頑張って。こうやって東京でアジア初の上映をさせてもらえること、すごく楽しみにしています」と笑顔を弾けさせた。

柄本は、記憶を失い始める日本の名優、喜久雄役を演じた。自らも日本を代表する名優である柄本だが、本作ではこれまでにない量の英語のセリフにトライした。フレイザーとの共演を振り返った柄本は、「ブレンダンさんは大きい人です」と話して会場も大笑い。「でも、“ホエール”くらい大きいわけではありません」と再び笑わせながら、「2人のシーンばかりだったんです。すばらしい俳優さんで、大きい方です。体だけではなく、非常に大きな、奥行きの深いお芝居をされる。一緒にやらせていただいて、光栄に思いました。人柄もすばらしい。演技と人柄となにも変わらず、誰に対しても(すばらしい)。すばらしさに魅了されて、お芝居ができて光栄でした」と感激と喜びをにじませていた。

柄本は、近年も『ある男』(22)や『ロストケア』(23)など、数々の作品で豊かな演技力と唯一無二の存在感を放ち、観る者に強い印象を残す俳優として精力的な活動を続けている。11月3日は、そんな柄本の誕生日当日。ステージでは、HIKARI監督が「実は今日はすばらしい、とてもスペシャルな日です。柄本明さんの77歳のお誕生日です！」と口火を切り、サプライズでお祝いするひと幕があった。

ハッピーバースデーの曲が流れると会場も一緒に歌声を届け、続いて真飛から紫の花束がプレゼントされた。「いろいろと気を遣っていただきまして、ありがとうございます」と照れくさそうにお礼を述べた柄本に、HIKARI監督は「今回の作品で、柄本さんが喜久雄さん役だと思った瞬間から、一言ではいえない、すばらしい、涙ながらの体験をたくさんさせていただきました。本当に勉強になりました。これからも一緒にもっと作品をつくってくれるかな？」と期待しながら、「つくってもらえるように頑張りますので、これからもよろしくお願いします」と宣言。HIKARI監督とハグを交わした柄本は「こちらこそ。本当にどうもありがとうございました」と応え、会場から大きな拍手を浴びていた。

取材・文/成田おり枝

※篠崎しのの「崎」は「たつさき」が正式表記