豆原一成、自分を幸せにしてくれるものは「筋肉!」『富士山と、コーヒーと、しあわせの数式』公開を迎えて感無量

豆原一成、自分を幸せにしてくれるものは「筋肉!」『富士山と、コーヒーと、しあわせの数式』公開を迎えて感無量

映画『富士山と、コーヒーと、しあわせの数式』の公開記念舞台挨拶が10月25日に池袋HUMAXシネマズ シネマで行われ、ダブル主演を務めた豆原一成(JO1)と市毛良枝をはじめ、酒井美紀八木莉可子長塚京三中西健二監督が出席した。

『富士山と、コーヒーと、しあわせの数式』の公開記念舞台挨拶が行われた
『富士山と、コーヒーと、しあわせの数式』の公開記念舞台挨拶が行われた

本作は、女性の活躍が困難だった時代に学校を創立し、教育のために奔走した島田依史子の著作「信用はデパートで売っていない 教え子とともに歩んだ女性の物語」を原案とした、孫と祖母が軽やかに紡ぐ家族の物語。コーヒーにだけはこだわりがあるけれど、就活時期を前にして未来を見出せない大学生の拓磨役を豆原。夫が遺したサプライズによって、愛する人に先立たれた寂しい日々から一歩踏みだし、若い頃の夢だった「学び」の日々を楽しんでいく拓磨の祖母・文子役を、市毛が演じた。

豆原一成、「観ていただいてうれしい」と笑顔
豆原一成、「観ていただいてうれしい」と笑顔

祖母との日々のなかで夢を見つけていく、ちょっと頼りなくてやさしい大学生をナチュラルな存在感で演じた豆原は、「自分にとっても大切な作品。観るたびに温かい気持ちになる。この作品が、早く皆さんのもとに届いてほしいという気持ちでいっぱいでした」と公開を迎えて感無量の面持ち。「めちゃくちゃ緊張している」と苦笑いを浮かべ、「いつもと違う空気感に圧倒されていますが、観ていただいてうれしいです。ありがとうございます」と上映後の会場の熱気を噛み締めていた。

市毛良枝も、公開を迎えて感無量の面持ち
市毛良枝も、公開を迎えて感無量の面持ち

『青葉学園物語』(81)以来、44年ぶりに映画主演を務めた市毛は「小さな家族の、小さな小さな物語」と切り出し、「試写を観た時に、最後に曲が入って『ああ…すごいな』と思って。いろいろな方が愛をかけてくださって、私たちが考えていた以上のところに連れて行ってくださった」と胸を打たれていた。

会場に笑顔で手を振った
会場に笑顔で手を振った

豆原は、市毛とダブル主演を務めるという貴重な経験を果たした。「自分でいいのかなと思った」とオファー時の感想を振り返った豆原は、「市毛さんとダブル主演というのも、なかなか経験できないこと。僕ができることがあるのならばやります!という感じで。はい!という返事しかありませんでした。こんなに温かい作品に参加できたこと、本当にうれしく思います」としみじみ。市毛は「世の中が、年を取った人のことを迷惑に思ったり、年を取った先に、あまり幸せではない未来があるようなイメージが植え付けられているよいうな気がして。若い人が、年を取るって辛いなと思うのが、嫌だった」と打ち明け、「今回の役は、年を取っているし、問題は抱えているけれど、いくつになっても、学べば明るい未来が見えてくるかもしれないと思わせてくれる。そこがすごくステキだと思った」と前のめりになって、出演を決めたという。

「ありがとうございます」と感謝の言葉を送り合った
「ありがとうございます」と感謝の言葉を送り合った

市毛演じる文子の夫、偉志役を演じたのが長塚だ。長塚は「50年前に、僕は市毛さんと一緒に婚約者の役をやりました」と市毛との縁に想いを馳せて、にっこり。「それから50年があっという間に経って、こういう娘ができて、孫ができて…」と劇中で娘役を演じた酒井、孫役を演じた豆原を見つめると、市毛が「そうですね。私たち、なにもしていないのにね」と茶目っ気たっぷりに応じて、会場も大笑い。長塚は「人生を、なんだか1本の映画をやっているような気がして。なんの違和感もなく虚構の世界に飛び込んで、とても心地よく生きさせていただきました。つくづく僕は映画が好きなんだなと思います」と心を込め、「ありがとうございます」と市毛にお礼。「こちらこそ、ありがとうございます。ものすごくラッキーでした」と目尻を下げた。

サプライズで花束をプレゼントした
サプライズで花束をプレゼントした

さらに「目のなかに若かった長塚さんが、記憶として残っています。もしかして長塚さんの目のなかにも、当時の私が思い出として残っていただいているかもしれない」と語った市毛は、再共演について「本当に幸せでした」と改めて感激しきりだ。長塚も「この(映画の)なかで、結婚50年の金婚式を迎える。婚約者の役をやったのが、ちょうど50年前。キャスティングの妙」と感慨を口にした。また先日、長塚が第17回TAMA映画賞の最優秀男優賞を受賞したことが発表されたこともあり、ステージではサプライズで豆原から花束を渡してお祝いする場面もあった。

酒井美紀&八木莉可子も、公開を迎えた喜びを語った
酒井美紀&八木莉可子も、公開を迎えた喜びを語った

そして映画のタイトルにちなみ、「最近の自分を幸せにしてくれるもの」について発表することになると、中西監督は「映画」と熱弁し、会場から拍手を浴びた。安藤綾役の酒井は「フラメンコ。5、6年前から習っていて、仕事や家庭のことも忘れる時間。楽しい時間だなと思っています」と笑顔。大石紗季役の八木は「緑の多いところで育ったので、一人暮らしでも観葉植物を飾っている。最近、新しい芽がたくさん生えてきて、それがかわいくて話しかけたりする」と癒しをくれるものについて回答した。長塚は「妻が作る、毎晩のごはん」としたためたフリップを披露し、会場から「ステキ…」と惚れ惚れとした声が上がった。実はこの日の客席に「家内が来ている」と明かし、「脅迫みたいなもの。書かざるを得ない」と照れ隠しのように話していた。

筋トレや筋肉を見ている時が幸せ!
筋トレや筋肉を見ている時が幸せ!

市毛は「ふわふわしたもの」と答え、「ペットや毛糸、ふわふわしたパンとか。そういうものを見るとすぐほしくなって、つい買ってしまって幸せになる」という。豆原は「筋肉!!」と力強く書いた文字を見せて会場の笑いを誘いつつ、「筋トレをしている時とか、筋肉を見ている時とか、先ほど八木さんが植物に話しかけると言っていましたが、自分も筋肉に『今日の筋肉はどうなんだ、行けんのかお前』と話しかけて。その瞬間が一番幸せです」と告白。司会から「『行けるのか』と話しかけた時は、筋肉からどんな反応が返ってくるんですか?」と尋ねられると、豆原は「やーる!」とポーズを決めて、大いに会場を沸かせていた。


取材・文/成田おり枝

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