テイラー・スウィフトの“リリースパーティ”が北米No. 1に!ドウェイン・ジョンソン×A24のタッグ作を完封
先週末(10月3日から10月5日まで)の北米興収ランキングは、歌姫テイラー・スウィフトによるプロジェクト『Taylor Swift: The Official Release Party of a Showgirl』が初登場でNo. 1を獲得。一昨年に公開され大ヒットを記録したライブフィルム『テイラー・スウィフト: THE ERAS TOUR』(23)につづいてその絶大な人気を示したわけだが、あくまでも3日間限定のイベント上映。注目作が相次いで伸び悩んでいる秋シーズン興行に風穴を空ける存在とまではならない。
10月3日に発売されたスウィフトの最新アルバム「The Life of a Showgirl」の“リリースパーティ”として製作された本作は、スウィフト自身が監督を務めた「The Fate of Ophelia」のMVや舞台裏映像、リリックビデオなどで構成された、いわばドキュメンタリーでもライブフィルムでもないプロモーション映画。極秘プロジェクトとして進められたもので、告知が出されたのは公開14日前の9月中旬。その時点では北米の他に世界100以上の国と地域で公開されると言われていたが、その一部で上映が見送られたとも報じられている(その理由は不明だが)。
それはさておき、『Taylor Swift: The Official Release Party of a Showgirl』が週末3日間で記録した興収は3406万ドル。これは先述の『テイラー・スウィフト: THE ERAS TOUR』のオープニング興収9322万ドルには到底及ばなかったものの、『マイケル・ジャクソン THIS IS IT』(09)の同2323万ドルや、『ジャスティン・ビーバー ネヴァー・セイ・ネヴァー』(11)の同2951万ドルといった人気アーティストのドキュメンタリー/ライブフィルム等を上回る成績を収めている。
このような期間限定のイベント上映作品がトップに輝くのは、6週間前の『K-POPガールズ! デーモン・ハンターズ!』(Netflixにて配信中)のシングアロング版上映に続き今年2回目。同作は例年作品不足が懸念されるサマーシーズン終盤をねらってスケジュールされていたが、本作の場合はアルバムの発売合わせということもあり、多少は運が味方したとも捉えることができよう。あるいは配給元である大手シネコンチェーンのAMCシアターズの戦略と場を読む巧さもあったのかもしれないが。
さて、2位以下に目を向けてみると、前週に首位スタートを飾ったレオナルド・ディカプリオ主演の『ワン・バトル・アフター・アナザー』(日本公開中)は週末3日間で興収1100万ドルと、前週からちょうど半減の成績に。上映館数を減らしていないことを考えると苦戦を強いられていることは否めないが、日曜日の段階でポール・トーマス・アンダーソン作品としては過去最高の北米興収に到達。平日も堅調な成績を収めており、まだじわじわと数字を伸ばしていけそうだ。
一方、ドウェイン・ジョンソンが実在のレスラーを演じたA24作品『The Smashing Machine』は、3345館で公開されオープニング興収600万ドル。これまでのジョンソンの出演作とは規模感が明らかに異なっているが、それでもA24としてはやや高額な製作費(5000万ドルで、同じA24製作であるアリ・アスターの『エディントンへようこそ』の倍だ)ということを踏まえると大苦戦。それでも批評集積サイト「ロッテン・トマト」によれば、批評家からの好意的評価の割合は72%とまずまずなところ。公開前から噂されている、ジョンソンの賞レース初見参への望みはまだ消えたとは言い切れないだろう。
文/久保田 和馬